自衛隊法施行令等の一部を改正する政令について

趣旨

防衛出動時の自衛隊の行動の円滑化を図るため、防衛出動時の緊急通行による損失補償の申請手続、物資の収用等の手続、業務従事命令の対象となる者の範囲、実費弁償の基準等を定めるほか、関係する政令の規定を整備する等の必要があることから自衛隊法施行令等を改正するものである。

内容

1 自衛隊法施行令の改正

  1. 防御施設構築措置に係る規定の新設に関連するもの
    • 長官は、防御施設構築の措置を命じた場合、措置を命じた旨及び当該措置に係る展開予定地域の範囲等を告示するとともに、関係機関等に対して周知させる方策を講ずる。また、長官は、展開予定地域を管轄する都道府県知事に対し、防御施設構築の措置を命じた部隊等の指揮官の官職等を通知する。
    • 長官は、防御施設構築措置に係る命令を解除した場合、その旨を告示するとともに、展開予定地域を管轄する都道府県知事に通知する。
  2. 防衛出動時の緊急通行に係る規定の新設に関連するもの
    • 防衛出動時の緊急通行による損失補償を受けようとする者は、損失補償申請書を長官に提出しなければならない。
    • 長官は、損失補償申請書を受理したときは、補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、遅滞なくこれを申請をした者に通知しなければならない。
    • 損失補償申請書の様式その他必要な事項は内閣府令で定める。
  3. 自衛隊法第103条に基づく処分に関連するもの
    1. (イ) 物資の収用等の要請権者の範囲
      • 方面総監、師団長、旅団長
      • 自衛艦隊司令官、航空集団司令官、地方総監
      • 航空総隊司令官、航空支援集団司令官、航空方面隊司令官、航空混成団司令
      • 補給統制本部長、補給本部長
    2. (ロ) 物資の収用等の要請の手続
      自衛隊法第103条第1項から第4項までの規定による処分の要請は、処分を要請する事由その他必要な事項を記載した文書により行う。ただし、事態が急迫して文書によることができない場合には、口頭又は電信若しくは電話によることができる。その場合においては、事後において速やかに文書を提出する。
    3. (ハ) 自衛隊が管理する施設の範囲
      • 自動車整備工場
      • 造船所(ドック、引揚船台に限る)
      • 港湾施設(係留施設及びこれに附帯する荷さばき施設に限る)
      • 航空機又は航空機用機器を整備するための施設(飛行場にあるもの又は飛行場に隣接するものに限る)
      • 自動車、船舶、航空機に給油するための施設
    4. (ニ) 業務従事命令の対象となる者の範囲
      • 医師、歯科医師、薬剤師、看護師、准看護師、臨床検査技師、診療放射線技師
      • 建設業者
      • 鉄道事業者(JRを除く)、自動車運送事業者、船舶運航事業者、港湾運送事業者、本邦航空運送事業者

        JRについては自衛隊法第101条の規定により自衛隊の任務遂行上特に必要な場合は長官からの協力の求めに応じることとなっている。

    5. (ホ) 公用令書を交付すべき相手方
      • 施設の管理:管理する施設の所有者及び占有者
      • 土地、家屋、物資の使用:使用する土地、家屋又は物資の所有者及び占有者
      • 取扱物資の保管命令:物資を保管すべき者
      • 物資の収用:収用する物資の所有者及び占有者
      • 業務従事命令:業務に従事すべき者
      • 立木等の移転、処分:移転し、又は処分する立木等の所有者
      • 家屋の形状の変更:家屋の所有者
    6. (ヘ) 公用令書を事後に交付できる場合
      1. 施設の管理、家屋、物資の使用
        -管理する施設又は使用する家屋若しくは物資の占有者に公用令書を交付した場合(当該占有者が所有者と異なる場合に限る)において、所有者の所在が知れないとき
      2. 土地の使用、立木等の移転
        -公用令書を交付すべき相手方の所在が知れない場合
      3. 立木等の処分、家屋の形状変更
        -公用令書を交付すべき相手方の所在が知れない場合において、立木等又は家屋の現状を著しく損傷しないとき
      4. 公用令書を交付すべき相手方が遠隔地に居住する等の事由により、当該相手方に公用令書を交付して処分を行うことが著しく困難であると認められる場合において、当該相手方に公用令書の内容を通知したとき
    7. (ト) 事後交付の手続
      • (ヘ)①~③の場合、都道府県知事等は、公用令書を交付すべき相手方の所在を知ったときは、遅滞なく、相手方に公用令書を交付する。
      • (ヘ)④の場合、都道府県知事等は、遅滞なく、相手方に公用令書を交付する。
    8. (チ) 業務従事命令の取消し
      都道府県知事は、業務従事命令を受けた者が、心身の故障その他の事由により業務に従事することができない旨を申し出た場合において、当該申出に相当の理由があると認めるときは、当該業務従事命令を取り消す。
    9. (リ) 公用取消令書の交付
      都道府県知事等は、公用令書を交付した後、処分の全部又は一部を取り消したときは、遅滞なく、公用取消令書を交付しなければならない。
    10. (ヌ) 公用令書等の様式
      公用令書及び公用取消令書に記載する事項を規定(令書の番号、交付の年月日、処分を行う都道府県知事等)
    11. (ル) 物資の収用等による損失補償の申請手続
      • 損失の補償を受けようとする者は、損失補償申請書を、都道府県知事又は長官に提出しなければならない。
      • 都道府県知事又は長官は、損失補償申請書を受理したときは、補償すべき損失の有無及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、遅滞なく申請をした者に通知しなければならない。
    12. (ヲ) 実費弁償の基準
      • 医師等個人に対する実費弁償
        • 業務従事命令による業務に従事した時間に応じ、手当を支給する。手当の支給額は、一般職の国家公務員の給与の例に準じて長官が定める額とする。
        • 業務に従事するため一時その住所又は居所を離れて旅行するときは、旅費を支給する。旅費の支給額は、一般職の国家公務員に支給される旅費の例に準じて長官が定める額とする。
      • 事業者に対する実費弁償

