日米防衛相共同記者会見概要

平成26年4月6日(10時53分~11時18分)

※ヘーゲル国防長官の発言及び英語による質問については、通訳者の発言を記載しています。

1 発表事項

(小野寺防衛大臣)
 今回、ヘーゲル国防長官のアジア歴訪の最初の訪問国として日本にお立ち寄りいただき、そして防衛省でお迎えできたことを大変喜ばしく思います。日米防衛相会談は昨年10月以来であり、ここ1年間で4回目となります。本日も幅広い議題について忌憚のない意見交換ができ、大変有意義だと思っております。議事の紹介でありますが、まず、アジア太平洋地域における安全保障環境について、北朝鮮が核開発を継続し、弾道ミサイルを連続して発射するなど、この地域の安全保障環境が厳しさを増していることを踏まえ、日米の緊密な連携に加え、日米韓や日米豪の協力を引き続き進めることや、東南アジア諸国との協力を強化していくことで、ヘーゲル長官と一致をいたしました。また、尖閣諸島に関する米国のこれまでの立場を確認し、東シナ海における力を背景とした現状変更の試みには反対するということで一致をいたしました。
 私から、集団的自衛権の問題についての日本国内での議論の現状について説明を行いました。
 また、わが国の防衛大綱や米国のQDR(4年毎の国防計画の見直し)に基づく取り組みを緊密に連携させつつ、昨年の10月に行われました「2+2」で本年末に作業を完了することとした日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直しなど、幅広い日米防衛協力を着実に進め、日米同盟の抑止力や対処力を強化していくことで一致をいたしました。ヘーゲル長官からは、QDRにも示された米国のリバランス政策について、この政策を今後とも継続する旨、発言がありました。また、防衛装備移転三原則について、私からその趣旨を説明し、ヘーゲル長官からこのような取り組みを歓迎する旨の発言がありました。引き続き二国間の装備・技術協力を深化させていきたいと思っております。沖縄における負担軽減については、私から普天間飛行場の5年以内の運用停止をはじめとする基地負担の軽減に関する沖縄県の要望と、これに対する日本側の取り組みについて説明を行いました。ヘーゲル長官からは沖縄県民の思いを理解しつつ、日本側の取り組みに対し引き続き協力していく旨の発言がありました。沖縄の負担軽減の取り組みにつき、ヘーゲル長官との認識が一致したことを踏まえ、具体的な協力を一層進展させていきたいと思っております。本日の成果を踏まえ、今後とも強固な日米同盟を構築してまいります。

