防衛大臣記者会見

日時
令和2年1月31日(金)10:16~10:41
場所
防衛記者会会見室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 私の方から3件冒頭ございます。今日の閣議におきまして、「防衛省設置法の一部を改正する法律案」の国会提出について、閣議決定をいただきました。この法律案は、宇宙・サイバー領域における優位性の獲得に必要な部隊の新編・拡充、こうした自衛隊の体制整備のため、令和2年度予算に関連した自衛官の定数を改めるものであります。定数の総計に変更はございませんが、宇宙領域の専門部隊、宇宙作戦隊、それと滞空型無人機グローバルホークの運用に向けた部隊を航空自衛隊に新編させるなど、航空自衛隊の自衛官の定数を20名増加させます。サイバー防衛隊などの拡充により、共同の部隊に所属する自衛官の定数を68名増加させます。また、防衛力の実効性の確保などのために、統幕に所属する自衛官の定数を6名、情報本部に所属する自衛官の定数を14名、内部部局に所属する自衛官の定数を1名増加させることにいたします。2点目、2月2日(日)、海上自衛隊横須賀地区で行われます派遣情報収集活動水上部隊の出国行事に出席をし、出国する隊員に訓示を行い、現地に向かう護衛艦「たかなみ」を見送る予定です。3点目、NECから報告を受けている不正アクセスに関することでございますが、NECの納品物などに関する社内資料であって、防衛省が指定した秘密等の情報が流出したことはないという報告は、これは以前に受けているところでございます。他方、これらの資料の中に、潜水艦ソナーに関する社内研究等も含まれていて、防衛省が指定した秘密等を、場合によっては類推させるおそれも完全に排除できないというものもあるということで、安全保障上の影響は特段ないと考えておりますが、現在は、こうした類推されるおそれのある情報も防衛省が指定した秘密等と同様の扱いをするということになっております。ルール変更の前のものが、流出したおそれがあるということでございます。今日、NECから公表されるものとの報告を受けております。また先般の三菱電機の不正アクセスと、今回といいますか、過去ですが、NECの不正アクセス事案がございましたが、これ以外に公表していない防衛関連企業に対する不正アクセスの事案が2016年度に1件、2018年度に1件あると報告を受けました。いずれも、防衛省が指定した秘密等は流出しておりませんが、こうした不正アクセス事案につきましては、やはりしっかりと公表すべきだと思いますので、今、当該企業と公表に向け調整をしているところでございます。

2 質疑応答

Q:新型肺炎について、WHOが今日、緊急事態宣言をいたしましたけども、防衛省の準備状況や今後の対応方針があれば、お聞かせください。また、チャーター船の「はくおう」を使う検討を行っているという報道もありますが、検討状況をお願いします。

A:これまで厚生労働省からの省庁間協力の要請を受けまして、自衛隊看護官2名がチャーター便に同乗して、武漢へ2便、3便で行っております。災害派遣命令83条2項ただし書きの自主派遣の命令を出すことを検討しておりまして、それに基づいて「はくおう」を移送する、あるいはこれから戻ってくる方々が一時滞在をされているところの支援要員を、自衛隊から、要請のあった部分については出す、という準備をしていきたいと思っております。

Q:本日夕方に予定されている秋田県知事と秋田市長との面談についてですが、イージス・アショアの秋田への配備計画についてはゼロ・ベースで検討するということだと思いますが、今日の面談でどのようなことを話合いされる予定でしょうか。

A:今日、お二人がいらっしゃっていただけるということでございますので、お二人の話をまずしっかりお伺いしたいと思っております。

Q:NECに関連して、三菱電機とNECまた他に複数の企業へのサイバー攻撃があったということですが、防衛機密の防衛のために、今後防衛省として更なる措置をとったり、改善策、対応について教えてください。

A:防衛省が指定しているものにつきましては、ネットに繋がっていないシステムに格納するということになっておりますし、それがしっかりできているかの監査を行ってきております。これまでも三菱電機、NECともに、防衛省が指定した秘密の流出はないということでございますが、それが類推されかねないものについても、同じような措置をとるということが、昨年、定められておりますので、改められていないものがないかというのは確認をする必要があろうかと思います。サイバーによる、こういう情報の奪取というのは、世界的にも広まっているわけですから、防衛省としては、防衛産業と協力して、他人事としてとらえずに、我が事としてしっかり守れるように、平素からまずルールどおりにしっかり運用されているということを確認していきたいと思っています。

