防衛省開発航空機の民間転用に関する検討会(第2回)議事要旨

1.日時

平成22年5月20日(木)14:00~16:00

2.場所

防衛省D棟3階 大会議室

3.出席者

《有識者》
今清水委員、梶浦委員、杉浦委員、鈴木委員、中山委員、安江委員、山本委員

《防衛省》
岩井大臣官房審議官(座長)、〈経理装備局〉増田装備政策課長、齋藤航空機課長、飯野技術計画官、〈陸上幕僚監部〉髙田装備計画課長、服部航空機課長、〈海上幕僚監部〉佐藤装備体系課長、市川航空機課長、西山技術課長、〈航空幕僚監部〉長島装備体系課長、井上装備課長、安川技術課長、〈技術研究本部〉佐久間企画課長、〈装備施設本部〉斉藤調達企画課長、高嶋航空機第2課長

《関係者》
川崎重工業株式会社(大垣室長)、新明和工業株式会社(石丸理事、川西副本部長)

《関係省庁等》
経済産業省航空機武器宇宙産業課 畑田課長補佐、国土交通省航空機安全課 辻首席航空機検査官、独立行政法人宇宙航空研究開発機構 石川研究開発本部長

《説明者》
(財)日本航空機開発協会 根岸参与

4.議題

(1)US-2民間転用の事業化案
(2)米国における民間転用について
(3)開発経費の還元等について
(4)その他

5.議事概要

○US-2民間転用の事業化案について、新明和工業(株)から資料1に基づいて説明。米国における民間転用について、(財)日本航空機開発協会から資料2に基づいて説明。開発経費の還元等について、事務局から資料3に基づいて説明。

○また、今後の進め方について、事務局から資料4に基づいて説明・了承。

《主要な議論内容》

■救難飛行艇US-2民間転用事業体制(案)と課題について(資料1)

○米国では再輸出が重要な問題となっている。民間転用機を輸出する場合や国外メーカーにライセンス生産させる場合、企業として輸出先に対する再輸出規制やライセンス先に対してサブライセンスを制限させるといった措置は検討しているのか。

○上記の点については、今後社内で検討したい。

○US-2を消防飛行艇に改造開発する場合の費用はどの程度か。

○上記の点については、主として取水タンクを取り付ける経費やコクピットを改修する経費で数十億円と見込んでいる。現在、JAXAと共同で消防飛行艇にするための研究を実施している。

○我が国だけで改造開発し、国外に売り込もうとすると難しいのではないか。CL-215/415という小型・中型の消防飛行艇の多くがカナダで運用されていることを踏まえ、カナダのメーカーとアライアンスを締結し、小型・中型・大型の機種を揃え、ユーザーのいろいろなニーズに応じられるようにした販売を考えた方が有効ではないか。

○我が国の型式証明を取得しても、自動的に外国の安全証明が取得できるわけではない。特にUS-2は諸外国でも例のない特徴を有しており、外国の航空当局も審査の際に注目すると思われるので十分な準備を要するのではないかと懸念している。

○民間転用機の市場性を把握することが重要。欧州で使用されている飛行艇に比べてUS-2のサイズは大きいが、この点において如何なるメリットがあるのか。

○上記の点について、US-2を消防飛行艇にした場合、搭載水量は15トン。これはCL-215/415の搭載水量の約3倍。このため、消火にかかる時間が短くて済むというメリットがある。加えて、STOL機であるUS-2は低速飛行が可能であるため、消火対象に対する命中率が高くなると考えられる。US-2を民間転用した消防飛行艇は、安全な高度を低速で、かつ大容量の消防用水の放水が可能なため、安全な消火活動が可能と考えられる。

■米国における民間転用について(資料2)

○本来民間転用に使われるのは無体物である技術であると思うが、回収されるべき開発経費の中には知的財産といった無体物のみならず、試作航空機などの有体物に関する経費も含まれているのか。

