大臣臨時会見概要

平成28年2月7日(12時41分~13時07分)

1 発表事項

 今般、北朝鮮から発射された「人工衛星」と称するミサイルにつきまして、現時点において判明していることを発表させていただきます。9時31分頃、北朝鮮から南の方向に「人工衛星」と称するミサイルが発射されました。9時39分及び9時41分頃、沖縄県の先島諸島の上空を太平洋に向けて通過したものであると推定されております。飛翔体は5つに分離を致しまして、1つが約500㎞飛翔し、9時37分頃、朝鮮半島の西約150㎞の黄海に落下したものと推定されます。2つ目、3つ目が800㎞飛翔しまして、9時39分頃、朝鮮半島南西約250㎞の東シナ海に落下したものと推定されます。4つ目が2,500㎞飛翔致しまして、9時45分頃、本邦の南約2,000㎞の太平洋に落下したものと推定されます。そして残余の物体が、飛翔を継続した模様であります。これらの情報は現時点のものでありまして、確認を致しておりますが、今後、修正の可能性もあります。さて、防衛省におきましては、発射直後に情報把握等のために関係幹部会議を開催するとともに、私から3点指示を致しました。先程も申し上げましたけれども、被害の有無の確認、そして米国等との緊密な情報収集・集約・分析に全力を挙げる。そして3つ目は、不測の事態の発生に備えまして、引き続き、警戒監視に万全の態勢を期するという3点でございます。現在までのところ、自衛隊は、自衛隊法第82条の3の3に基づく弾道ミサイル等の破壊措置は実施しておりませんが、引き続き、艦艇及び航空機による警戒監視活動を実施中でございます。今回の北朝鮮による発射におきましては、わが国を含む地域及び国際社会の平和と安全を損なう、安全保障上、極めて重大な挑発行為でありまして、国連の安保理決議にも違反致します。わが国は、北朝鮮に対して厳重に抗議し、強く非難をするものであります。今後、防衛省・自衛隊としましては、米国等と緊密に連携を致しまして、引き続き、必要な情報の収集・分析に努めるとともに、警戒監視を実施するなど、国民の安全及び安心に資するために、万全を期して参りたいと思います。

2 質疑応答

Q:今回のミサイル発射に関して、日本領内、周辺海域での被害というのは、確認されているのでしょうか。

A:現時点において、情報収集をしておりますが、現時点のところ、被害においては確認されておりません。

Q:今回発射されたミサイルは、前回2012年の時とほぼ同じ飛行ルートを辿ってますが、発射されたミサイルというのは、同じ「テポドン2派生型」と考えてもよろしいのでしょうか。

A:今回の発射につきましては、3つの落下物が、北朝鮮が事前に通告した落下予想区域の内側に落下しておりまして、1つの落下物が、落下地域外に落下をしておりました。全ての落下物は、前回の2012年12月の発射の際とほぼ同様の地域に落下したものだと認識していることから、前回発射したテポドン2の派生型に類似した弾道ミサイルを発射し、前回と同様、何らかの物体を地球周回軌道に投入した可能性が考えられるわけでございます。こういった状況も踏まえつつ、防衛省と致しましては、この北朝鮮が発射した飛翔体の種類につきまして、様々な情報を元に、総合的・専門的な分析を行う必要があると考えておりますが、これにつきましては、多少、時間を要することとなるために、現時点でこれ以上確たることを申し上げるということは、困難でございます。

Q:先程、朝鮮通信テレビは、「今回の発射について成功」と発表したのですけれども、日本国内では、予告落下区域外にも落下していることから、今回失敗したのではないかという指摘もあります。この点についてはどのようにお考えでしょうか。

A:わが国としては、今回の発射につきましては、今後、所要の情報を基に、総合的・専門的な分析を行っていく必要がありますけれども、一般論として申し上げれば、弾道ミサイルの発射実験であれ、人工衛星の打ち上げであれ、多段階に渡る推進装置の分離に関する技術、また、姿勢制御、そして推進の制御に関する技術等の試験を実施する必要があるということは、共通したことであります。このため、今般の発射により、北朝鮮は、これら技術等を検証しまして、弾道ミサイルの開発を一層進展させる可能性があると認識を致しております。いずれにしましても、先だっての核実験に続いての今回の発射というのは、わが国及び国際社会の平和と安全を損なう安全保障上の重大な挑発行為でありまして、国連の安保理決議にも違反をしていることでもあります。この点におきまして、わが国は、北朝鮮に対して厳重に抗議をしまして、批判をしたいと思います。

