22年度における防衛省組織改革に関する基本的考え方

20年12月
防衛省

 本年7月15日に防衛省改革会議の報告書(報告書)がとりまとめられ、防衛省としては、報告書に示された提言を実現するため、7月18日に防衛大臣を本部長とする防衛省改革本部を設置し、8月26日に「防衛省における組織改革に関する基本方針」及び「防衛省改革の実現に向けての実施計画について」をとりまとめた。
 爾後、防衛省改革を早期にかつ計画的に実現するため、防衛会議の法律上の新設を含む21年度における措置の実施のための作業を行うとともに、22年度組織改革に向けて省内で精力的な検討作業を行っているところである。
 今回、22年度における抜本的な組織改革について、その後の検討作業により、基本的な方向性等が得られたことから、これらをとりまとめ、「22年度における防衛省組織改革に関する基本的考え方」として示すこととする。
 今後、この基本的考え方に基づき、前航空幕僚長に関する事案も踏まえつつ、省内の検討作業を推進する。

1 組織改革の目的

 抜本的な組織改革については、不祥事の再発を防止するため、報告書で提言された改革の3原則をより確実にかつ効果的に実行するとともに、今日の自衛隊を取り巻く安全保障環境の変化や自衛隊に求められる役割の重要性に鑑み、文民統制を確保しつつ、人材を有効に活用して自衛隊を積極的・効率的に機能させることができるようにするために、行うものである。
 こうした目的の下、文官と自衛官との一体感の醸成と協働体制の確立を図りつつ、防衛政策局の機能強化、統合幕僚監部の機能強化、整備部門の一元化、管理部門及び人事、教育・訓練部門における施策を行う。

2 文官と自衛官との協働体制の確立

 文官と自衛官は、それぞれ専門的知識や経験を持っており、内部部局、統合幕僚監部、各幕僚監部等において、両者が混在して、あらゆる局面で協働することが、防衛省・自衛隊の全体最適のためには必要である。
 このため、現在の制度では困難な自衛官の内部部局における定員化を制度化するとともに、その専門性に応じて文官と自衛官を適切に配置し、真に文官と自衛官が協働できる体制を構築する。

3 防衛政策局の機能強化

(基本方針)
防衛政策の企画・立案・発信機能を向上させるため、次長クラス以下に自衛官を組み入れることなどにより、防衛政策局を拡充する。

(実施計画)

  • 中長期的な観点からの防衛政策の企画立案機能の強化、国外における地域ごとの多様な安全保障上の課題に適切に対応し得る機能の強化などに留意し、防衛政策局を組織改編。
  • 機能が強化される統合幕僚監部、陸・海・空幕僚監部との関係の整理、新たな防衛力整備部門との適切な連携。
  • 防衛政策局の次長クラス以下に自衛官を配置するなど、文官と自衛官を混在させる組織に改編。

(1)新たな防衛政策局構築の基本的方向性

 防衛政策の要としての機能強化
 我が国の安全保障を確保するため防衛省・自衛隊の役割は益々増大する傾向にあるが、安全保障分野において内閣総理大臣及び防衛大臣を適切に補佐し、文民統制をさらに徹底し、より実効的な政策を実施するためには、官邸の司令塔機能の強化と合わせ、我が国の防衛政策の要となるべき防衛政策局の機能を強化することが必要である。

 整合のとれた防衛政策遂行体制の構築
 22年度の組織改革において、運用企画局が廃止され統合幕僚監部の機能が強化されるとともに、防衛力整備部門が新たに創設されるなど、防衛省の組織が抜本的に改編されることとなるが、防衛政策局においては、各幕僚監部や新たな整備部門などと緊密に連携するための機能を強化し、防衛省全体として整合のとれた防衛政策を遂行できるような体制を構築する。

(2)組織改革の具体的な方向性

 中長期的な観点からの防衛政策の企画・立案・発信機能の強化
 報告書においては、官邸の司令塔機能の強化を図るため、官邸が我が国としての安全保障戦略を策定することが提言されていることから、防衛省としては、例えば、「防衛戦略(仮称)」を策定するなど、官邸による戦略の策定に積極的に寄与し、中長期的かつ総合的な観点から防衛政策を企画・立案し、発信する機能を強化する。

 国際的活動を含む国際・地域分野での政策の企画・立案機能の強化
 我が国の安全保障をより確固たるものとするため、防衛省・自衛隊による国際的活動が一層求められており、また、防衛省として、国外における地域毎の多様な安全保障上の課題に適切に対応する必要がある。
 中長期的かつ総合的な防衛政策の企画・立案・発信機能とともに、上記のような役割に資するよう、各種情報の収集・分析能力を強化するとともに、情報部門、運用部門と連携し、国際的活動を含む国際・地域分野での政策の企画・立案機能を向上し、あわせて防衛交流・多国間安保対話・軍備管理・軍縮等を戦略的に実施する体制を強化することが必要である。