Q:今の質問に関連してなんですけども、防衛省自身も色んな情報を部隊間で共有したりしていると思いますが、基本的にはクローズ系のシステムをとられていると思うのですけど、防衛省自体がそのサイバー攻撃を受けるリスクであったり、その対策というのはどういったものがあるのでしょうか。

A:それはもう平日、有事、両方あると思います。今回サイバー防護隊の増強をいたしますが、しっかりと人材を育成して、また最先端技術に関しては民間としっかり協議をしながら、自衛隊のネットワークを守っていきたいと思います。そういう意味でサイバースペースというのが重要になるという認識で当たっていきたいと思います。

Q:先ほど大臣の方から御説明がありましたけれども、防衛省設置法の改定、その人員の見直しがあると思いますが、防衛省はサイバーや宇宙などの新領域で人材を確保していかないといけない中で、民間との獲得競争なども厳しいと思うのですが、今後どのように人材獲得をしていくお考えでしょうか。

A:いろんな国防大臣とお話をしましたが、各国とも同じ悩みを抱えていると思います。これはやっぱり地道にやっていくしかないのかなと思っておりますが、若干ではありますが、若手の士の処遇改善というのも認めていただきましたし、ネットワーク、SNSなどを使って、少し自衛隊の日頃の業務というものを多くの方に知ってもらう、特に若い方に知ってもらう、そういう努力を今増やしているところであります。自衛隊がそういう若手の方にとって、魅力あるものにしていくというのが大事だと思いますし、人材の育成の過程をやっぱり効率的にやっていくというのは非常に重要だと思っております。

Q:サイバー関連でお伺いしますが、基本的にサイバーによる攻撃に対する防御というのは、これはいわゆる憲法の交戦に当たるんでしょうか。

A:それは、個別具体的なものによると思います。

Q:逆に言うと、それがもし当たらないのであれば、例えば、中国とかに対してサイバー攻撃を自衛隊がしても構わないということになるんじゃないでしょうか。違いますでしょうか。

A:自衛隊としてもわが身を守るということは当然やりますが、この相手側が能力を発揮することができないようにどうするかということは、それは当然考えていかなければいけないことだと思います。日米「2プラス2」の中でも、場合によっては安保の5条に該当するという確認もしておりますので、このサイバーの事案というのは、様々個別具体的に今後検討していかなければならないと思います。

Q:アメリカなんかですと、いわゆるホワイトハッカーを雇ったりとかするという、つまり、泥棒に対しては泥棒を雇ってその知見を役立てるということをやっているのですが、防戦一方ではちゃんと防御できないんじゃないか。例えば、そういう非常に才能持った民間のハッカーみたいな人を雇うというような、そういう考え方はございますでしょうか。

A:別にハッカーを雇うのではなくて、自衛官をリクルートするということです。

Q:新型肺炎について、「はくおう」の活用を検討しているかと思うのですが、どのような活用を検討しているのか、もう少し具体的に教えていただきたいのと、あと、一時滞在場所等への支援要員を出す準備をしているということですが、どれくらいの規模かということと現時点の検討状況をお願いします。

A:武漢からチャーター便で帰って来られた方に、一時滞在をお願いして、健康の確認をしているところでございますが、その施設として「はくおう」の中で使える部屋は使うことが想定され得ると思いますので、派遣命令を出した後に、「はくおう」を開放していきたいというふうに思っております。また、どれぐらいの数の施設が必要になるのか、これから、関係各省庁と調整することになろうかと思います。

Q:先ほどのサイバーアタックについてですが、防衛産業の運用状況がルールどおりにされているのかを確認したいのですが、それは今後緊急で監察をかけたり、そういったことを予定されているのでしょうか。

A:これは今ルールどおり、監査がかかっているはずであります。

Q:サイバーに関連してなのですが、三電、それからNEC、他にも公表していないところがあるということですが、それぞれに関連性があるだとか、何らかの意図を持った者が繋がっているという類推、あるいは推測、そういったものはお持ちでしょうか。