(ヘーゲル国防長官)
 小野寺大臣、大変ありがとうございます。いつもご歓待をいただいて感謝申し上げます。東京をまた訪れることができてとても嬉しく思っております。また、安倍総理大臣に対しても深く御礼を申し上げます。昨日、お時間を頂戴いたしまして、いろいろな問題について討議することができました。アジア・太平洋地域の問題についても幅広く討議することができました。本日、小野寺大臣と私は、我々の同盟にとって重要な多くの案件について議論する機会を得ました。もう小野寺大臣がほとんど述べられたのですけれども、これは昨年10月に東京で開かれた「2+2」会合を踏まえたものでございます。また、今回の日本訪問は、4回目のアジア太平洋地域への訪問における丁度中間地点に当たります。今回、私はハワイに寄ってまいりまして、ASEAN10カ国の防衛相と会談し、次は中国を訪問いたします。小野寺大臣と私はこの両方の訪問についても、ある程度詳細に意見を交換する機会を得ました。私は東南アジアにおける能力構築に対する日本の取り組みを高く評価しており、私たちはこの地域における日米の安全保障支援活動を連携させていくことの重要性を再確認いたしました。また、アメリカにとっては中国と建設的な関係を築くことが利益であるということ、日本にとっても重要である旨強調させていただきました。本日の中心的な議論は、北朝鮮の脅威についてでありました。北朝鮮による一連の挑発的、かつ安定を損なう行為に対し、この中には国連決議に違反する最近のミサイル発射も入るのですけれども、これを受けてアメリカは2017年までに、新たに2隻のBMD対応型イージス艦を日本に前方展開する計画があることを本日公表させていただきます。これによって、日本を拠点とするBMD対応型イージス艦は合計で7隻となります。実は昨年の秋、私はアメリカのBMD対応型イージス艦の一つを視察いたしました。この配備は、10月に公表した京都府における2基目のミサイル防衛レーダーサイトの設置、及び昨年私が決定いたしました、アラスカにおける地上配備型迎撃ミサイルの増強に続くものであります。このような手段によって、北朝鮮の弾道ミサイル脅威に対する日本及び米国本土の防衛力は飛躍的に強化されます。米国海軍のプレゼンスを著しく補強するこの措置は、我々の同盟を強化するとともに、北朝鮮による攻撃に対する抑止力を向上させる行動でもあります。また、オバマ大統領、安倍総理、朴大統領の最近の会談に引き続きまして、本日、3か国での防衛協力の深化を促進していく方法についても小野寺大臣と討議させていただきました。今月、ワシントンで開催される日米韓防衛実務者協議もこの中に入っております。小野寺大臣と私は、沖縄における(米軍施設・区域の)統合についても話し合いいたしました。そして私は普天間代替施設に係る埋立承認を得るにあたっての日本の取組に関して、大臣に謝意をお伝えいたします。近々、建設が開始されることを期待しております。沖縄における米軍施設に係る負担軽減策を引き続き探求するアメリカのコミットメント、及び良き隣人でありたいという我々の願望を再確認させていただきました。これらの問題は、アメリカが兵力態勢を強化し、日本が世界中でその役割と関係を拡大している中、日米防衛協力のための指針の見直しの一部となるでありましょう。アメリカは集団的自衛権に関する憲法解釈の再検討を含めまして、世界及び地域の平和と安定に貢献するため、より積極的な役割を果たそうとする日本の取組を歓迎いたします。最後に、我々は東シナ海における重要な諸課題についても議論いたしました。私は尖閣諸島やその他の島々に関するアメリカの長年の政策の根幹を成す原則を再び表明いたしました。そして我々は、それらの島々が日本の施政の下にあるということ、そして日米安保条約第5条の適用を受けることを確認いたしました。我々は条約のコミットメントを真剣に受けとめております。日本の施政権を損なおうとするような、一方的な力によるいかなる行動にも強く反対いたします。領有権の問題の平和的解決は、この地域の全ての国々の利益となります。アメリカにとって日本は、この地域における最も強力な同盟国、最良の友好国であります。今後、アメリカがアジア太平洋地域へのリバランスを継続する中、日米の不朽の友好関係及び日米同盟が更に強固になることに疑問の余地はないはずであります。ご静聴に感謝いたします。

(小野寺防衛大臣)
ありがとうございます。

2 質疑応答

Q:ヘーゲル長官にお聞きします。日本政府は集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更を目指しておりますが、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直しにどのような意義があると考えますか。日本の解釈変更の時期が年内までの再改訂の時期に影響が出ると思いますか。また、ヘーゲル長官は日本が集団的自衛権を行使できるようになった方がいいと思いますか。それにより自衛隊にどのような役割を期待しますか。以上です。よろしくお願いします。

A(ヘーゲル国防長官):
ご質問どうもありがとうございます。まず、日本が自国民にとって何が最善か、日本の利益に基づいて自衛権に関わる方針を検討し、それらの方針を見直すことは、日本の責任であり、主権であります。我々と致しましては、その取組を奨励(encourage)し、支持(support)するものであります。また、日本国民のために日本政府が下す決定によって、今後ともこの重要な日米間の同盟は深化し、強化されるものと信じています。

Q:まず、ヘーゲル長官へのご質問なのですけれども、北朝鮮との緊張関係は特に危険な段階に入りつつあるのでしょうか。また、北朝鮮の政権が大規模なミサイル発射を図るですとか、さらに核実験を含めて実施しそうな兆候というのはあるのでしょうか。次に、小野寺大臣にお聞きしますが、なぜ日本政府は最近、北朝鮮からのいかなるミサイルを打ち落とすという命令を下し、BMD対応型護衛艦を日本海に配備したのでしょうか。北朝鮮が貴国に対しミサイル攻撃を行うという危険性が高まっているとお考えなのでしょうか。

A(ヘーゲル国防長官):
特に、この1年、1年半の間に北朝鮮のかなり挑発的な行為、無責任な行為を目の当たりにしています。全ての政府は自国民を守り、彼らの安全を確保する責任があります。北朝鮮の継続的な挑発行為を目にする中で、これらの行為に対処する備えをしておかなければなりません。同盟国、パートナー国と連携し、我々の安全を保障する上で重要だと考える方法で、今後ともこれらの行為に対処していきます。我々は、条約義務を負っているわけでありますし、アメリカ本土も守らなければならない責任を我々は担っているわけです。地上配備型迎撃ミサイルをアラスカに追加配備するということになったわけでありますし、更にミサイル防衛に力を入れていく所存であります。

