防衛大臣記者会見

日時
令和2年8月28日(金)11:01~11:24
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 明日、グアムでエスパー国防長官と日米防衛大臣会談等を予定しております。海兵隊のグアム移転の事業の進捗状況についても視察をする予定にしているところでございます。フィリピンの空軍が2018年に警戒管制レーダーの選定に着手をいたしましたが、三菱電機とフィリピン国防省との間で、約1億ドルで三菱電機製の警戒管制レーダー4基を納入する契約が成立をいたしました。日本から海外への完成装備品の移転としては、初の案件になるのではと思います。今日の午後、駐日フィリピン大使ホセ・カスティーリョ・ラウレル5世閣下と懇談を予定しております。昨年の10月の末、自衛隊基地の火薬庫につきまして、周囲の建物等に対しまして、安全上必要な「保安距離」が確保されていない可能性、また、そうした保安距離の不足が毎年の保安検査において見逃されている、そういう可能性があることが判明をいたしました。防衛省・自衛隊が保有する約1,400の全ての火薬庫について、保安距離を改めて測定をし、その確保状況を徹底的に調査するために、特別検査を行うよう指示していたところでございますが、各幕僚監部から結果の報告を受け、必要な是正措置を完了した上で取りまとめ、今般、公表する運びとなりました。全体の2.9%に当たります41の棟について、保安距離に不備があることが確認されました。周辺の住民の皆さん、あるいは隊員の安全を確保する、そういう観点から問題であり、大変申し訳なく思っております。再発防止策を徹底していきたいと思います。保安距離の足らなかったものについては、弾薬等を別の火薬庫に移動する、そうした是正措置を済ませております。前回8月25日の会見以降、2名の隊員が新たにコロナウイルスに感染しているということが確認されました。これで合計107名の隊員の感染が確認されたことになります。この2名の隊員は、災害派遣あるいは沖縄のコロナウイルスに関する市中感染の防止等の派遣に関わっておりません。市中から拾ってきた可能性が極めて高いというふうに思っております。7月末から8月上旬にかけて、かなり感染者が増えましたが、その時から比べると拡大のペースは下がってきているとは思いますが、やはり大きな問題と認識しておりますので、感染拡大の防止に向けてしっかり今後も対応していきたいと思います。本日付で慶応大学教授の神保謙氏に防衛省参与にご就任いただく予定にしております。安全保障・防衛政策に関して、学識経験者として専門的な知識を踏まえた上でのご意見を伺って参りたいと思います。あと2つ、昨年の6月から国連南スーダン共和国ミッション、UNMISS司令部に派遣されていた2名の陸上自衛官について、国連との調整が整いましたので、交代を行うことにいたします。1年以上にわたる勤務を終えて、この2人は8月26日に無事に帰国したところでございます。施設幕僚として勤務していた佐藤3佐は、期間中の勤務実績を高く評価され、軍事部門司令官から「軍事部門司令官表彰」を受賞しております。新たに派遣される2名につきましては、8月24日にオンラインで、出国前の停留に入っていましたので、オンラインで話をし、私からも激励をしたところでございます。昨日、南スーダンに向けて出国をいたしました。昨日、フィンランドのカイッコネン国防大臣とテレビ会談をいたしました。先方からのご要請を受けての会談でございましたが、前回は会談の直前だったかに、先方、赤ちゃんが生まれたということで延期になっておりまして、昨日、勤務に復帰されたということで、その初日に延期されていたテレビ会談を行いました。両国の防衛関係者のコロナウイルス感染症防止対策について、それぞれ意見交換をした後、地域情勢、両国間の防衛協力、ポストコロナの国際秩序といったことについて、意見交換をいたしました。

2 質疑応答

Q:冒頭発言で発表されました、グアムでの日米防衛大臣会談ですが、コロナ禍での国際的な往来制限以降初めてとなる閣僚との対面式での会談ですけれども、改めて、それを踏まえた上での意気込みをお願いします。

A:エスパー国防長官とは、これまでも公表・非公表分を含め、数度にわたり、電話会談あるいはビデオ会談を行ってまいりましたが、こういう安全保障状況の中で、少し対面で落ち着いて、時間を取って様々な議論をする、非常に大事だと思いますので、日帰りではありますが、先方は、わざわざグアムまで出かけてくださっておりますので、こうした機会を捉えて、しっかりと議論をしていきたいと思います。

