防衛大臣記者会見概要

平成28年8月2日(11時02分~11時18分)

1 発表事項

 本日の閣議について、御紹介いたします。平成28年版防衛白書が本日の閣議におきまして、説明の上、配付いたしました。防衛白書は、わが国の防衛政策への理解の促進を図るために毎年夏頃に発刊をいたしておりますが、今年の白書は、6月末までの概ね1年間の主要な出来事をとりまとめたものであります。この白書は、まず、北朝鮮による核・弾道ミサイル開発の更なる進展、そして、中国による積極的な海洋進出や、また、国際テロ組織の活動の活発化・拡散など、一層厳しさを増すわが国の安全保障環境について触れております。また、新たに整備をされました平和安全法制の意義・概要、また、日米同盟強化の取組み、そして、各種事態に対する防衛省・自衛隊の活動、積極的な平和主義における各国との安全保障協力、防衛装備・技術に関する諸施策等について、より多くの方々に平易に分かりやすく、コラムや図表などを用いて説明させていただいております。この中で特に、北朝鮮の核・弾道ミサイルの進展につきまして、これは、わが国のみならず、「わが国を含む地域・国際社会の安全に対する重大かつ差し迫った脅威」と新たに評価をいたしました。また、中国の軍事動向等につきましては、中国軍の活動がわが国周辺海空域において、急速に拡大・活発化をしている状況を分析・評価をしつつ、一方で、中国が国際社会における自らの責任を認識し、国際的な規範を共有し、遵守するとともに、地域やグローバルな課題に対して、より協調的な形で、積極的な役割を果たすということを強く期待している旨、また、日中間の信頼関係・相互理解を増進していくことの重要性について、併せて記述をいたしております。平和安全法制につきましては、昨年の通常国会で、戦後最長となる延長を行い、200時間を超える充実した審議が行われ、国会審議を通じまして私なりに丁寧な質問に対して、丁重にお答えを心懸けたということで、法律成立後も、政府としては様々な機会を捉えて、説明に努めつつ、本書においても、新たに一章を設けて、コラムなどを用いつつ、できるだけ分かりやすく、記述いたしました。この白書によりまして、国の防衛というのは、国民の皆様の御理解と御支援が不可欠でありますので、一人でも多くの国民の皆様方に、この白書を読んでいただきまして、防衛省・自衛隊に対する理解を深めていただきたいと期待をいたしております。

2 質疑応答

Q:白書についてお伺いさせていただきます。昨年に比べて、北朝鮮、中国についての記述が増えたと思いますが、現状についての認識を改めて教えて下さい。それと、平和安全法制についても、丁寧に記述を行なっていると思うのですけれども、その意図についても、改めて教えて下さい。

A:昨年度版に加えまして、北朝鮮に関する記述を14ページから18ページに増やしております。中国に関する記述も24ページから30ページに増やしております。これは、この1年間に発生した事象の内、特に北朝鮮による核・弾道ミサイル開発の更なる進展、また、発射実験等がありました。また、中国による積極的な海洋進出も踏まえまして、28年版白書において、記述をより充実させたということでございます。北朝鮮に関しては、昨今の北朝鮮による核実験、そして弾道ミサイルの発射など、度重なる挑発的な言動を踏まえまして、北朝鮮による核・弾道ミサイル開発の更なる進展を含む、北朝鮮の軍事的動向については、わが国のみならず、わが国を含む地域の国際社会の安全に対する重大かつ差し迫った脅威であると認識いたしております。中国につきましては、既存の国際法秩序とは相容れない独自の主張に基づいて、力を背景とした現状変更の試み、また、その既成事実化を着実に進めていくなど、自らの一方的な主張を、妥協なく実現しようという姿勢を示しておりまして、今後の方向性について、強い懸念を抱かざるを得ないという面があると認識しております。平和安全法制につきましても、私としましても、2424問、質問を受けまして、それぞれ審議の中で、国民の皆様への丁寧な説明を心がけているところでございます。成立後も、政府としては様々な機会、これは、この記者会見、また、講演、マスコミの取材、テレビの番組への出演などを捉えて説明に努めてきたわけでございまして、白書におきましても、コラムを設けて、できるだけ分かりやすいように記述しているところでございまして、今後とも、国民の皆様の御理解を賜れるように、引き続き、努力していきたいと考えております。

Q:今回の防衛白書を踏まえて、特に北朝鮮の弾道ミサイルの発射、今年に入って、これまでにない程、繰り返されています。この日本の防衛体制というのを、ミサイル防衛を含めて、どのようにしていくお考えでしょうか。

A:非常に北朝鮮の累次にわたるミサイルの発射や実験等におきまして、非常に能力を向上させておりまして、わが国といたしましても、あらゆる事態にしっかりと国民の生命と財産を守ることができるようにミサイルの迎撃、防衛体制、構築をいたしております。この技術的な面におきましても、SM-3にしても、PAC-3にしても、改良型において、日米で共同研究などをいたしておりまして、防衛計画の大綱の中でも、こういったミサイル防衛体制の充実という点で、整備を続けているわけでございます。特に、SM-3ブロックⅡAにつきましては、平成18年度から開始をしまして、平成29年頃の開発完了を目標として進めておりまして、現在、最終段階に入ってきております。ロフテッド軌道ということで、非常に高度に北朝鮮が打ち上げをする射撃もありました。通常の軌道よりも高い軌道を取ることにより、迎撃を回避することを意図して、発射してきたミサイルに対する迎撃能力も向上させるように今、対応しております。