 防衛政策局における自衛官の配置
 上記のような防衛政策局の機能強化を図るため、次長クラス以下に自衛官を組み入れることとし、防衛政策の企画・立案の際、自衛官の知見や経験を直接反映できる体制を構築する。

4 統合幕僚監部の機能強化

(基本方針)
自衛隊の運用に関する機能を一元化するため、運用企画局を廃止し、その機能を統合幕僚監部に移管するとともに、副長クラス以下に文官を組み入れるほか、統合幕僚長と各幕僚長との関係も考慮しつつ、統合幕僚監部の機能を強化する。

(実施計画)

  • 運用企画局を廃止し、統合幕僚監部にその機能を移管することにより、自衛隊の運用機能を一元化。
  • 自衛隊の運用に関する重要な事項、例えば、部隊出動の決定などについては、防衛政策局を通じて、防衛会議の審議を経て、防衛大臣が決定する仕組みを確立。
  • 統合幕僚監部は、副長クラス以下に文官を配置するとともに、統合幕僚長と各幕僚長との関係も考慮しつつ、自衛官と文官を混在させる組織に改編。

(1)新たな統合幕僚監部構築の基本的方向性

 自衛隊を抑制的に管理し、防衛力整備を重視する時代から、大規模災害、不審船等各種事態への対処、国際平和協力活動の実施など多様な役割を果たす自衛隊をより的確に運用する時代へと変化し、我が国を取り巻く安全保障環境の変化や危機管理意識の高まり等もある今日、各種事態に迅速かつ実効的に対応し得るよう、運用企画局を廃止し、自衛隊の運用を一元的に担う新たな統合幕僚監部を構築する。
 なお、その際、自衛隊の統合運用の実効性をより高めるため、統合幕僚長と陸・海・空幕僚長との関係について検討し、適切な措置を講ずる。

(2)組織改革の具体的な方向性

 運用企画局の廃止
 運用企画局と統合幕僚監部の実態としての業務の重複に起因する責任の不明確な部分を解消するとともに、一つの組織の下で合理的かつ一体的に業務を行い得るよう、運用企画局を廃止し、基本的に、その機能を統合幕僚監部に担わせることとする。
 その結果、運用企画局が所掌している「自衛隊の行動の基本に関すること」は、内部部局の所掌事務として維持しないこととする。
 新たな統合幕僚監部は、自衛隊の運用に係る制度の企画・立案や他府省との連絡調整などの機能を遂行することとなるが、その具体的な業務の範囲については、新たな統合幕僚監部の役割や、統合幕僚監部と「防衛及び警備の基本に関すること」等を所掌する防衛政策局との関係を考慮しつつ決定する。
 なお、新たな統合幕僚監部の業務に関する具体的な国会対応の在り方については、今後、検討し、結論を得る。

 統合幕僚監部における文官の配置
 自衛隊の運用については、国内外の政治情勢等を考慮しつつこれを行っていくことが必要であることや、統合幕僚監部の新たな役割として、上記の自衛隊の運用に係る制度の企画・立案機能、他府省等との連絡調整機能等を付加することに伴い、新たな統合幕僚監部の副長クラス以下に文官を組み入れた体制を構築する。

 その他
 現在運用企画局が所掌する「部隊訓練の基本に関すること」については、内部部局が行うことが適切な業務については内部部局が所掌するとともに、「防衛省の情報システムの整備・管理に関すること」、「指揮通信の基本に関すること」、「電波監理の基本に関すること」等とあわせ、内部部局と統合幕僚監部の所掌について、今後整理する。

5 防衛力整備部門の一元化

(基本方針)
防衛力整備の全体最適化を図るため、内部部局と陸・海・空幕僚監部の防衛力整備部門を整理・再編して、防衛力整備事業等を一元的に取り扱う新たな防衛力整備部門を創設する。
その際、一元的に取り扱う整備事業等の範囲や新たな部門の組織の在り方(内部部局の局又は特別の機関のいずれに位置付けるのか)については、速やかに結論を得る。
統合幕僚監部は自衛隊の運用上の観点から、また陸・海・空幕僚監部は人事・教育・訓練・補給等の観点から、それぞれ、防衛力整備部門に対して必要な意見を述べることができる制度を確立する。

(実施計画)

  • 防衛力整備の全体最適化を図るため、防衛力整備部門を整理・再編して、防衛力整備事業等を一元的に取り扱う新たな部門を創設。
    その際、一元的に取り扱う整備事業等の範囲や新たな部門の組織の在り方(内部部局の局又は特別の機関のいずれに位置付けるのか)については、速やかに結論を得ることが必要。
  • 防衛力整備に関する重要な事項については、防衛会議の審議を経て、防衛大臣が決定する仕組みを確立。
  • 統合幕僚監部や陸・海・空幕僚監部により運用上の全体最適化の観点や現場部隊のニーズが防衛力整備に適切に反映されるような仕組みを確立。
  • 新たな整備部門は、文官と自衛官を混在させる組織として創設。