Q:重ねて、防衛大臣会談について伺います。日米間では今、イージス・アショアに代わるミサイル防衛体制の在り方の検討や、東シナ海・南シナ海での活動を活発化させている中国に対する連携、また、今後始まる、本格化する思いやり予算交渉と、様々な課題がありますが、今回はどのようなテーマで、どのような議論を行いたいとお考えでしょうか。

A:新領域を含め、様々な分野での、日米での安全保障協力をどう深めていくか、それから地域情勢を中心に国際情勢について、しっかり意見交換をしてまいりたいというふうに思っております。昨日、レイモンド司令官と話をしましたから、宇宙領域は昨日かなりやりましたが、それも含め長官といろんな話をしていきたいと思います。

Q:中国軍は26日、内陸部と沿岸部の2ヵ所から中距離弾道ミサイルを数発、南シナ海に向けて発射したといわれていますけれども、防衛省として事実関係の把握と、改めて大臣の受け止めをお願いいたします。

A:そういう報道については承知をしております。南シナ海を含め、軍事的な緊張を高めるような行為は、どの国もすべきでないというふうに思っておりますし、一方的な現状変更というのは、現在の国際秩序の中で許されるものではないということを、しっかり指摘したいと思います。

Q:冒頭に発表ありましたフィリピンへのレーダー輸出に関して、防衛装備品の移転三原則ができてから6年、初めて完成品を輸出ということで、どのような意義があるか、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

A:こうした装備品の移転をすることによって、様々な国々との防衛協力というのも進んでまいりますし、日本の防衛産業の足腰の強化ということにもなってくるとも思います。また、特にフィリピンの警戒管制レーダーにつきましては、自由で開かれたインド太平洋というビジョンに合致するものではないかと思います。

Q:グアムでの会談についてなのですけれども、ミサイル防衛体制についてどのような意見交換されるか、ご予定を教えていただけますでしょうか。

A:ミサイル防衛を含め、様々な日米の防衛協力の今後の在り方について、少し時間をとって議論をしていきたいというふうに思っております。

Q:レーダーの、三菱電機の件でちょっと重ねてお伺いしたいのですけれども、競合相手、例えばアメリカの企業と争ったとかですね、そういうのはどういうあれだったのか、あるいは、これはフィリピンの話だと思いますけれども、何が今回、決め手になったのか、例えば性能だとか、価格ですとか、メンテナンス体制がしっかりしているとか、その辺はどのように見ていらっしゃいますでしょうか。

A:すみません、それは納入元に聞いていただいたほうがいいんではないかと思います。

Q:エスパーさんとの会談についてなんですけれども、それに付随して、海兵隊の移転について視察をされるということですけれども、これ具体的にどういったところをご覧になるのでしょう。

A:今回は、基地から外にはコロナ対策で出ませんので、基地の中で見れるものをしっかり、ブリーフィングを聞けるものはしっかり見聞きしてまいりたいと思っています。

Q:装備品の輸出について、これまでに完成品の輸出がなかなか実現してこなかった理由というか、課題がどういうところにあると、大臣お考えでしょうか。また、それを今回乗り越えられた理由というのは、どんなところにありますでしょうか。

A:装備品の移転というのは、平たく言えば商売ですから、提供するものがQCD、先方のニーズを考えて最適である、ということですし、また、それが先方にしっかり伝わらなければいけない、というふうに思っております。そういう努力を防衛産業にしっかりやっていただかなければなりませんし、防衛省としても、そういう情報をしっかりと先方の関係者に伝える、というところの支援というのは、やっていかなければいけないんだろうというふうに思います。それが防衛協力につながってくるという側面はございますので、防衛省としても、支援できるところはしっかり支援していきたいと思います。

Q:レーダーの輸出についてなのですが、先ほどインド太平洋構想に合致するというところですが、もう少し詳しく説明してほしいのですが、シーレーン上の重要な国であって、中国の圧力を受けている国であるフィリピンとの防衛交流拡大という観点で、どういうふうな意義があるのかという点をお願いします。

