愛知県渥美半島の陸上自衛隊大山離着陸訓練場に関する質問主意書

質問第一九号

愛知県渥美半島の陸上自衛隊大山離着陸訓練場に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

平成十八年二月十六日
山 下 八 洲 夫

参議院議長 扇 千景 殿


 愛知県田原市越戸町古今にあった陸上自衛隊大山無線中継所跡地が、平成十七年十月一日より陸上自衛隊航空学校のヘリコプター場外離着陸訓練場とされている。
 大山一帯は三河湾国定公園第三種特別地域に指定されており、中腹の神社一帯には第一種特別地域に指定された原生林も残されているなど、愛知県有数の照葉樹林帯である。この山林一帯(渥美山塊)ではこれまでに猛禽類のハチクマ、サシバ、オオタカの繁殖が確認されており、山麓では毎年繁殖期にサンコウチョウ、オオルリ、ヤブサメなどの夏鳥も観察されている。
 伊良湖のハチクマやサシバ・小鳥類の秋の渡りは保全上大変重要になっているが、八月中旬から十二月上旬にかけて百万羽を超えるであろう猛禽類・小鳥類が適宜休息しつつ通過して行くのが、まさにこの越戸大山を含んだ渥美山塊である。冬季には同じく猛禽類・小鳥類が数多く越冬している。哺乳類もニホンリス、テン、アナグマ等十二種類が確認されている。
 このような山林の頂上をヘリコプターの離着陸訓練場として使用するならば猛禽類・小鳥類の繁殖・渡り・越冬、哺乳類の生息に悪影響が出ることは避けられない。日本鳥学会は平成十六年九月の総会決議で「生物多様性や自然環境保全に十分配慮した新たな検討を行うことが妥当であると考える。」と指摘している。
 また、大山一帯は山岳会関係の各種出版物にも、手軽で良好なハイキングコースとして紹介されており、渥美半島内はもとより県内外の多くの人々が登山やレクリエーションに親しんでいるところである。地域の保育園児や小中学生の遠足にも利用されてきている。
 このような山林頂上は自衛隊ヘリコプター離着陸訓練場として使用するのではなく、当該地が国定公園特別地域に指定されていることにかんがみ、財務省を経て愛知県の管理地へと移管されるべきである。
 以上の観点から、この大山離着陸訓練場(以下「本訓練場」という。)について以下質問する。

一 なぜ、国定公園特別地域を自衛隊の戦闘用ヘリコプター訓練場とする必要性が生じたのかを想定される訓練ルートも含めて詳細に説明されたい。

二 本訓練場を設置するに当たっては、政府部内で環境省自然環境局野生生物課の意見を聴いているのか。また、愛知県自然環境課の見解は照会しているのか。把握しているのであれば、それぞれの意見・見解を示されたい。仮にこれらの意見・見解を把握していないのであれば、その理由を明らかにされたい。

三 日本鳥学会や諸自然保護団体との「公開された科学的な検討・検証の場」を設けずに、本訓練場を設置してしまった理由を明らかにされたい。

四 本訓練場に関しては、平成十八年度に「環境調査」を予定しているとも聞いている。

 1 事実とするならば、「環境調査」後に本訓練場の設置も可能であったと考えるが、「環境調査」前に本訓練場を設置しなければならなかった理由を明らかにされたい。

 2 予定されている「環境調査」は、調査対象生物種、調査時期・人数、調査人員、調査費用など、どのような規模のものを考えているのか明らかにされたい。

 3 「環境調査」結果を踏まえて、日本鳥学会や諸自然保護団体と「公開された科学的な検討・検証の場」が持たれるべきと考えるが、その意思はあるか。

 4「環境調査」結果から引き出される選択肢の一つには、「本訓練場の廃止」も入ると思うが、そのような意思を持っているか。

五 本訓練場を設置するにあたり、陸上自衛隊航空学校長と田原市長との間で「覚書」が交わされ、そこには「一か月当たりの訓練回数」など、防衛庁としては公表できない事項が記されている。訓練回数は毎年田原市に報告されるのか示されたい。また、報告されないのであれば、訓練回数が「覚書」を遵守していることはどのようにして担保されるのかを明らかにされたい。

右質問する。

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