(1)新たな整備部門構築の基本的方向性

 防衛力整備の全体最適化を図るためには、各自衛隊の組織・定員・編成・装備・配置について全体構想・計画を策定するとともに、個々の施策は常に全体の目標に適合するよう計画・措置され、かつ優先度を踏まえた予算の集中運用や各種事業の統合・共通化による効率性の追求なども行い得るよう各年度の予算が全体最適化の考えの下に編成されることにより、防衛省として統一的で効果的・効率的な防衛力整備事業等を行うことが必要である。
 このため、内部部局、各幕僚監部の防衛力整備部門を統合して、整備事業等を一元的に取り扱う新たな防衛力整備部門(整備部門)を創設する。

(2)組織改革の具体的な方向性

 新たな整備部門の業務
 新たな整備部門は、防衛力整備事業等を一元的に取り扱うこととし、このため、防衛省として統一的な整備構想の策定、整備計画の策定、年度予算の編成・執行等の総括、内閣官房等との調整を実施する。
   また、我が国の防衛力の主要な構成要素である各自衛隊の主要な部隊、主要装備、共通装備、システム関連装備、研究開発、自衛官定数、事務官等定員などについては、それらの整備構想・計画の策定等を行うとともに、年度予算要求等の予算編成作業を実施する。

 一元化の例外
 各自衛隊の隊務と密接に連携する事項については、各自衛隊の隊務を円滑に実施し得るよう、一元化の例外として、各幕僚監部で取り扱うこととするが、最終的に、新たな整備部門は、これらの業務をとりまとめ、防衛力整備の全体最適化を実施する。

 新たな整備部門の組織の在り方
 新たな整備部門については、内部部局の局とすることを基本として、今後、具体的な業務要領、具体的な組織構造などについて検討・検証を行うこととする。

6 管理部門及び人事、教育・訓練部門における施策

(基本方針)
管理部門については、内部部局・統合幕僚監部、陸・海・空幕僚監部の業務の重複を避け、極力統合化を図る。
自衛官の人事、教育・訓練部門については、陸・海・空幕僚監部が主たる責任を負うとともに、内部部局も制度や政策面から統一的に防衛大臣を補佐する体制を構築する。

(実施計画)

  • 管理部門においては、各機関の重複を避け、防衛省として統合的に遂行すべき分野であることから、極力統合化。
  • また、同部門については、内部部局に自衛官を積極的に登用するなど、文官と自衛官を混在させる組織に改編。
  • 自衛官の人事、教育・訓練部門については、陸・海・空幕僚長の下で各幕僚監部が主たる責任を負うとともに、内部部局も制度や政策面から統一的に防衛大臣を補佐する体制を構築。

(1)管理部門

 管理部門については、内部部局と各機関の重複を避け、防衛省として統合的に業務を遂行すべき分野であることから、極力統合化を図り、業務の効率化と人材の有効活用を行う。
 具体的な検討においては、類似的業務を実施しているもの、同一業務を分担して実施しているものなどに着目して、実際の業務の重複性の観点から整理・集約し、各幕僚監部による隊務の運営に支障を来さないよう留意しつつ、必要に応じて組織を見直すとともに、業務要領を改善・効率化する。

(2)人事、教育・訓練部門

 自衛官の人事、教育・訓練部門については、各幕僚監部が主たる責任を負うべき分野であるとの観点から、各幕僚監部が行う具体的事項を整理するとともに、制度や政策面から統一的に防衛大臣を補佐するとの観点から、内部部局が行う具体的事項を整理し、内部部局と各幕僚監部が行う業務の一層の適正化を図るものとする。
 具体的検討においては、内部部局と各幕僚監部の業務の重複を避けることに留意しつつ、内部部局と各幕僚監部との間などの業務要領を精査し、必要に応じて規則改正などを実施する。

7 その他

(1)専門部会の設置

 上記のような22年度における抜本的な組織改革の具体的な在り方を検討するため、今後速やかに、防衛省改革本部の下に専門部会を設置し、具体的な編成案や新たな業務要領に関する検討などを行い、防衛省改革本部として、来年8月末に向けて、22年度概算要求のための作業を精力的に行うこととする。

(2)業務に関する検証

 抜本的な組織改革については、真に機能する改革とするため、不必要な混乱を招かないよう、新たな組織へ円滑な移行を行うことが必要であることから、今後、業務に関する検証を行い、22年度における組織改革を実現することとする。

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