防衛省開発航空機の民間転用に関する検討会(第3回)議事要旨

1.日時

平成22年6月18日(金)14:00~16:00

2.場所

防衛省A棟4階 陸幕会議室

3.出席者

《有識者》
今清水委員、梶浦委員、杉浦委員、鈴木委員、中山委員、安江委員  

《防衛省》
〈経理装備局〉
岩井大臣官房審議官(座長)、増田装備政策課長、齋藤航空機課長、飯野技術計画官
〈陸上幕僚監部〉
服部航空機課長、若松装備計画課班長補佐
〈海上幕僚監部〉
佐藤装備体系課長、市川航空機課長、森技術課航空機技術班長
〈航空幕僚監部〉
長島装備体系課長、井上装備課長、安川技術課長
〈技術研究本部〉
佐久間企画課長
〈装備施設本部〉
斉藤調達企画課長、高嶋航空機第2課長

《関係者》
川崎重工業株式会社(渡邉執行役員)、新明和工業株式会社(石丸理事)

《関係省庁等》
経済産業省 航空機武器宇宙産業課 広瀬課長
国土交通省 航空機安全課 高野課長
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
中道研究開発本部航空技術研究統括 兼 専門技術統括補佐、町田研究開発企画室長

4.議題

(1)民間転用事業に対するJAXA の技術協力について
(2)企業による開発経費の国への還元の在り方について
(3)検討会におけるこれまでの議論の整理について
(4)その他

5.議事概要

○ 民間転用事業に対するJAXA の技術協力について、独立行政法人宇宙航空研究開発機 構から資料1に基づいて説明。
○企業による開発経費の国への還元の在り方について、事務局から資料2に基づいて、 安江委員から資料3に基づいて説明。
○検討会におけるこれまでの議論の整理について、事務局から資料4に基づいて説明。
○今後の進め方について、事務局から資料5に基づいて説明・了承。

《主要な議論内容》

■企業による開発経費の国への還元の在り方について(資料2・資料3)

○ 民転によって量産効果が生ずれば理想的ではあるが、実際には次の2つの点で減価性 がある。
①防衛省機の調達に係る積算は、原価計算方式による。改造度にもよるのだろうが民 転機が販売されればその市場価格を積算要素とすることとなる。したがって、防衛省 機と民転機に大きな価格差が生じる二重価格が存在するという前提は現実的ではな い。
②専用治工具は、以前にも述べたが、民転機と共有する時点で汎用治工具となる。専 用治工具は防衛省が全て負担する形になるが、汎用治工具になった時点で、それ以降 は全て防衛省が負担する形にはならない点に留意する必要がある。

○ 技術資料や実用資料について、特許のようなものは別として、ノウハウは排他性がな い。契約上官側に納めている資料について企業が使う場合は国庫に納入される利用料 が発生するということだが、具体的な資料は何を想定しているのか。発注方式から考 えればノウハウは企業側にあり、設計図面等大抵の資料は企業側で賄えるのではない か。
なお、スピンオフなどについて色々な事例が挙げられているが、これらについて利用 料は取っていないのではないか。そうした例との整合性は図れるのか。

○ 利用価値は高いと考えている。まず試作契約で図面と設計と計算書、試験成績書を作 成するがそのほとんどが、その後国交省の型式証明を取得する際耐空性を証明するた めに必要になる。また、官側が実施する機体の静強度試験、疲労強度試験の試験デー タも国交省から型式証明をもらうときに必要。量産図面については企業のものだが、 試作段階から変更がない場合は試作図面を使用することとなるので企業のものとし ては使えない。USのような少数機は、ほとんど試作機をベースに量産機を作ってい る。また実際に販売するにあたっては顧客への説明資料、説明用性能データを作成す る際にも試作時に作成した設計書・計算書・飛行試験データ等が必要となる。

○ 企業も例えば型式証明を取るときに、官が持っている試験データが有効に使えるので あれば、同じことをするのは費用対効果が悪いので、当然お願いすることになる。そ ういう意味では必要なデータがある可能性は高い。

○ 今回の議論は、防衛省に提出された技術資料については一定の利用の必要性があるこ とを前提としている。ただ、航空機に限らず、防衛省開発技術全体の民間転用を考え ていく中で、1)防衛省と民間企業との契約上、発生する知的財産の帰属をどのよう に考えるべきか、2)発生した知的財産の利用についてはどのように考えるべきか、 3)日本版バイドールをどうしていくかということを含めて、利用権のところをどの ように考えるべきか、4)全体ではなく、防衛省が開発した技術を一部転用する場合 にはどう考えればよいかといったように、今回の前提条件から離れてもう少し広く見 なければならない将来的な課題もある。

○ ロイヤリティ方式のうち、①(販売金額を基準に実施料率を乗じる方式)よりも、② (販売利益金額を基準に実施料率を乗じる方式)の方が官民ともに意味のある形態で はないかと思う。実際に補助金事業で行っている国際共同開発(777)では、②が 上手く機能している。また、民間機開発の中にどのくらいの寄与分があるかという「寄 与率」という考え方がある。開発・量産・販売に寄与率を設けるというやり方は、国 への還元上限額を考えていく上で役立つのではないか。