Q:ミサイルが今回発射されたことを受けて、現在、発令している破壊措置命令の終結時期について、どのようにお考えでしょうか。メドがあればお願いします。

A:現在、状況の把握に努めておりまして、必要な行動であるのかどうか、態勢を継続するかどうか、今後はこの状況を基に判断をして参りたいということで、現時点においては、まだ、これで終了ということは決めたわけではございません。

Q:ミサイル発射の情報についてですけれども、第一報として受け取った情報、日本独自で入手した情報と、日本以外から受け取った情報それぞれについて、第一報をどのような形で入手したか教えてください。

A:これは、9時31分にSEW情報を入感致しました。この他、自衛隊の各レーダーによりまして、必要な情報収集も行っておりまして、速やかに官邸の方に通報・連絡を致しました。どのアセットで探知したのかにつきましては、具体的な探知状況について、わが方の手の内を明らかにする恐れがあることによって、お答えの方は差し控えさせていただきたいと思いますが、自衛隊は平素から、米軍からSEW情報を受領しております。今般の発射に係る自衛隊と米軍の連携の詳細等につきましても、双方の運用に関わることでありますので、お答えは控えさせていただきたいと思います。

Q:北朝鮮の今回の発射について、予告期間を1日前倒ししたと。そして、今日発射したわけですけれども、その狙いというか意図はどこにあったのかというのは、分析されていますでしょうか。

A:これは、北朝鮮が総合的に判断をしたことでございます。「人工衛星」と称する弾道ミサイルの発射の意図とか目的等につきましては、北朝鮮が極めて閉鎖的な体制をとっておりますし、また、各国からのいろいろな要請や、また、制裁等にも全く従わない対応をしているわけでございます。そういう状況でございますので、防衛省として、断定的なことを申し上げるということは困難でございます。その上で、一般論として申し上げますと、今年の5月に36年ぶりとなる党大会を予定しておりまして、党大会に向けた金正恩第一書記の実績作りを企図していた可能性、また、長距離弾道ミサイルの技術開発、そしてこれの成果をアピールすることを意図した可能性があります。また、この核実験を巡る様々な国際社会からの圧力等に対して揺さぶりをかけて、現在進行中の国連安保理による新たな対北朝鮮制裁決議を巡る協議をけん制することを企図した可能性、そして自らの体制保持をするために、長距離弾道ミサイルの発射を強行することによって、交渉に応じない米国の姿勢変化を促すことを意図したものである可能性など考えらえるわけでありますが、このような観点に基づきまして、今後、防衛省としては分析・評価をしていきたいと考えております。

Q:先程の北朝鮮の国営テレビでは、「今後も弾道ミサイルの発射を継続していく」ということでありました。近くミサイルを発射する可能性というのは、どの程度あるのか、また、認識しているのか、教えてください。

A:これにつきましては、我々としましては、引き続き重大な関心を持ちまして、北朝鮮の動向について情報収集と分析を行っていきたいと思います。近年、ノドンとかスカッドといった弾道ミサイルの発射を立て続けに行っております。任意の地点、またタイミングで複数の弾道ミサイルを発射するなどしてきております。また、SLBMという潜水艦発射の弾道ミサイルの試験発射の実施を公表して、先月の8日にも、この映像を公開したわけでありまして、非常に弾道ミサイルといっても多様化をさせた、また、残存性の向上を意図してSLBMの開発も継続しておりますので、こういったノドン、スカッド、短距離、中距離ミサイル、SLBMといった挑発行動に出る可能性は否定できないということで、引き続き、テポドン2も含めまして、関心を持って情報収集していきたいと思っております。

Q:今回の落下物が公海上、東シナ海上に落ちたということですが、これは収集するのかどうか、お聞かせください。

A:わが方としては、枠の外に出たと認識をしておりますが、今後は詳細につきまして様々な情報を基に、総合的・専門的な分析を行う必要がございます。米国などと協力しつつ、情報収集・分析を進めていく所存でございます。引き上げるかどうか等につきましては、現時点において決めておりません。