        業務に従事するため通常要する費用を支給する

    13. (ワ) 実費弁償の申請手続
      • 実費弁償を受けようとする者は、実費弁償申請書を業務従事命令を発した都道府県知事に提出しなければならない。
      • 都道府県知事は、実費弁償申請書を受理したときは、弁償すべき実費の有無及び実費を弁償すべき場合には弁償の額を決定し、遅滞なく申請をした者に通知しなければならない。
    14. (カ) 損害の補償に係る災害救助法施行令の準用

      業務従事命令による業務に従事した者が死亡等した場合の損害の補償については、災害救助法施行令の規定を準用する。

    15. (ヨ) 損害補償の申請手続
      • 損害の補償を受けようとする者は、損害補償申請書を業務従事命令を発した都道府県知事に提出しなければならない。
      • 都道府県知事は、損害補償申請書を受理したときは、補償すべき損害の有無及び損害を補償すべき場合には補償の額を決定し、遅滞なく申請をした者に通知しなければならない。
  4. 展開予定地域内の土地の使用等に関連するもの

    展開予定地域内の土地の使用等の要請権者の範囲
    -防衛出動時における物資の収用等の要請権者のうち補給統制本部長、補給本部長を除いた者

  5. 消防法の適用を除外される防火対象物
    • 陣地その他の防御のための施設
    • 営舎その他の隊員を収容するための施設
    • 自衛隊の需品、火器、弾薬、車両、船舶、航空機、化学器材、施設器材、通信器材又は衛生器材を保管し、又は整備するための施設
    • 部隊等が臨時に開設する医療を行うための施設
  6. 運転免許証の有効期間等の特例

    防衛出動命令又は防衛出動待機命令を受けた隊員が受けている運転免許証の有効期間を、撤収命令等を受けた日から起算して2か月を経過する日までの期間とする。

  7. 河川法施行令の特例

    法第76条第1項又は法第77条の2の規定に基づく自衛隊の部隊等による行為であって、河川法施行令に基づく許可を要するものについては、当該部隊等があらかじめ河川管理者に通知することをもって足りる。通知を受けた河川管理者は、河川の管理上必要があると認めるときは、当該通知に係る部隊等の長に対し意見を述べることができる。

  8. 事務の区分

    本政令において都道府県知事が行うこととされている事務を、第1号法定受託事務に加える。

2 防衛庁職員の災害補償に関する政令の改正

傷病補償年金、障害補償年金、遺族補償年金の特例の適用範囲に武力攻撃事態を追加

3 他省庁所管政令の改正

  1. 予算決算及び会計令臨時特例の改正
    前金払をなすことができる場合に、防衛出動時の自衛隊の任務遂行のために必要な物品の代価を追加する。
  2. 河川法施行令の改正
    上記1(7)の規定を自衛隊法施行令に設けるための規定(いわゆるインデックス規定)を整備する。
  3. 地方自治法施行令の改正
    第1号法定受託事務に新たに都道府県知事等が処理することとされている事務を追加する。
  4. スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律施行令の改正
    自衛隊法施行令の改正に伴う条ずれを補正する。
  5. 臓器の移植に関する法律附則第11条第1項の法律を定める政令の改正
    脳死前に受けていた医療給付関係各法に基づく医療給付に継続して脳死後にも処置が行われた場合には、脳死後についても医療給付とみなされるその対象に自衛隊法を追加。

4 施行日

公布の日