○ 論点にあるような企業からの情報提供に対する心配もあると思うが、この補助金事業 の中で、コストがどのくらいかかったかということに関しては、民間航空株式会社や 会計検査院等による監査が行われている。今、防衛省の監査のやり方の踏襲が煩雑で あるのであれば、監査の仕方の工夫に関しては民間としても協力ができるのではない か。

○ ②を利用するにはしっかりとした監査機能が働かなければならないのは当然。そのた め、企業にとって将来どちらも選べるようにしておく方が好ましい。特に②の場合、 外国企業を使う場合など、利益の証明が困難な場合も出てくるだろう。①と②を比較 すると実際に支払う金額についてはおそらく②の方が小さくなる。小さい額であるの ならばしっかりと証明しなければならない。企業に選択させる方が良いだろう。

○ ビジネスモデルも複数ある。たくさん売れるモデルもあれば、販売量は少ないが運用 で儲かるモデルも出てくる。そうすると、販売価格でいきなり決めても、販売量が少 ないモデルの場合は、実施料率が変わってくるのではないか。いろいろなビジネスモ デルもあることは想定しておくべき。

○ その場合、難しいのは変更条件。販売価格を基準にして実施料率を変更するとなると 恣意的という批判を受ける可能性や、想定外事態発生の可能性が否定できない。販売 実態に応じて動いていくということを重視するのであれば、固定的な①ではなく、② の仕組みで吸収できるのではないか。いずれにせよどうなるかは分からないのだから、 ①又は②という契約時に選べるようにしておく方が現実的なのではないか。

○ これまでの議論では、一定の実施料率のもとで還元額を聴取し、その還元額の総額を 例えば開発経費総額の半分にするといったモデル案を挙げているが、その理由がなか なかつかない。そこで、単純に開発経費総額の全部や半分ということではなく、民間 転用に対する寄与分を算出し、寄与分に対して一定の実施料率をかけるという整理が あるかもしれない。

○ 補助金の収益納付のモデルでは、例えばある製品の開発に対して1/2の補助金を払 い、それが売れて利益が出たときに補助金の額までお返しをいただく。この例で言え ば、補助率は1/2とはっきりしている。純粋な補助ではないときに寄与率をどのよ うに見積り、上限をどのように設定するかは、この補助率にあたるものがどれくらい か、寄与率として置き換える場合はどのくらいにすべきかの議論が必要。

○ 寄与率については②だけでなく、①でも同じことが言える。その点を踏まえると、① と②の選択制の方が良いと思われる。②は利益が出なければ発生しないが、一般的に 広く行われている民民間のやり取りは①。この理由は、相手に懐を見られたくないと いうことだと思われる。また、①の方が金額的にも大きくなるという指摘があったが、 これは実施料率で決まる。現在の議論は国有特許の例がせいぜい2~4%という中で、 更に下げられないかというところで議論があるようだが、この2~4%という数字は そこまで決まり切ったものではない。以前は2~4%という数字は各省共通で明確に 決まっていたが、現行制度では各省の判断で設定できる仕組みになっている。そのた め、上げることもできるし、下げることもできる。もちろん、例えば1%に下げると しても、何故1%にするかという理由付け等悩ましい問題はあるが、少なくとも2~ 4%ありきでなくてもよいのではないか。今回の実施料は、「技術資料の利用対価」 として求めているので、資料の利用に関連する取り方をするのが良いというのが自然 な考え方。であればロイヤリティ方式の方が良いし、①や②の方が技術の利用に関連 しているから自然。あとは調整財源として寄与率を考えることになるのではないか。

○ いつ支払うかということは、支払周期をどのくらいの幅でみていくかということと結 びつきがある。民間航空機の例も教えて貰えればと思うが、ビジネスモデルに応じて 何が良いのかということについては、例えば1件ごとが現実的なスタイルなのか、あ る一定期間ごとのまとまった形でなければ利益率が見られないのか等、どのような形 が最も適当かということを考える必要がある。民間航空機の例も勉強させていただい て、支払いのやり方について工夫の余地があるのかどうか検討ができればと思う。

○ 例えば10年や20年ごとというのは制度上、難しい。逆に例えば5年ごとという制 度になったとき、利益が0で国庫に全く入ってこないという仕組みで良いかという点 についても、支払いを考えるときにセットで考えなければならない。

○ C2の市場規模は小さいので、リスクも高い。そういった点を踏まえると、②の方が 良い。その一方で、②は官民ともに煩雑な手続が必要となる。その煩雑さを鑑みれ ば①の方が良い。また説明の観点からも①の方が世の中には納得してもらいやすい。 何を重視するかは具体的な事業の見込みやデータが出てこないと決められないので、 そのような情報が出てきてから決められるスキームが良いのではないか。

