防衛省改革の実現に向けての実施計画について(第3版)

平成21年8月
防衛省

 防衛省は、昨年8月、防衛省改革会議報告書に示された提言(以下「提言」という。)を計画的に実現するとともに、防衛省改革(以下「改革」という。)についての国民の理解と支持を得るため、改革に関する具体的な工程や実施状況等をとりまとめた「防衛省改革の実現に向けての実施計画について」(以下「実施計画」という。)を策定した。
 防衛省としては、この実施計画に基づき、提言の着実な実現に努めているところであるが、今般、平成22年度予算概算要求を踏まえ、本年6月の第2回目の実施計画に続き、第3回目の実施計画をとりまとめたものである。

1 改革の原則の徹底

(1)規則遵守の徹底

1幹部隊員の規則遵守の徹底

  •  本年6月、幹部隊員の規則遵守の徹底にも資するよう、隊員として理解しておく必要のある規則等をとりまとめ、これに解説及び事例を加えた「服務ハンドブック」を作成、幹部隊員等に配布し、周知徹底。
  •  本年6月、「服務規範チェックリスト」を作成、幹部隊員等に配布し、服務指導や隊員の理解度の把握等に活用。

2規則遵守についての職場教育

  •  規則遵守を徹底するため、現在、各機関等の教育担当部局との意見交換等を実施しており、これに基づき、職場教育等の現状についての調査分析を実施(本年度)。
  •  当該調査分析を踏まえ、教育担当部局等と連携しつつ、必要に応じて改善を実施。その際、職場教育等の充実に併せ、留意事項のチェックリストを作成(本年度)。

3機密保持に関する規則の徹底的遵守

ア 情報保全に関する規則の徹底的周知

  •  「秘密保全に関する訓令」等の情報保全関連規則について、「保全教育の実施に関する指針」等に基づき、隊員に対する教育を引き続き実施。
     あわせて、各機関等における保全教育の実施状況を毎年2回報告させ、その状況を管理。
  •  19年5月に発出された防衛大臣指示に基づき、情報保全等に対する隊員の意識改革を行うため、引き続き毎年度、全隊員を対象とする個別面談を実施。

イ 情報保全隊の育成・強化

  •  自衛官定数の変更を盛り込んだ「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」の成立を受け、本年8月1日、各自衛隊に設置されている情報保全隊を統合して「自衛隊情報保全隊」を新編。今後も必要に応じて増員を行い、情報保全機能を一層強化。

ウ 警務隊の統合及び能力強化

  •  警務隊の在り方を見直し、秘密漏えい等の捜査能力を強化するため、各自衛隊に設置されている警務隊の特殊犯罪捜査機能(秘密漏えい、収賄等及びハイテク対処)を陸上自衛隊の警務部隊に統合した「中央警務隊(仮称)」を新編すべく、22年度概算要求。
  •  警務隊の捜査能力の強化を図るため、警務官の警察への派遣や警察の行う研修等への参加を引き続き実施。

4防衛調達における透明性・競争性の確保、責任の所在の明確化

ア 「総合取得改革推進プロジェクトチーム」報告書の施策の着実な実施

  •  一般輸入調達を一元的に所掌する課として、本年4月、装備施設本部に「輸入調達課」を設置し、一般輸入調達に関する管理を強化。
  •  本年4月、装備施設本部に「ライフサイクルコスト管理室」を設置し、装備品のライフサイクルコストに関する管理を強化。
  •  一般輸入調達に関し海外製造メーカーとの直接契約を推進するため、海外メーカー等に対して説明を行うとともに、「入札及び契約の心得」等についての英訳をホームページに掲載するなどの措置を引き続き実施。
  •  従来のインセンティブ契約制度の効果を高め、その活用を広げるため、昨年10月から新たなインセンティブ契約制度を運用。
  •  装備施設本部において、総合取得改革の着実な進捗及び具体化を図るため、昨年8月、同本部長を長とするプロジェクトチームを設置し、検討を重ね、昨年12月に、それまでの成果をとりまとめるとともに、調達業務上の諸課題の改革を推進。
     このうち、企業に対する監査能力の強化及びコスト削減と品質の向上を促進する監査システムの構築のための専門部署として、装備施設本部に「企業監査課(仮称)」を新設すべく、22年度概算要求。

