共同発表
日米安全保障協議委員会

於:ワシントン
2002年12月16日

1. 2002年12月16日、ワシントンにおいて、日米安全保障協議委員会(SCC)が開催され、パウエル国務長官及びウォルフォビッツ国防副長官は、川口外務大臣及び石破防衛庁長官を同委員会の場で迎えた。閣僚は、昨年9月11日の米国における同時多発テロ発生後の新たな安全保障環境において日米両国が直面している安全保障上の問題及び日米同盟に係る問題、並びに両国関係に関するその他の問題について協議を行った。

2. 閣僚は、昨年9月11日の米国同時多発テロが、自由と民主主義という両国が共有する基本的価値を侵害するものであり、日米両国のみならず国際社会全体に対し重大な脅威を及ぼしたことにつき一致した。閣僚は、本年10月のバリ島における悲惨な爆弾テロ事件に見られるように、アジア太平洋地域を含む国際社会が依然として国際テロリズムに脆弱であるとの認識を示した。
 閣僚は、昨年9月11日の米国同時多発テロ以降の国際社会の一致したテロリズムへの対応が国際テロ行為の防止及び減少に大きく寄与したが、今後も行動と協力を継続することが依然として最も重要であることにつき一致した。閣僚は、テロリズムへの対処のために各々の国が行っている包括的な取組を評価した。
 閣僚は、「不朽の自由作戦」における活動に加えて、テロ資金供与の防止並びに情報交換及び法執行措置の強化のための努力を含むその他の措置が継続され、強化されなければならないとの見解で一致した。閣僚は、アフガニスタンの復興及び安定に対する国際社会の支持が重要であることについて強調した。閣僚は、双方が国際テロリズムの根絶のための断固たる取組において引き続き緊密に協力していくことを確認した。

3. 閣僚は、大量破壊兵器及び弾道ミサイルを含むその運搬システムの拡散によりもたらされている脅威を除去するための取組につき協議を行った。閣僚は、国家のみならず国際テロ組織が大量破壊兵器及びその運搬システムを取得し、使用することが益々可能となっており、国際社会に対する脅威が悪化していることについて深刻な懸念を表明した。閣僚は、不拡散・軍備管理体制の強化を含め、このような脅威に対抗するための防衛と抑止に関する新たなアプローチを構築する上で緊密な協力を維持する意思を確認した。

4. 閣僚は、国連安保理決議第1441号に基づくイラクにおける査察及び武装解除のプロセスに対して完全な支持を表明した。閣僚は、イラクによる同決議の完全かつ無条件の遵守を強く要請した。閣僚は、イラクがこれまでの安保理決議の重大な違反を続けていることを憂慮した。閣僚は、安保理決議第1441号が関連安保理決議の下での武装解除の義務を遵守する最後の機会をイラクに与えていることを想起した。また、閣僚は、イラクが自らの義務不遵守の結果、深刻な結果に直面するとの警告をも想起した。閣僚は、国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)及び国際原子力機関(IAEA)により実施される査察が、イラクの武装解除に関する問題の平和的な解決をもたらすのであれば望ましいことを強調した。しかしながら、閣僚は、イラクの行動により、国際社会が安保理決議第1441号に沿った形で更なる行動をとることを求められるのであれば、日米両国がより一層緊密に協調して行動することを確認した。

5. 閣僚は、アジア太平洋地域における軍事力の拡充及び近代化の動き並びに緊張の継続を含め、この地域において引き続き存在する不安定性及び不確実性の問題について協議を行った。また、閣僚は、アジア太平洋地域において大量破壊兵器及びその運搬システムの拡散が生じ、国際テロリストの活動が行われているとの認識を示した。閣僚は、地域の安全保障問題に対処するために、双方が個別に行う取組や両国が日米安保体制等の下で連携して行う取組を補完するものとして、地域の安全保障問題に関与しているASEAN地域フォーラム等の多数国間枠組みの役割の重要性を表明した。閣僚は、この地域の安定と繁栄を増大させる上で、中国が積極的かつ建設的な役割を果たすことの重要性を再確認した。