A:おそらく色んな意図はあるのだろうと思います。それが相互に関係しているかどうかというのは、今私はまだ把握しておりません。

Q:「はくおう」の活用についてですが、これを使う場合、どこに持って行って、持っていくのにどれくらいかかるのでしょうか。

A:今調整中でございます。

Q:最短でどれくらいで使えるようになるのでしょうか。

A:最短で、本日命令を出して、明日なのではないかなと思っておりますが、チャーター便がどこに着くか、ということもあるだろうと思います。今まで羽田に帰ってきておりますが、次は伊丹だということになれば、関西方面に置いた方が良いとなるかもしれません。そういうこともあって、これから調整をかけます。

Q:先ほど大臣は、これまでに公表されていないもので、16年度1件、18年度1件とおっしゃっておりましたが、これは三菱電機やNECとは別の会社ということですか。

A:はい、そういうことです。

Q:16年度、18年度の事案というのは、それぞれ別のA社、B社ですか。

A:そのとおりです。

Q:あともう1点ですが、NECから昨日発覚したサイバーアタックの事案について、報告を受けたのはいつ頃でしょうか。

A:昨日発覚したわけではなくて、これは相当以前のものだと思います。2018年の7月に最初の報告を受け、2018年12月に最終報告はNECからもらっております。当時の岩屋大臣に報告が上がっております。

Q:防衛省は、2018年7月の時点で既にNECからは。

A:報告を受けております。

Q:公表されていないことについても全てだとおっしゃられていましたが、なぜそういうふうに公表すべきとお考えなのか。また、公表していない体質というのはどのようにお考えでしょうか。

A:防衛省が指定している秘密が流出していることはないということでありますが、やはりこういう事案が起きているということは、世の中広く知っていただいて、それぞれ防御のことを考えていただくことは大事だと思いますので、不正事案があれば、それは公表していくのが望ましいと思います。

Q:今まで公表されなかった理由と、公表させるに当たって、何か省内なり、手続きの改正といったものが必要なのでしょうか。それとも、公表させる根拠等あるのでしょうか。

A:根拠があるかどうかというのは、大臣がやると言ったから、ということかもしれません。これまで防衛省が指定している秘密の流出がないものですから、防衛省として特にアクションをとることはなかったということでありますが、やはり防衛装備品の関係、今回も防衛装備に関する企業が狙われているということであるならば、やはりそこは関係する防衛装備産業全体としても考えてもらわなければいけないことでありますし、防衛省として、そういう事案はしっかり公表して、皆さんの意識を高めてもらうというのが大事なのだろうと思います。それは今、各企業と公表について調整をしているところでございます。

Q:大体、今、調整で、公表することに各企業が前向きなのかということは。

A:すみません、そこまで聞いていません。

Q:いつ頃までには公表させたいとお考えでしょうか。

A:それは調整が整い次第ということになろうかと思います。

Q:イージス・アショアの件について、本日秋田県知事と秋田市長がいらっしゃって、新屋演習場は非常に厳しい、無理だということを伝達するとお二人はおっしゃっているのですが、それについて、ゼロ・ベースで検討されるとのことではありますが、大臣としてどのように対応したいとお考えなのかお願いします。

A:まず、先方の話をよく伺いたいと思います。

Q:今回、頭撮りでの対応ということになったのですが、これは先方、要請者側からの要望ということで良いのでしょうか。

A:調整した結果だそうです。

Q:昨年度から防衛予算の概算要求で、事項要求が別途要求されてるんですけども、これはどういう理由からなのでしょうか。

A:事項要求というのは概算要求までに金額が決まらないものでございます。

Q:今までは、それが主に米軍予算だと思いますが、何か急にそれを事項要求という形で切り離すというのは、防衛予算を小さく見せるという意図はないでしょうか。

A:ありません。

Q:さらにもう一つ、補正予算について、先日衆議院を通過したかと思うのですが、概ね4,300億円の補正予算の内、本来の補正予算つまり今年度の予算で編成時に予測できなかった、例えば油の値段の高騰ですとか、そういったものに関するお値段は逆に少なく、ほぼ4,200億円近いお金がいわゆるお買い物予算、例えば装甲車を買ったりするなどの予算になっています。そもそも補正の予算の趣旨に反するのではないでしょうか。いかがでしょうか。