Q:関連で、現在の日本の安全保障環境は、厳しくなっているという御認識でしょうか。

A:明らかに厳しくなってきております。この北朝鮮の核ミサイル発射実験の回数が増加し、また、新たな種類のミサイルの開発も進めていると。また、中国等の海洋における動向も領海侵犯や領空侵犯の回数も非常に大きくなっておりまして、自衛隊の対応も増えてまいってきておるということでございます。このように、わが国を取り巻く安全保障環境、一言で言えばパワーバランスと申しますけれども、こういった力や軍事情勢の変化につきましては、以前よりは厳しくなってきていると認識しております。

Q:防衛白書の件なのですけれども、その中で、安全保障関連法については、集団的自衛権の行使の事例に、新規では、ホルムズ海峡の機雷除去などを挙げていたと思うのですけれども、その記述が白書にはありません。これまでは、自衛隊のリスクが高まっているとか、そういう野党などからの批判については、コラムで解説していますけれども、まだ説明が不十分ではないでしょうか。

A:これにつきましては、国会におきまして、200時間の審議の中で、いろいろな質問にお答えをしてまいりました。特に、存立危機事態ということで、これはわが国の親密な関係にある国に対して、攻撃が発生し、かつ、また、国の存立を脅かし、そして、国民の生命、財産、幸福の追求の権利、これを根底から損なうような明白な危険がある場合において対応するということで、いろいろな質問に対しても、お答えをしてまいりましたが、施行された法律に則りまして、対応をしていくということで、累次、説明はさせていただいております。

Q:防衛白書の方には、安倍総理は安保法の審議では、ホルムズ海峡の機雷除去なんかも具体例で答弁されていましたけれども、そういうのも白書で、安保法に対する理解、コラムを使って理解を求めるのであれば、白書の中に盛り込んで説明するというのもあって良いのではないかと思うのですが、何故なかったのでしょうか。

A:国会審議では、あらゆる質問にお答えをさせていただきましたが、このようなホルムズ海峡ということで、個別の対応等につきましては、1ケースでありまして、一般的な形で説明させていただいております。このように、白書におきましても、この平和安全法制について、詳しく記述させていただいておりまして、一般的な事例といたしまして、記述させていただいたということでございます。

Q:今年の防衛白書の中に中国の関連で、昨年の「懸念」という言葉から「強い懸念」に変わったと思います。この「強い懸念」に変わった日本側の根拠になるような要素、どのようにお考えでしょうか。つまり、中国の海や空における動きについては、どのような変化があるとお考えでしょうか。

A:中国側の説明の中で、軍事や安全保障分野において、非常に透明でないような部分があります。非常に国際社会や地域にとっても懸念事項でございまして、透明性の不足という点におきましては、基本的な認識が変化がなく、それが、継続をしているということでございます。特に海洋におきまして、中国の姿勢につきまして、「高圧的とも言える対応を継続させ」ているのみならず、「力を背景とした現状変更」の「既成事実化を着実に進め」ているなど、中国に対する地域及び国際社会が抱く懸念の程度は強まっていると。そして、南シナ海を巡る問題にしましても、アジア太平洋地域の平和と安定に直結する国際社会全体の関心事項でありまして、中国を含む各国が緊張感を高める一方的な行動を慎んで、「法の支配」の原則に基づいて行動するということが強く求められているということでございます。その一方で、中国が国際社会における自らの責任を認識をして、国際的な規範を共有・遵守をするとともに、地域やグローバルな課題に対して、より協調的な形で積極的な役割を果たすことを強く期待しているという旨、また日中間の信頼関係・相互理解を増進していくことが重要である旨についても、あわせて記述させていただいております。

Q:白書の沖縄の部分についてお伺いしたいのですけれども、これまで、沖縄の地理的有利性というのは、白書の中でも示されていましたが、今回、新たに朝鮮半島や台湾海峡といった、潜在的紛争地域に近い位置にあるというふうに明記されました。この台湾海峡を敢えて入れた理由を教えて下さい。

A:これまでも、国会答弁やパンフレットなどで使用している言葉でございまして、この朝鮮半島や台湾海峡といった、わが国の安全保障に影響を及ぼす潜在的な紛争発生地域に相対的に近い地にあるという表現を用いてございます。これは、沖縄の地理的優位性について国民の皆様に対してより丁寧に説明するということが重要と考えて、このような説明をいたしております。また、台湾海峡ということで、台湾の地域の名前を記述したのではなくて、台湾海峡という海域の呼び名をそのように呼んでいるということです。

A:一点、「スクランブルの回数が多い」と言うべきところを、「領空侵犯」と言ってしまいました。正式にはスクランブルの回数が増えたというところで訂正をさせていただきます。

以上

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