○上記の点については、研究開発の過程で得られる試作物といった有体物に関する経費も含まれている。また、米国における民間転用機は、P3における主要軍需品に該当するか否かは不明であり、民間転用機の数量が開発経費を割りかける総生産数量に含まれているのか、開発経費が還元されているのか正確なところは分からない。

○米国においては、同一企業内で軍事開発に携わった技術者は民生技術の開発に関与することが制限されていると聞くが、KC-135がB707に民間転用された際、KC-135にかかわっていたボーイング社の技術者はB707の生産に関与できたのか。

○上記のKC-135の技術者のB707の生産への関与度合いについては分からない。

○米国では、総生産数量をどのようにして算出しているのか。

○上記の点については、本資料で引用している主要軍需品リストの中に、対象装備品が列挙され、それぞれについての還元額が示されているが、その額がどのように算出されたかは分からない。

○欧州の競合企業を意識しているためか、米国が我が国にFMSで装備品を販売する場合は、開発経費還元についてWaiverが適用されている。逆に適用していない事例を把握していれば教えて欲しい。

○上記の点について、詳しい情報は入手できていない。

○KC-135の母機であるB367-80は、ボーイング社が民間機として自社開発したもの。KC-135という軍用機が、B707に民間転用されたところだけが取り上げられ、議論されているように見えるが、B707にはB367-80の技術も多分に使われている。このため、今回検討している民間転用には必ずしも当たらないことに留意する必要がある。

■開発経費の還元等について(資料3)

○試作研究請負契約では、企業が技術資料の内容を利用する場合に利用料その他必要な事項を国と協議して決めるとあるが、そもそも根拠法令があるのか。

○上記の点については、国の財産の取扱いについて規定している財政法や国有財産法に基づくものである。

○P5の開発経費の回収方法について、企業が下請企業の補用品販売分のロイヤルティを取りまとめて国に納付することは、企業には大きな負担となる。例えば、下請企業が補用品をエアライン等に販売する場合は企業経由とする、もしくは下請企業も国と直接契約をすることで、国が下請企業に対するロイヤルティ監査を実施するなどにできないか。また、米国では開発経費の回収について免除規定があり、我が国でも同様の措置ができないか。

○上記の点については、基本的には企業と下請企業との間の契約の内容次第であると考えており、企業を経由して下請企業の補用品を納入させることなどは可能であると考えている。また、米国には他国に対する軍事援助などの我が国にはない背景があり、米国では開発経費回収に関する免除規定が設けられているのではないか。米国と同様に、我が国が開発経費の還元を免除することについては疑問がある。

○民間転用機1機目の販売分から、例えば2~4%のロイヤルティを徴収すると決めてしまうと、事業性が著しく阻害されるのではないか。民間分野においては、販売当初は、企業の持ち出しで事業が行われることを踏まえると、開発経費を還元させること自体が企業の意欲の低下を招く。また、新たに得られた研究成果を防衛省の指定する第三者にも使用させることについては信じ難い。

○国が交付した補助金であれば、交付を受けた者が収益の中から一定額を上限に国に納付するという事例がある。しかし、成果物が事業者のものとなる補助金に対して、現在検討している民間転用については、国に帰属する成果物を企業が利用するといったものであり、補助金の考え方はあてはまらない。また、国に還元させる額については、仮に国有特許を例に取るのであれば、特許としての権利が保護されている間、実施料として納付することとなり、この金額は開発経費とは無関係である。他方、今回の民間転用のケースでは、国が投じた開発経費は確定しているものの、この額が無体財産の価値そのものとはならない。このような点を踏まえた検討が必要。

○産業技術力強化法では、国は特許権や著作権を譲り受けないことが可能とされていると思うが、この考え方に基づいて、民間転用に必要な技術資料の内容についても、企業に対して無償で利用させることとしてはどうか。