イ 会議録の作成及び公表

  •  本年3月、防衛省の主要な会議における議事録等の作成及びその公開に関する基本的考え方を定めた通達を発出し、意思決定過程等の透明性の向上等のための措置を実施。

ウ 幹部隊員の再就職の厳格なチェック等

  •  19年9月に人事教育局に新設した再就職審査室において、再就職先におけるより具体的な職務内容等についての厳格な審査を行うとともに、離職者就職審査分科会においても厳格な審査を実施。
  •  19年4月の「公務員制度改革について」を踏まえ、若年定年・任期制等の隊員の特別職としての特殊性を十分考慮した上で、本年度中に自衛隊法を改正し、22年度に一般職国家公務員に準じた再就職等規制を導入するとともに、再就職の監視等を行う「自衛隊員倫理・再就職等審議会(仮称)」及び同審議会に置かれる「自衛隊員再就職等監察官(仮称)」を新設すべく、概算要求。

5監査・監察の強化

  •  本年2月、内部部局が実施している各調達機関に対する監査を改め、内部部局及び各機関合同で部隊等における調達部署の監査を行うとともに、その結果について他機関にも周知することにより、厳格な監査や監査能力の強化を実施。
  •  防衛監察本部においては、本年度7名増員したところであるが、更に11名の増員等を22年度概算要求し、監察体制を強化。
  •  防衛監察本部は、中期的に取り組むべき監察事項・項目を抽出するため、本年度から、コンプライアンスに関して組織に潜在するリスクを幅広く把握する調査を毎年度実施することとし、これも踏まえ、監察に関する優先度を考慮した年度毎の防衛監察計画を策定(本年度)。
  •  引き続き「抜き打ち監察」を実施するとともに、昨年9月に部外の公認会計士を採用すること等により、監察の厳格性・実効性を確保。

6規則の見直し・改善

ア 各種規則の見直し

  •  現在の省令、訓令、通達、通知などについて、実質的な規範性を喪失している規則などの洗い出し等や隊員に対するアンケート調査の結果を踏まえ、本年1月から、省内各機関において規則の改正等を実施。

イ 秘密指定の厳格化

  •  引き続き、訓令等に基づき、秘の指定基準を明確化するとともに、秘の指定の際に理由を明記することにより、秘密指定を厳格に実施。
  •  本年3月、部内の情報保全部局担当者からなる「秘密指定等適正管理審査会」を設置し、秘密の指定理由、指定条件の妥当性等について厳格な審査を実施。

(2)プロフェッショナリズム(職業意識)の確立

1幹部教育の充実

ア 経歴管理の見直し等

  •  幹部要員などの在り方についての分析・評価を実施し、今後、これも踏まえ、中長期的な人事管理の在り方を見直し(22年度)。

イ 各自衛隊幹部学校の見直しや高級幹部の教育課程の統合化の推進

  •  本年3月から、高級幹部の自覚の徹底等を図るため、将官昇任時の研修を実施。
  •  幹部自衛官にプロ意識・職責を自覚させ、識能を向上させるため、初級・中級・上級幹部の各レベルでの教育を充実(本年度~22年度)。
     また、教育に関する統一のとれた基本的な方針を策定するとともに、自己研鑽に資する書籍、文献等のリストを作成・配布(本年度)。
  •  統合教育を充実させるとともに、各自衛隊幹部学校等の間の教育の連携確保のため、本年3月、統合教育に関する規則において、統合幕僚学校及び各自衛隊の幹部学校等における統合教育の内容をより具体的に規定。今後も必要に応じて、更なる見直しを実施。

ウ 幅広い視野の養成

  •  より幅広い視野を養うとともに自らの任務を改めて認識させるため、自衛官も含め、着実に省庁間の人事交流を引き続き推進。
  •  文官については、企画官クラスに昇任するまでの間に、海外の大学院への留学など最低一回の海外勤務を経験させるよう計画するとともに、国内の大学、研究機関等における1年を超える長期の研修機会を充実。
     また、計画的・継続的な長期の研修を容易にするため、研修者のための定員枠を創設すべく、22年度概算要求。
  •  自衛官については、引き続き、民間研修等、幹部教育・統合教育を充実させるとともに、自衛官の国内外の大学院への留学や民間での研修の機会及び幹部自衛官の修士・博士の学位取得者増加のための機会も充実。

