名古屋高裁イラク派兵違憲判決確定に対する政府の見解に関する質問に対する答弁書

答弁書第一四一号

内閣参質一六九第一四一号
平成二十年六月十三日

内閣総理大臣 福 田 康 夫

参議院議長 江 田 五 月 殿

参議院議員山内徳信君提出名古屋高裁イラク派兵違憲判決確定に対する政府の見解に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


参議院議員山内徳信君提出名古屋高裁イラク派兵違憲判決確定に対する政府の見解に関する質問に対する答弁書

一の1について

 政府としては、従来から、我が国の活動が他国の武力の行使と一体化するかどうかについては、一般に、我が国の活動の具体的内容等諸般の事情を総合的に勘案し、事態に即して判断すべきものである旨を述べてきたところであり、御指摘の答弁も、その趣旨を述べたものである。

一の2について

 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成十五年法律第百三十七号。以下「イラク特措法」という。)においては、我が国の活動をそれ自体は武力の行使ではないものに限定し、現に戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。以下同じ。)が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に限って実施することとするなど、我が国の活動が他国の武力の行使と一体化することがないことを制度的に担保する仕組みを採用しているところである。
 政府としては、自衛隊が対応措置(イラク特措法第二条第一項に規定する対応措置をいう。)を実施する区域については、これまでに我が国が独自に収集した情報、諸外国等から得た情報等を総合的に判断し、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に該当すると考えている。
 したがって、政府としては、航空自衛隊のイラクでの活動は、憲法の範囲内でイラク特措法に基づき適法に行われているものと認識している。

二の1について

 航空自衛隊は、国連及び多国籍軍等の物資及び人員の輸送を実施しているが、そのうち、多国籍軍が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する輸送は、イラク特措法が規定する安全確保支援活動に該当すると考えている。

二の2及び3について

 イラク特措法上、「安全確保活動」という用語は用いられていない。その上で申し上げれば、イラク特措法第三条第一項第二号において、安全確保支援活動とは、「イラクの国内における安全及び安定を回復するために貢献することを国際連合加盟国に対して要請する国際連合安全保障理事会決議第千四百八十三号又はこれに関連する政令で定める国際連合の総会若しくは安全保障理事会の決議に基づき、国際連合加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する措置をいう。」と規定されている。
 御指摘の「掃討作戦」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、多国籍軍が行うイラクの国内における安全及び安定を回復する活動を支援するために我が国が実施する輸送は、イラク特措法が規定する安全確保支援活動に該当すると考えている。

三について

 御指摘の「先例としての価値」等の意味が必ずしも明らかではないが、いわゆる朝日訴訟最高裁判決では、「なお、念のために」として、憲法第二十五条第一項の性格等について述べているところであり、これは、法令等の憲法適合性を審査する権限を有する終審裁判所である最高裁判所が示した法律判断であると認識している。

四について

 御指摘の名古屋高等裁判所の判決は、控訴人らから被控訴人である国に対する自衛隊のイラク派遣等の違憲確認請求及び差止請求について不適法なものであるとして却下し、損害賠償請求について棄却した第一審判決に対する控訴を棄却する旨の国側勝訴の判決であり、航空自衛隊のイラクでの空輸活動は憲法に違反する活動を含んでいる旨を述べた部分は、判決の結論を導くのに必要のない傍論にすぎず、政府としてこれに従う、従わないという問題は生じないと考える。

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