6. 閣僚は、北朝鮮が引き続き地域の安全保障と安定に対する脅威となっていることにつき重大な懸念を表明した。閣僚は、核施設の稼働と建設を再開することを計画しているとの北朝鮮の最近のIAEAへの書簡及び対外発表につき、強い遺憾の意を表明し、北朝鮮のかかる決定は、北朝鮮当局がそのすべてのコミットメントを履行しなければならず、特に、核兵器プログラムを撤廃しなければならないとの国際的コンセンサスを甚だしく無視するものであることにつき一致した。また、閣僚は、北朝鮮の核兵器能力の追求は、「合意された枠組み」、核不拡散条約、北朝鮮とIAEAとの保障措置協定及び南北非核化共同宣言の違反であることにつき一致した。閣僚は、北朝鮮と世界との関係はその核兵器プログラムを撤廃する意思にかかっていることを国際社会が明確にしてきていることを強調した。閣僚は、北朝鮮に対し、そのすべての国際的義務を遵守するために、あらゆる核兵器プログラムを迅速かつ検証可能な方法で放棄するよう要請した。また、閣僚は、北朝鮮の弾道ミサイル・プログラムに対する深刻な懸念を表明し、北朝鮮に対し、弾道ミサイル、関連技術及びノウハウの開発、実験、輸出及び配備を含む、すべての弾道ミサイルに関連する活動を停止するよう要請した。また、閣僚は、北朝鮮の生物兵器禁止条約の完全な遵守及び化学兵器禁止条約への加入を要請した。閣僚は、北朝鮮による核兵器、化学兵器及び生物兵器という大量破壊兵器の使用があれば最も重大な結果を招くであろうことを強調した。
 閣僚は、日米安保条約の下でのコミットメントを再確認し、北朝鮮に関係する安全保障上の問題を平和的に解決することに対し、強い関心を改めて表明した。米側は、米国が原則として常に対話を行う用意があることを再確認した。閣僚は、日朝平壌宣言に基づく日朝国交正常化交渉及び日朝安全保障協議が安全保障上の問題及び拉致問題を解決する上で重要なチャネルとして有益であることを再確認した。閣僚は、これらの問題の迅速な解決を求めた。

7. 双方は、弾道ミサイルの拡散により増大しつつある脅威についての共通の認識に基づき、このような拡散に対処するため、防衛システム及び外交的イニシアチブの双方を含む包括的戦略の必要性を強調した。  日本側は、弾道ミサイル防衛システムは専守防衛を旨とする日本の防衛政策上の重要な検討課題であることを再確認した。日本側は、弾道ミサイル防衛システムは我が国における人命及び財産を守るための純粋に防御的な、かつ、代替手段のない唯一の手段であることに留意した。また、日本側は、弾道ミサイル防衛計画のすべての要素に関する急速な技術的進展を踏まえて、我が国の防衛の在り方についての検討の中で、この課題に主体的に取り組んでいくとの意思を表明した。
 閣僚は、現行の弾道ミサイル防衛に係る日米共同技術研究を引き続き進めつつ、ミサイル防衛に関する協議及び協力を強化する必要性を認めた。

8. 閣僚は、日米防衛協力のための指針の下での日本に対する武力攻撃に際しての共同作戦計画についての検討及び周辺事態に際しての相互協力計画についての検討が引き続き進展していることを歓迎した。閣僚は、計画についての検討の更なる充実を追求していくことを決定した。

9. 双方は、両国間の安全保障体制がアジア太平洋地域の平和と安定を維持するための礎石として果たしている重要な役割を再確認し、この安保体制へのコミットメントを再確認した。閣僚は、この地域における米国の軍事的プレゼンスが地域の安定に不可欠であることを確認した。閣僚は、日本の接受国支援がかかるプレゼンスのために死活的に重要であることを改めて強調した。
 閣僚は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用のため、米軍と地域社会との間の「良き隣人」関係を促進するための努力を含め、在日米軍の駐留に関する諸課題の解決のために両政府が真剣な努力を継続する必要があることにつき認識を共有した。閣僚は、地位協定の効果的な運用が両国にとり重要であることを強調した。  閣僚は、2000年9月のSCCで発出された共同発表の原則の下で、環境保護のための協力を強化していくことへのコミットメントを再確認し、環境分野において更なる努力を行うことの重要性を確認した。双方は、在日米軍に関連したポリ塩化ビフェニル(PCB)問題の解決へ向けた進展を歓迎し、合同委員会において環境分野での建設的な協力を継続することの重要性を強調した。
 日本側は、1999年12月の閣議決定に従い、在沖縄海兵隊の普天間飛行場の移設と同施設が現在占めている土地の地元への返還に係る問題を取り上げた。閣僚は、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告の実施に関する両政府のコミットメントを再確認した。閣僚は、普天間飛行場代替施設の基本計画策定に際して、在日米軍の能力及び即応態勢を十分に維持しながら沖縄県における米軍施設及び区域を整理、統合、縮小するとのSACO最終報告の目的に沿って、両政府が緊密な協議を行ったことを評価した。閣僚は、2002年7月の基本計画の策定を沖縄県民の負担を軽減するために両政府がとった一つの重要なステップとして歓迎し、同計画に基づいて、迅速に移設を進めることを確認した。

10. 閣僚は、防衛及び国家安全保障に関する戦略につき協議を行うとともに、国際テロリズム及び大量破壊兵器の拡散が深刻な脅威をもたらす中で、新たな安全保障環境における日米両国の各々の防衛態勢を見直す必要性につき協議した。閣僚は、各々の自国での取組を効果的に強化し得る協力分野を探求するため、両国間の安全保障に関する協議を強化することを決定した。かかる協議においては、両国の役割及び任務、兵力及び兵力構成、地域の課題やグローバルな課題への対処における二国間協力、国際的な平和維持活動その他の多数国間の取組への参画、ミサイル防衛についての更なる協議と協力、在日米軍の施設・区域に係る諸問題解決に向けた進展といった問題が議論され得る。閣僚は、日米安全保障高級事務レベル協議(SSC)に対し、かかる協議の進捗に関してSCCへ報告するよう指示した。

 

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