A:当初予算編成後に、北朝鮮のミサイルが20発以上撃たれたり、あるいは中露の爆撃機の共同飛行なり、安全保障環境が変わっている中で、装備品を1日でも早くしっかりと取得して運用を開始するという緊要がございますので、当然のことだと思っております。

Q:それだけではないと思うんです。他にもいろいろ装備を買っているのですが、本来であれば本予算で要求すべきものも、第2次安倍政権になってからずっと延々と補正で、例えば防弾チョッキであるとか、細かいものも全部買っている訳ですよ。宿舎を改善したりとか。これは本来、本予算でちゃんと国会で一括で審議するべきじゃないでしょうか。違うでしょうか。

A:当初予算編成後の緊要があれば、補正予算に当然入れられることができます。

Q:先ほど、サイバー関係で機密の流出はなかった、とおっしゃった意味なんですけれども、例えば作戦計画とか、戦闘機のエンジンの図面とかというのは、別に流出とか改ざんしないで単に閲覧して、情報がそのままになっていたはずですけれども、流出がなかったというのは、閲覧もされていなかったということでしょうか。

A:当然です。

Q:昨年、大臣がこの会見でおっしゃっていたように、自衛官の採用年齢を引き上げたり、定年を引き上げるとおっしゃっていたのですが、その一方で、陸上自衛隊では、課業中に銃剣道とか競争の専任者がいるんですね。つまり、本来であれば課外活動でやるべきことを専任者を使ってやっているっていうのはおかしいんじゃないですか。それほど人員が不足してるんであれば、そういうこと、課外活動は課外にやらせて、課業に専念させるべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

A:必要な課外活動に専念している人間だと思います。

Q:それが、課外活動ってはっきり言えば部活みたいなもんじゃないですか。それを何で専任者を置いてやらなくてはいけないのかっていうと、その部隊長の出世に、その競技で勝つことが影響してくると言われているのですが、本来ならば、それこそ小銃をもって匍匐前進するようなお仕事をする人たちが、なんで銃剣道でチャンバラごっこをやらなくてはいけないんですかっていうことなんですけども、いかがでしょうか。

A:自衛隊にとって必要な人材だからです。

Q:今日、辺野古の技術検討会が開かれると思うんですけども、3回目だと思うのですけれども、これはいつ位まで議論を続けるご予定とか、ありますでしょうか。

A:まだスケジュールは確定しておりません。

Q:設計変更の時期については、今のところ、メドというのは立っているのでしょうか。

A:こうした委員会を経て、なるべく早くと考えております。

Q:航空自衛隊はC-2輸送機の調達をやっていると思うのですが、それ以外の輸送機に関する調達の計画が、今はないような感じなのですが。御存知のようにC-1はだんだん退役していきます。そうすると8トン以下の小口の輸送ができる機体がなくなってくる。それかC-130Hに関していうと、これも海原さんの時代に採用したものですから、かなり老朽化になってきていると。そうすると、有事に使う、若しくは災害時に使えるようなそういう輸送機はなくなってくるかと思うのですが、いかがなのでしょうか。本来ならば、例えばカテゴライズして大中小という、早期のポートフォリオを組むべきなんじゃないでしょうか。

A:航空自衛隊でポートフォリオを組んでいると思います。

Q:さらに、オスプレイを17機導入するということなのですが、それに対する空中給油の給油機が存在しないと思うんですけど、いかがでしょう。

A:わかりません。

Q:空自のC―130は4機空中給油機能を持っているのですが、基本的にこれは救難ヘリ用の機体であって、もしオスプレイを運用するのであれば数が十分ではないかと思うのですが、そういうポートフォリオがない、更にもう一つ、特殊作戦群を運用するために、空自の固定翼部隊も存在しない。これは非常に軍隊としては奇異に思うのですが、いかがでしょうか。

A:航空自衛隊が検討していると思います。

以上