○上記の点について、確かにソフトウェアについては、最近の産業技術力強化法の改正によって、国は権利を譲り受けないことができるとされたが、これは今回の検討の対象となっている機種の試作研究請負契約締結後の改正。本件契約を見る限り、技術資料の内容を利用する権利は、国にある。そもそも、米国のバイドール法では開発した者が知的財産に係る権利を取得するかを判断できるのに対して、我が国の産業技術力強化法では、「国は権利を譲り受けないことができる」としており、国に一定の裁量がある。

○還元額を決めるのは難しいが、民間転用により、開発経費の一部、例えば一円であっても、それが国に還元されれば想定外の歳入が得られるといった考え方が求められる。防衛省機の開発過程で得られた有体物は、民間転用に際して企業が使用するものではないことを考えると、最終的に国へ還元する分は、防衛省機の開発経費そのものとはならず、ある程度低減されるべきではないか。

○我が国では、スピンオンは進展している。一方、民間転用やスピンオフがあまり進まないのは、これを促進する仕組みが確立されていないためであり、官民で協力して開発した成果の知的財産に係わる権利の取扱について早急に仕組みを整備する必要がある。国が投じた開発経費のうち、民間転用に使われる部分を確定することは非常に難しいが、国にとっての生産上、技術上、運用上のそれぞれのメリットを考慮すれば国有特許の2-4%のロイヤルティに比較し、より低廉な実施料率としてよいのではないかと考える。具体的なメリットは、1民間転用機も含めた機数増加で防衛省機の単価が低減すること、2防衛省機の維持に係る技術維持費、治工具維持費については民転機も負担することから、これらが低減すること、3民転機の不具合、運用等から防衛省機を運用していく上でも重要なデータが得られること、4民間転用によって得られた民間機採用の低廉な部品等や新規技術等派生技術が一定程度国にフィードバックされることなどである。

○例えば、民間転用機のデリバリー後にロイヤルティを納付させるなど、事業性を確保するための工夫ができるのではないか。

○民間転用が進めば収益が出るという認識があるように見受けられるが、例えば旅客機の分野では何百機売れて初めて収益が出るといったビジネスモデルであり、企業の防衛省機開発・生産におけるビジネスモデルとは異なる。この点を踏まえることも必要ではないか。

○ロイヤルティ算定の基本価格となる販売価格の中には何が含まれるのか。民間旅客機であれば、価格は大まかには、機体、エンジン、シートなどの内装品と分けることができるが、エンジンが開発品でなければ、その価格は除かれるべきではないか。例えば、US-2を多目的飛行艇にするのであれば、内装品の価格は除かれるのか。

○上記の点については、防衛装備品の中にも開発していないものがあり、これらは販売価格の内数として明らかであれば除くものと考えている。

■その他

○第1回「防衛省開発航空機の民間転用に関する検討会」でも取り上げられた、型式証明、輸出管理、事業性といった課題について、5月14日、経産省、防衛省、国交省、文科省の4省でも議論された。型式証明については、防衛省のデータ活用や今後の試験の進め方について、企業から事前相談があれば応じていく旨の説明が国交省からあった。経産省からは、輸出管理に関連して、US-1、C-1、US-2の武器性に関する国会答弁が紹介されるとともに、最終的には個別判断になるが、事前相談には応じる旨の説明があった。また、民間転用の事業性調査について、経産省として補助事業を継続しており、本年度分が公募中である旨の説明があった。

○例えば、民間転用が認められ追加で生産ラインを立ち上げたものの全く売れないといった事態になると、防衛省が調達する際量産単価がかえって高くなるケースもあり得るなど、国と企業の負うリスクが高くなる点に留意することが必要。このため、防衛省機と民間転用機の量産効果を確実に得るべく、民間転用事業が適確なマーケティングのもとに進められるよう配慮することが必要。

○特に米国では、工場を国の所有物にするとか航空機メーカーに対する州の税金を軽減するなどのあらゆる措置が講じられている。また、欧米は、初期の販売価格を50%割引にして、後に補修部品の販売価格を上げていくことで挽回するといったノウハウを持っており、20年くらいのサイクルでビジネスを考えている。こういった点を理解することも必要。

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