Q:先程、大臣が「何らかの物体が軌道に投入した可能性がある」というようにおっしゃったと思うのですけれども、今回、北朝鮮は衛星と称していますけれども、そういうものを軌道に乗せたというふうに見てらっしゃるということでよろしいのでしょうか。

A:米国の宇宙局におきましては、そのようなコメントを発表したわけでございます。防衛省としては、米国と協力をしつつ、情報収集・分析を進めていく所存ですけれども、北朝鮮が何らかの飛翔体を周回軌道に乗せたか否かを含めまして、これの結論を得る、また分析をするには、相応の時間を要すると考えております。この結果の公表のやり方につきましては、所要の分析が終わった段階で、適時公表していきたいと思います。

Q:4つ目の落下物についてお伺いしたいのですけれども、日本から2,000㎞というお話がありましたが、日本のどの辺りなのか、詳細を教えて頂けますでしょうか。

A:先程、落下をしたことについて発表させていただきましたけれども、4つ目ですね、2,500㎞飛翔しまして、日本の南約2,000㎞の太平洋の予定落下区域外に落下をしたということです。

Q:日本のどの辺りから2,000㎞という捉え方で。

A:日本の本邦の南ということでありまして。

Q:どこから2,000㎞ですか。

A:あとで確認してお答えさせていただきます。

Q:先程の周回軌道上に乗ったかもしれないという物体の話なのですけれども、確認ですが、日本としての分析ではなく、あくまでアメリカの宇宙局の話として、大臣はお話しされたという認識でよろしいですか。

A:米国の宇宙局の方からそのようなコメントがあったということは、承知致しておりますが、わが方と致しましては、最終的なことにつきましては、今後分析をする必要があると認識しております。

Q:確認ですが、第一報はSEW情報であったという言い方でよろしいですか。

A:平素から米国等ともこういった対処につきましても調整しておりますが、SEWというのは、いわばウォーニングでありまして、警報というか、感知をしたという警告であります。それが本当のことであるか、これはわが方のレーダー等によって確認する必要があるということです。

Q:2,000㎞離れた落下物、予定地域外に落ちたということですが、これは誤差の範囲なのか、それとも何かトラブルが起きて区域外に外れていったのか、現時点でどのように分析されていますか。

A:これにつきましても、現在分析中でございますので、米国を始めとする他国ともデータなども調整しながら、正確なことを判断したいと思います。

Q:SEWの関連なのですけれども、J-ALERTはSEWで発したのか、それともSEWに何らかの日本の独自情報を組み合わせて通知したのか、どちらになりますでしょうか。

A:わが方と致しましては、発射をされたということを確認致しまして、官邸の方に連絡を致しております。J-ALERTにつきましては、こういった点を判断して、官邸から発せられたというふうに思っております。

Q:SEWのみの情報で発したわけではないという理解でよろしいでしょうか。

A:発射された後、そのような連絡等を行いまして、確実に発射されたかどうか、これにおいては防衛省独自の手段で確認致しまして、その旨も連絡しておりますので、そのあとではないかと思います。

Q:今回の危機管理の対応について、防衛省・自衛隊として、現時点でどういうふうに評価されていますか。本当に予定どおりうまくいったのか、あるいは現時点で反省点があれば、教えて下さい。

A:あらかじめ発射時刻が予告されておりましたので、それに備えて準備を万全に整えていたわけでございますので、極めて迅速に、また正確に、そして官邸との連絡においても円滑に行われまして、官房長官の発表も速やかに行われましたし、また政府全体の対応も、直ちにNSC(国家安全保障会議)が開かれるなど、迅速に行われたものであると認識しております。

Q:日米の連携については、これまでよりも深化した部分もあるのでしょうか。

A:平素から日米で協力、また調整等もしております。特に、この前のガイドラインの合意によりまして、同盟調整メカニズム(ACM)は平時から緊急事態までのあらゆる段階における自衛隊と米軍の活動に係る政策面、また運用面の調整を強化致しまして、適時の情報共有、また共通の情勢認識構築・維持を図るものでありまして、平時から利用可能なものにしていったために、今回もこのACMも活用しながら対応してきたということで、非常に日米間においても、調整や連携がうまくいったのではないかと思います。