A:フィリピンというのは海で見れば隣国でもあります。バシー海峡をはじめ、南シナ海もそうですし、非常に重要なシーレーン沿いにある国でありますから、IUUをはじめ、様々フィリピン警戒の努力というのをされているわけで、そういうところに日本の技術が役立つというのは、これからお互いの協力に向けて、第一歩になるだろうと思います。

Q:冒頭ありましたコロナの関係でお尋ねしたいのですけれども、防衛省は宴会への参加の自粛ですとか、会合への参加の自粛ですとか、非常に厳しい措置を取っているかと思うのですけれども、今、感染者数が減少してきておりますが、こういった厳しい感染防護の対策の解除の見通しというのは立ってきたというお考えなのでしょうか。あるいは、どのような状況になれば、こういった7月末からの厳しい状況というのは解除できるというふうにお考えでしょうか。

A:上旬・中旬・下旬、10日ごとに月を分けて数字を見ておりましたが、7月下旬・8月上旬は30人前後感染者が新たに出るという状況でございました。7月の29日でしたか、7月10日から29日までの間に29人の感染者がありましたので、8月はそれを超えたら考えなきゃいかんと申しておりましたら、お盆前にその人数に行ってしまいましたし、それから人口当たりの感染者数というのを都道府県と比べましたら結構上位なんです、自衛隊を都道府県としてとらえると。全国平均は下回っておりますが、私としてはもっと下のほうだと思っていましたらかなり上のほうにきてしまいましたので、これは少しやばいなと。家族間の感染もありましたけれども、やっぱり、飲食を伴う場に行って、そこで感染したかどうかというのは、100%確認はできませんが、そういう状況もありましたので、やはり少し気を付けてもらわなければいかんというふうに思っております。7月の下旬・8月の上旬に比べてれば少しペースは落ちてきたかなと思いますが、やはりまだしっかり気を付けなければいけないフェーズかもしれません。ただ、なるべく隊員にストレスにならないように、宴会はだめだけれども、宴会はちょっとこの時期だめだけれども、会食は認める、そこはもう部隊の指揮官にきちっと注意をしてもらったうえで、宴会じゃなくて会食はいいよということにしておりますので、まずしっかりコントロールをしてほしいと思いますし、私からも少し全隊員に向けてメッセージを出したいなと考えております。まず今抑えようと。収まってきたなということになれば、何らかの、この数字をクリアすればこうしようみたいなことを出して、みんなでそれに向けて頑張ろうよ、ということもできないことはないなというふうに思っていますが、まだ、今はとにかく、この下がり気味のところをしっかり続けていきたいと思います。

Q:そうしますと、接待を伴う店への出入りが認められるようになるのはまだまだ先だと思ったらいいわけですか。

A:まだまだかどうかはわかりません。まだまだか、まだ先か、先か、そこはよくわかりませんが、そこは少し我慢してもらわざるを得ないと思います。

Q:コロナでもう1件なのですけれども、外来者用の隊舎について、首都圏で4ヵ所、個室として整備を行って、感染者、新たな感染症ですかね、海外から帰国した人たちを一時隔離する施設として使えるように整備されると伺っておりますが、一般の隊員が暮らす隊舎についても、感染防護の面からは、個室化というのも必要ではないかと思われるのですが、そのあたり大臣どのようにお考えでしょうか。

A:朝霞・入間・館山・下総、4ヵ所で、約400室の外来用の居室を個室化、停留ができるようなものにしたいというふうに考えております。コロナの対策という意味もありますし、今後、こういう感染症がまた来るということは、容易に考えられますので、いざというときのためにそうしたことをやりたいと思っております。個々の隊員の、今のは外来用の宿舎ですけれども、隊員の居室につきましては、やはり、団体生活をするというのが1つ、様々なメリットがあるわけですので、これを全部個室化するというのは、今のところ考えておりません。もちろん、予算の話もございますが、その前に、やはり団体生活の重要性というものもありますので、今の時点では、まず、外来を400室、これを完全に個室化するというところからスタートしようと思っております。

Q:自民党内では、イージス・アショアの代替策として、敵基地攻撃能力の保有が検討され始めていると伺っていますけれども、中国の軍備増強や軍備の近代化が想像以上に進んでいるような環境の中で、敵基地攻撃は挑発にはなっても、抑止にはならないのではないかと考えますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

A:自民党はすでに提言を取りまとめておりますが、敵基地攻撃能力という言葉は入っていないというところです

以上