○ 救難飛行艇は全世界では180機程度のマーケット。先ほど例が挙がった777につ いてはボーイングという巨大な企業を基盤とした世界的な分担制度であるため、リス クは小さい。リスクの高い事業をする場合、最初の5年は赤字。景気が回復しないと それが更に続く場合もある。その意味では利益が出てからの方が事業性を担保しやす い。一方で、ビジネス環境などに左右されることもあるので、ある程度の柔軟性も配 慮していただきたい。

○ 今までの議論を聞くと、メーカーと防衛省の間で決めれば良いのではないかという話 に見える。それでは検討会の意味がないので、検討会として大枠を決めて、それに対 して例外を認めるような形でまとめた方が国民としては理解しやすい。

○ ある程度将来甲乙間の契約で決める余地も視野に入れながら、制度の大枠をこの検討 会で示したい。その中で、複数の選択肢が許されるのであれば、選択肢全てが国民の 目からみてきちんと固まっていることを前提とした上で、選択するという形でまとめ ていきたい。

○ おそらく航空機分野に限らずこういった取組は官民で広げていくべきであり、その中 でこの取組は雛形になっていくのではないか。しっかりと頭の整理をした上でとりま とめたい。

○ 例えば②で実施する場合、企業は恩恵を受けているのに、利益が出るまでは国への還 元はないというのは、国民に議論を呼ぶのではないか。イニシャルPという形で初期 投資の分をある程度取ってから、その後利益が出てから取るという案もあるのではな いか。

○ それでは最初にきっちり徴収するという話になるのではないか。どのくらいいただく かという設計がなかなか難しい。

○ ①主体で、②は補填のような形で選択しうるという形が良いと思う。①を主にして民 間転用の仕組みを早期に作り、実例からいろいろな検討ができるようすべき。国民に とっても最も分かり易いのは①。①であれば、価格実態もはっきりする。企業として はどのくらい負担し、どのくらい売れるかという見通しも判断できると思う。

○ 捕らぬ狸の皮算用にならないように気をつけなければならない。実際に企業がそのス キームでやるかやらないかは企業の判断。綺麗に説明できるスキームがあっても使わ れなければ意味がない。企業には選択肢を与え、企業も当初赤字の覚悟をしながら行 うのだから重い負担をかけない。更に言えば、単年度黒字になったからといって、取 るのかという話もある。累積赤字がなくなってから取るべきという企業の意見もあり 得るのではないか。

○ いずれにしても、今回頭の整理はできたが、それで損益の計算ができないのであれば、 民転の話が進まない。説明責任から見ると、利益の出方で契約が変わるとか、途中で 契約の内容が変わるといった仕組みはできないので、権利義務関係はこういった形で やりますということがきちんと分かる形でやらないとそもそも民転の事業化計画も されない可能性がある。今までの流れは①と②を基本に、寄与率や実際の支払額がも う少しわかるような案がいるという指摘だと思うので、もう少し具体的にまとめ、そ の上で最終的な御判断をいただきたい。

■検討会におけるこれまでの議論の整理について(資料4)

○ P4の「付随義務」の中で、「②民間転用機の生産」において、極力同じ図面・治工 具の使用や、同じ装備品の生産体制を求めるとあるが、実際のビジネスモデルの中で はどうにもならない。ただ、その一方でリストや報告が求められると、防衛省機から 離れるものを作ってはいけないように思える。

○ やってはいけないという意味ではないが、これは量産効果を期待している以上、共通 する生産体制を作っていただきたい思いはあり、努力義務をお願いしている。

○ これは本文中の記載場所の問題もある。逆に言うと、民転が何故必要かというと、新 たな技術的な知財が出たときに防衛省に使わせるという部分や、量産効果が確保され れば、防衛省のコストも安くなるためという面もある。そのため、基本的な考え方の 中で記載し、防衛省に裨益することを前提に費用を決めるべき。他方で、防衛省にメ リットがなければ、実施料を増やさざるをえない。実際にはあまり厳しい条件ではな いと思っているが、企業側としての御意見をいただきたい。

○ 「防衛省に裨益することを前提に費用を決める」ということであれば、ロイヤリティ の算定に量産効果が加味される考えもあるということになる。民転の時期については、 防衛省機の調達と同時期、中途或いは全て終了した後と複数のパターンが想定される。 そのパターンごとに量産効果は異なるので、それぞれケース分けして検討する必要が あるのではないか。

○ 民間転用で得たものを基にして生じた知財については、防衛省に無償で使うことは全 く問題ない。しかし、防衛省とは全く関係なく民転事業の中で生じた知財についても、 防衛省に無償で使ってもらうことにリーガルの問題はないのか。

○ リーガルの問題というよりも、民間転用を進めた結果、防衛省にもリターンがあるこ とを前提とした上で実施料を決めていけるかどうかの問題。リーガルの問題ではなく、 会社の方針の問題ではないか。

○ 基本的にはそのような考え方に基づいて、このスキームを考えることは問題ない。

○ であれば、協力を前提に対価を決めるということにさせていただきたい。後刻で結構 なので、産業界サイドとしてどのようなお考えか御提示願いたい。

(以上)


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