Q:具体的にACMがうまく機能した点というのは、どういうところですか。

A:例えば、2、3日前、日米韓の課長級の会議も開かれましたし、平素から日米間でもこのような連絡調整や情報の協力などを行っているということです。

Q:今回、そのPAC-3を石垣島と宮古島の方に展開して、北朝鮮の方が7日から前倒しで、宮古島の方のPAC-3の到着が当初は7日の朝9時頃ということだったのですけれども、当初の北朝鮮の前倒しの発表の時間に間に合わない、当初の到着予定時間だったと。結果的にぎりぎり前倒しでPAC-3部隊の到着も間に合いましたけれども、少しちょっと後手に回ったという印象もあると思うのですけれども、そのあたりいかがでしょうか。

A:とんでもございません。我々にとりましては、発射予告時刻を踏まえて計画的に部隊の運用や計画をしていたわけでありまして、急に1日前倒しになった事態におきましても、迅速に予定を変更致しまして、相当、現場としてもこの行動においては全力で頑張って頂いたと思っておりまして、私も非常に精強な部隊が、きちっと任務を果たしてくれているということにつきましては誇りに思っているわけでありますが、この相手国が予告した時刻までにPAC-3が配備できたということで、しかるべき対応をして頂いたと理解しております。

Q:当初のこの計画っていうところが少し、甘かったのではないかと。

A:当初は、1日遅れて発射するという通知をしていたわけでありますので、それにしたがって準備をしていたということであります。

Q:落下物についてまたお尋ねしたいのですけれども、2つ目と3つ目の落下物、東シナ海に落ちた2つの落下物なのですけれども、この2つのものが同じ一つの予想海域に落ちたことについては、2012年12月と少し異なると思うのですけれども、何らかの技術的なトラブルがあったためと見るのか、それとも技術的な向上があったためと見るのか、その辺どういうふうにお考えでしょうか。

A:それにつきましては、今後、分析・評価をしていきたいと思っております。

Q:4つ目の落下物なのですが、これは予想落下区域よりも南、東、西、北、どういうふうにずれていたのですか。

A:南に、枠の外に、南側に落下したと聞いております。

Q:「テポドン2の派生型に類似するものではないか」というご発言がありましたけれども、射程については、前回は10,000㎞以上と推定されるという話がありましたけれども、今回も射程はそれぐらいだったと見ているということですか。

A:これから分析していかなければなりませんが、ほぼ、予告をした地点に落下物が落下を致しておりますので、規模とか様式等から考えますと、前回と同様に近いものと類推はできますけれども、これは断言できませんので、今後分析していきたいと思っております。

Q:技術的には向上したというふうには見ているのでしょうか、前回に比べて。

A:それも含めまして、分析していきたいと思っております。

Q:今回、大臣がアメリカとか韓国とか、関係国と電話会談する予定というのはあるのでしょうか。

A:現在、調整致しております。

Q:それは今日中にもやるということでしょうか。

A:今回、このようなことが起りましたので、やはり日米・日韓の緊密な連携ということで、速やかに電話会談等は実施したいと考えております。

Q:PAC-3の配備なのですけれども、今回、1日前倒しということで、宮古には何とか間に合いはしたのですけれども、今後も北朝鮮がミサイルの類を発射することを考えると、先島諸島へのPAC-3への常時配備というのを、今後検討していくおつもりというのはありますでしょうか。

A:北朝鮮がいかなる対応をとるかということで、今回、あらかじめ通告した内容に対応したわけでございますので、今後の北朝鮮なども含めた動向を見ながら、考えていきたいと考えております。

Q:弾道ミサイルの軌道なのですけれども、2012年12月の時には、高度400㎞とか500㎞の辺りを飛んでいたというような結果だったと思うのですけれども、これも同じような。

A:今回のケースは、沖縄の上空の500㎞地点までは確認を致しております。それ以降につきましては分かりませんが、今後、米国等とも調整をしながら分析していきたいと思っております。

Q:そうすると前回よりも高い位置を飛んでいると思うのですが、その分析、改良型かどうかというのも含めて、どういうふうに見てらっしゃるのでしょうか。技術の向上も含めて。

A:今後、分析して検討していきたいと思っております。

以上

※ 後刻、記者からの4つ目の落下物について、日本のどの辺りから2,000㎞であるのかの質問に対しては、共同取材時に「四国の足摺岬」である旨回答。

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