2基礎的な隊員教育の充実

ア 幕僚監部、司令部、部隊等の各レベルでの業務量と人員配置の見直し

  •  隊員の職場教育の機会及び職場教育を行う人員の確保を図るため、幕僚監部、司令部、部隊等の各レベルにおける業務量と人員配置について、「防衛計画の大綱」の見直しに関する検討と併せ、その見直し作業を実施。

イ 基礎的教育の充実強化

  •  教育に関する統一のとれた基本的な方針を策定するほか、曹士クラスに対するものも含め各レベル毎に教育上の重点方針を明らかにし、任務遂行に必要な基礎的教育を確実に実施するとともに、部隊と学校における教育の連携、各レベルに対応した統合教育を充実・強化(本年度)。
  

3情報伝達・保全におけるプロ意識の醸成

ア 情報伝達におけるプロ意識の確立

  •  「緊急事態等が発生した際の速報について(通達)」と昨年10月に発出したその細部事項を隊員に対し周知徹底。

イ 情報保全におけるプロ意識の確立

  •  情報保全教育については、現在「保全教育の実施に関する指針」等に基づき、厳格に実施しているが、各機関の特性に応じた保全教育となっているかなどを適宜確認し必要に応じて見直すこととしており、昨年度は、海上自衛隊、航空自衛隊について確認し、今後も各機関について確認。
 

ウ カウンターインテリジェンス対策の強化

  •  カウンターインテリジェンスに関する情報を効率的に収集・共有するため、本年3月、事務次官を委員長とする「防衛省カウンターインテリジェンス委員会」を設置し、内閣官房に置かれているカウンターインテリジェンス・センターとも密接に連携を行いつつ、情報保全機能を強化。
  •  また、本年8月1日、「自衛隊情報保全隊」を新編し、カウンターインテリジェンス機能を強化。
 

エ 情報セキュリティ対策の強化

  •  情報セキュリティ対策については、昨年度、全隊員を対象とするアンケート調査を実施し、情報保証訓令に基づく規則の遵守状況を確認するとともに、国内外の大学等に要員を派遣し、専門要員の養成を実施。引き続き、自衛隊指揮通信システム隊及び各自衛隊の要員に対する国内外での専門教育について、22年度概算要求。
 

(3)全体最適をめざした任務遂行型の業務運営の確立

1PDCA(Plan Do Check Act:計画・実施・評価・改善)サイクルの確立

  •  昨年度、各機関の業務改善制度に関する現状や民間の優れた業務改善手法などについて調査を実施し、今後、これらを踏まえ、「業務改善に関するガイドライン」を策定・周知徹底することにより、部隊等におけるPDCAサイクルを確立(本年度)。

2部局間の垣根を越えたチームによる課題への対処

  •  防衛省が抱える政策課題のうち、組織横断的なプロジェクトチーム(IPT)を活用して取り組むことが適切なものについては、IPTによる取組みを行っており、今後直面する部局間をまたがる新たな重要な政策課題についても、原則として、IPTによる取組みを実施。

3防衛調達における統合プロジェクトチーム(IPT)手法の推進

  •  本年度から装備品のライフサイクルコスト管理を一層強化するため、防衛所要や費用対効果の判断を踏まえた意思決定を可能とするとともに、コスト面に係る説明責任を強化するための体制を整備することとし、本年4月に装備施設本部にライフサイクルコスト管理室を設置するとともに、IPT手法を活用した組織横断的な連絡調整会議を積極的に実施。

4組織として整合性のとれた広報

ア 内部部局報道官による情報発信の一元的な把握の推進

  •  防衛省全体として整合性のとれた効果的・効率的な広報活動を行うための統一的な方針を策定(本年度)。
  •  情報発信等について内部部局の報道官の下で一元的に把握し、整合性のとれたものとし得るよう、所要の態勢を整備。その際、部隊の実情に精通した自衛官の積極的な活用を図るため広報課に勤務する自衛官の定員化について22年度概算要求するとともに、可能な限りの統合化に留意。

