第2回生物兵器への対処に関する懇談会 議事概要


 日時: 平成12年7月31日(月)1400~1700
 場所: 防衛庁A棟13階第2庁議室
 出席者
○委員: 仲村 英一 (財団法人日本医療保険事務協会理事長) [座長]
倉田 毅 (国立感染症研究所副所長) [副座長]
石井 修一 (東洋紡績株式会社主席技術顧問) 
相楽 裕子 (横浜市民病院感染症部長)
志方 俊之 (帝京大学教授)
牧野 壮一 (帯広畜産大学助教授)
三瀬 勝利 (国立医薬品食品衛生研究所副所長)
雪下 國雄 (社団法人日本医師会常任理事)
渡邉 治雄 (国立感染症研究所細菌部長)
○防衛庁: 人事教育局長、衛生参事官等
 議事概要
(1) 「第1回生物兵器への対処に関する懇談会議事概要(案)」が了承された。
(2) 事務局から参考資料が説明され、論点メモに沿って自由討議が行われた。
(3) 米国調査のスケジュールについて調整を行った。
 自由討議の概要
(1)  総論
 生物兵器への対処には10年20年という長い準備期間を必要とするので、人材の養成、器材の研究開発などについて、幅広く早急に取り組むべきではないか。
 次期中期防衛計画の中に、生物兵器対処への取組について、明確に盛り込むべきではないか。
 PKOや国際緊急援助活動のために、自衛隊には生物兵器対処のノウハウを持っておく必要があるのではないか。
 国民の理解を得るためには、図上演習(CPX)や部隊行動を伴う演習を計画し、その演習をメディアにも開放するという方法がよいのではないか。
 対処に当たっては、生物兵器の使用が明らかな場合と明らかでない場合とに分けて検討を行うとともに国民に被害が出ることを想定することが必要ではないか。
 CDCの報告書にまとめられた「危険な生物剤」を念頭に、国際情勢を考慮して、生物兵器への対処を検討していってよいのではないか。
 すべての生物剤に対する体制を整える前に、まず、いくつかの生物剤に対する体制を整えることが重要ではないか。
 保存しやすい、使いやすいことから、生物剤の中でも、特に天然痘ウイルスと炭疽菌が重要ではないか。
 事態発生時に、すぐに現地へ赴き、検知、同定、感染拡大防止措置などの初期対応ができるような小部隊が必要ではないか。
 感染症研究所やUSAMRIID等での研修により、感染症専門の医官を継続的に育成していく必要があるのではないか。
(2) 検知
 CDC報告書にある生物剤のほとんどは、感染症発生動向調査の対象となっており、天然痘も含め、施設が整備されている地方衛生研究所や感染症研究所では、技術の導入により、実験室診断検査が可能となる。
 散在的集団発生の場合は、原因が共通かどうかわかりにくく、個別の発生事例について、関連性の有無を解析することが鍵となる。
 日常的なサーベイランスの際には、生物兵器が使用されたかどうかという観点からも検討する必要があるのではないか。
 検知器材にはいろいろなタイプがあるが、どのように評価をするかが問題である。
 検知器材や防護器材は、国内で作るか、国外から買ってくるかであるが、いずれの場合でも、検証は、自らやる必要があるのではないか。
 人への影響の評価や装備の有効性の検証を行う上で、擬剤となる微生物の候補はあるが、その擬剤が適当かどうかを判断するためには検証が必要である。
(3) 同定(検査)
 防護の研究を行うには最小限の量の生物剤の保有が必要なのではないか。
 診断のためだけであれば、P2の検査室で十分であるが、病原体の遺伝子検査や、患者退院を判断するためのウイルスの分離、検査材料の作成、詳細な検査のためには、P4の検査室が必要である。
(4) 防護
 化学剤に対する防護衣、防護マスクなどの装備品は、生物剤にも十分使用可能と考えられるが、限界を知るなど検証も必要である。
 必要な装備を装備体系化して、試用品を評価するための設備を備えることが必要ではないか。
(5) 予防
 天然痘の場合は、発症者の周囲の人にワクチンを接種することが効果的であり、ワクチンの備蓄が必要ではないか。
(6) 診断治療
 炭疽のように診療をした経験者がいないような疾患については、第一線の臨床医への教育のため、疾病に関するビデオや冊子を作成するとともに、臨床医からの相談に応じられるシステムを作っておくことが必要ではないか。
 疾病の蔓延を防ぐには、最初に患者の対応を行う地域の医師が、早く診断して、早く処理することが必要であり、地域の医師が日常見慣れない天然痘、炭疽等について、周知する必要があるのではないか。
 患者が多数発生する場合への対応として、自衛隊病院は、第1種、第2種感染症指定医療機関に相当する機能を持つべきではないか。
 感染症に対応する設備の整備だけでなく、医療スタッフに対して感染防護のためのトレーニングを行うことが必要ではないか。
(7) 搬送
 搬送の際には、患者にマスクを付け、ケアする人にはゴーグル、マスクなど血液等が粘膜や傷口から入らないようなものを身に付けることで、天然痘を除くほとんどの生物剤について対応できるのではないか。
 搬送に当たっては、病原体の特性を踏まえて、感染のリスクを最低に押さえながら、医療が行いやすい方法をとるべきではないか。
(8) 除染
 次亜塩素酸ソーダは、炭疽菌の芽胞を消毒することができ、すべての生物剤に対応できるのではないか。
(9)  情報収集、分析
 生物兵器への対処を行う体制づくりをする上で、情報の収集、分析体制は重要であり、専門家を養成する必要があるのではないか。
(10)  関係機関の連携
 対処に当たっては、政府全体で取り組むべきであり、感染症発生動向調査、医薬品の備蓄、演習の実施などについて各省庁との連携が必要ではないか。

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