Q:日米の両防衛大臣にお伺いします。ヘーゲル長官は、この訪日の後に中国を訪問されるということですけれども、そのアメリカがリバランス政策を維持する中で、中国は東シナ海に一方的に防空識別圏を設定するなど海洋進出を図っております。この中国に対して日米でどう対処していくお考えでしょうか。また、沖縄県の基地負担軽減の協力を日本側は求めておりますけれどもアメリカ側はどう応えて行きますでしょうか。日本側は更にどういうふうに求めて行きますでしょうか。具体的には、オスプレイの訓練移転について、どう進めて行くお考えでしょうか。両大臣にお伺いしたいと思います。

A(小野寺防衛大臣):
まず、私の方からお答えさせていただきます。中国が最近軍事費を急激に増加させているということ。また、東シナ海の防空識別圏の一方的な設置のような急速に活動を拡大しております。今日、ヘーゲル長官と改めて東シナ海における力を背景とした現状変更の試みには反対をするということで一致したと思っております。私どもとしては、この東アジアの地域が今後とも平和で安定するためには、アメリカのリバランスが大変重要だと思っております。我が国自身の防衛力の整備の強化と、日米同盟の強化。また、日米間を含めた様々な同盟国との関係を強化するということが私どもとしては結果的にこの地域の安定に貢献し、そしてまたそれが経済の発展にも繋がると認識をしております。また、沖縄の負担軽減につきましては、昨日も安倍総理の方からヘーゲル長官の方に言及がありましたように、沖縄の負担軽減のためにこれからも日米が協力して一致して行うということになるということであります。

A(ヘーゲル国防長官):
ご質問に関して、アメリカの部分についてですが、我々としては大臣におっしゃっていただいたように、継続してこれからもそうなのですけれども、沖縄に係る全ての案件について日本の政府と緊密に連携を続けていく所存であります。日本の政府が埋立承認を受けられたということで嬉しく思い、感謝しております。これは普天間代替施設の進展において非常に大きな一歩を示すものであります。進展は順調であり、今後も進展させ続けます。また、重要な点といたしましては、目に見えるリソースですとかアセットというもので、アメリカとしてはアジア太平洋に追加的に配置しているものがあるわけです。特に日本国内においては、P-8ですとかが日本から飛び立っていくということであり、今朝も発表させていただきましたけれども、あともう2隻、BMD対応型イージス艦の配備を増やすということになるのです。2基目のTPY-2レーダーは今年末までに運用可能になり、グローバルホークも今年展開される予定です。日本との条約に基づいた義務だけでなく、アジア太平洋全域に対するものですが、アメリカのこの地域におけるコミットメントが継続して強化及び深化されることはきわめて明確だと考えています。我々の同盟関係、我々のパートナーシップ及び友好関係というのは、いろいろな面、いろいろな理由で重要なのです。それは、安定であり、安全であり、平和であり、そして、シーレーンの自由、開かれた空域、サイバースペース、宇宙空間の確保であります。ですから、アメリカとこの地域内の全てのパートナー国のために、同盟関係はさらに育まれ、強化され、深化するということなのです。ご記憶いただきたいのですが、今回ハワイから参りましたが、2日間10名のASEAN諸国の防衛大臣と会合をもったのです。東シナ海、南シナ海等も含めまして、いろいろ具体的な案件についてかなり深く掘り下げて討議いたしました。そして相互の安全保障上の利益を確保しつつ、アジア太平洋全域の国々に対して自由をどのように確保し安定・安全、そして敬意、相互尊重をお互いに持ち続けていくために団結するかということで、お話させていただきました。これは、この同盟にとっても、非常に重要な点です。

Q:中国に対して、力を背景をした行動に対してどういうメッセージを発出するおつもりでございましょうか。そして、そのメッセージに耳を傾けるように、また実際に行動を変えるように、どうやって中国を説得するのでしょうか。小野寺大臣、BMD対応型の艦船を日本海に配備するよう命じた理由は何でしょうか。これは北朝鮮からの攻撃がありそうだからということで配備なさったわけでしょうか。