イ 部隊等におけるマスコミ対応のルール化

  •  マスメディアに対する対応は中央の各機関及び部隊の長に委ねられ、明確な共通ルールが定められていないことから、中央の各機関及び部隊等を含む地方組織におけるマスメディア対応の統一的なルールを制度化(本年度)。
     なお、本年3月、隊員による部外に対する意見発表の際の手続について、届出対象・届出内容等を明確にするなどの見直しを行った上で、新たに防衛大臣通達として発出し、全隊員に周知徹底。

ウ 国民との直接対話、広聴の機会の充実

  •  防衛問題セミナーの活用や定期的なシンポジウムの実施、地方防衛局の活用等により、国民との直接対話等を引き続き強化・充実。

エ 緊急事態での広報に係る基本的ルール等の確立

  •  緊急事態における広報に係るマニュアルを整備するとともに、関係隊員に対するメディアトレーニングについて、本年3月に内部部局の課長級等を対象に試行的に実施した結果を踏まえ、今後、必要に応じて実施(本年度)。

(4)その他

1 情報集約や危機管理への対応を行うセンターの設置

  • 緊急事態が生起した際に、防衛省としての斉一性及び適時性を確保した対外対応をなし得る態勢を整備するため、庁舎内に必要な機材の設置等を順次実施。また、本年6月、自衛隊の事故等が生起した際、防衛大臣の決定に基づき対策本部を設置することなどを内容とする通達を発出。

2各種事態における対処要領の確立等

  • 「緊急事態等が発生した際の速報について(通達)」等について周知徹底。
  • 各種事態における対応要領を周知徹底し、随時の訓練によって不断の組織的検証を実施。

3自衛隊における中間司令部の在り方について見直し

  • 「防衛計画の大綱」の見直しに関する検討において、中間司令部の在り方等について検討を行い必要な見直しを実施。

4地方調達の全面的見直し

  • 中央・地方調達データの一元的な管理を行うためのシステムについて、設計に関する部外委託調査を実施し、構築(本年度~22年度)。
  •  中央での一括調達によってコスト低減が可能な装備品は中央調達に移行するなど、中央調達・地方調達の区分の在り方を含め、地方調達の見直しについて、自衛隊の活動や地域との関係をも考慮しつつ、検討を実施。

5装備調達における独立性の高い第三者チェック体制を確立

  •  防衛調達審議会は、これまで、主に調達の実施段階におけるチェックを行っていたが、本年度から、新たなインセンティブ契約制度など、総合取得改革推進プロジェクトチーム報告書に基づき講じられている施策の運用状況についてもチェックすることとし、今後も必要に応じて第三者チェック体制を強化。
  •  商社等の法令遵守に関する体制等を調査するため、昨年度から監査法人を活用して、当該調査を実施。

6退職自衛官の活用・処遇

  •  予備自衛官に係る人的資源の確保に係る検討及び予備自衛官の運用構想の精査を踏まえて行う今後の予備自衛官の在り方の方向性に係る検討を中心として検討。

7防衛省と他省庁とりわけ警察・海上保安庁との関係

  •  自衛隊と他省庁、特に警察及び海上保安庁との関係については、内閣官房と連携しつつ、国全体としての対処能力を向上させる観点から、中央の実務レベルにおいて平素から運用面での連携や役割分担に係る議論を行うとともに、地方レベルでの連携に関する訓練等を実施するなど、更なる連携強化を図ることについて検討。

2 抜本的な組織改革

(1)本年度組織改革

 防衛会議の法律上の新設、防衛参事官制度の廃止及び防衛大臣補佐官の新設については、これらを盛り込んだ「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」が成立したことを受け、本年8月1日に措置済み。

(2)22年度組織改革

 22年度組織改革(防衛政策局の機能強化、統合幕僚監部の機能強化、防衛力整備部門の一元化等)については、昨年12月にとりまとめた「22年度における防衛省組織改革に関する基本的考え方」に基づき、その具体的な内容について検討してきたところ、今般その成案について22年度概算要求。詳細は別添のとおり。

ページの先頭へ戻る