A(ヘーゲル長官):
小野寺大臣、先にいいですか、どうでしょう。

A(小野寺防衛大臣):
では私から。今どのような対応しているかということについては、詳細に説明することは控えさせていただきますが、いずれにしても北朝鮮の様々な行動については、私ども警戒監視を行い米国とも綿密な連絡をとっております。その中で日本の安全保障、そして東アジアの安全保障のために私どもとしては、日本にイージスシステム、あるいはアメリカのイージスシステム、これが大変に有効に機能すると思っております。今回、長官の方からBMD対応型イージス艦をまた日本に2隻配備されるということは、この地域にとって重要なことだと思っております。

A(ヘーゲル国防長官):
大臣どうもありがとうございます。どういうメッセージを中国に持っていくのかというご質問に関してなのですけれども、第一に全体的な取組ですとか目的です。まず訪中の目的について申し上げたいと思います。中国の国防部長のご招待を受けて今回、訪問するということになっています。そして、直接中国の指導者層と、多くの案件について対話させていただくことを楽しみにしております。たぶんその問題というのはアジア太平洋問題がほとんどと言えないかもしれないが、やはり多いのではないか、東シナ海、南シナ海、近隣諸国の問題等々入るのではないかと思っております。そして北朝鮮が継続している危険な挑発行為についても、きっと話題になると思います。大国は大国なりの強い責任を担っているわけです。中国は大国の一つであると。大国であるがゆえに、新しい、そしてより広範な責任も付いてくるわけです。その権限をどのように使うか、軍事力の配備等も含めまして、ぜひ、この点について全て洗いざらい中国側とお話ししてみたいというふうに思っております。特に透明性の問題です。これは関係の主要な側面なのです。透明性、どういう意図があるのか、それぞれ政府が何をやっているのか、なぜやっているのか、意図は何なのかということです。こういう方面についてよりオープンに透明性を上げることができればできるほど、政府間としてよりよい、全員にとっていいということです。誤算(miscalculation)も回避できるわけですし、誤解(misinterpretation, misunderstanding)というのも回避できるからです。できれば、これによって紛争のリスクが下がることを願っております。第二に、対話という話なのですけれども、対話もいろいろな理由があって重要なのです。対話だけで問題が解決できるわけではないのですけれども、対話なしには問題は解決できないということです。お互いのことを聞き合うということです。お互いの見解を表明する。わかりやすく、直接に、そして正直にお互いと話をするということです。そうでないと問題が更に複雑化するということ、そしてより危険になるということであります。また、今回の会議で申し上げましたように、中国に対しては近隣諸国を尊重するようにと話しかけたいと思います。強制(coercion)、脅し(intimidation)というのは、衝突につながってしまう非常に危険極まりないものだということです。どんな国、どんな国民も、その規模にかかわらず、尊重されるべきであるということです。そして尊重の念がない、強制や脅しといった動きがヨーロッパで起こっているわけです。特にウクライナ問題でロシアの行動を見てみますと。我々は、注意深くならなくてはいけない。また、世界中の国が、21世紀の世の中において、こうしたことは容認できないと明確に示さなければなりません。世界で、国境線を書き換えるとか、太平洋における小さな島であれ、もしくはヨーロッパにおける大きな国であれ力や強制や威嚇によって領土の一体性や主権を侵害するといったことは、許されないということです。ですからはっきりとわかりやすい形でお互いに勇気を振り絞ってリーダー同士話し合うということが重要であるということなのです。この辺りを中国の友人達に私も申し上げたいというふうに思っております。中国とは共通の利害もあるのです。声明でも申し上げました。今後とも継続していい関係を構築していきたいと思っております。オバマ大統領、習近平首席も、特に軍対軍の関係も共に一層強化しようということを明確にしているのです。共に取り組んでいます。もっとやれることがあります。それからチャンスもあるのです。中国側とそのチャンスについても話してみたいというふうに思っております。もっといろいろできるチャンスは何か。中国が近隣諸国に対してもっとできることがあるのか。対日、対韓、またこの地域の全ての国を対象としてということですので、忌憚なく話し合えることを楽しみにしています。中国側のこともよく耳を傾けたいというふうに思っております。それが叶えば前進ができるのではないかと思っております。機会も前進させることもできますけれども、可能性ですとかプロセスですとか更に前進できることができるのではないかというふうに思っております。

以上

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