防衛省開発航空機の民間転用に関する検討会(第1回)議事要旨

1.日時

平成22年4月23日(金)14:00~16:00

2.場所

防衛省A棟11階 省議室

3.出席者

《有識者》
梶浦委員、杉浦委員、中山委員、安江委員、山本委員

《防衛省》
岩井大臣官房審議官(座長)、〈経理装備局〉増田装備政策課長、齋藤航空機課長、飯野技術計画官、〈陸上幕僚監部〉髙田装備計画課長、服部航空機課長、〈海上幕僚監部〉真殿装備体系課班長、市川航空機課長、西山技術課長、〈航空幕僚監部〉柴田装備体系課班長、井上装備課長、安川技術課長、〈技術研究本部〉佐久間企画課長、〈装備施設本部〉斉藤調達企画課長、高嶋航空機第2課長

《関係者》
川崎重工業株式会社(渡辺執行役員、大垣室長)、新明和工業株式会社(石丸理事、川西副本部長)

《関係省庁等》
経済産業省航空機武器宇宙産業課 広瀬課長、国土交通省航空機安全課 高野課長、独立行政法人宇宙航空研究開発機構 石川研究開発本部長

4.議題

(1)検討会の目的について
(2)防衛省開発航空機の概要について
(3)民間転用の展望について
(4)論点について

5.議事概要

○冒頭、北澤防衛大臣から挨拶。有識者委員の挨拶に続き、事務局から本検討会の議事内容の公開について資料2に基づき説明・了承。その後、事務局から本検討会の目的について資料3に基づき、佐久間委員から防衛省開発航空機の概要について資料4に基づき説明。

○新明和工業(株)からUS-2の民間転用について資料5-1に基づき、川崎重工業(株)から防衛省大型機の民間転用構想について資料5-2に基づき説明。

○事務局から論点及び今後の進め方について、それぞれ資料6、7に基づき説明。

《主要な議論内容》

■救難飛行艇US-2の民間転用について(資料5-1)

○CL215とCL415について、消防飛行艇と普通の飛行艇の割合はどの程度か。また、米国では山林火災に対して、どのように対応しているのか。

○上記のCL215とCL415については、もともと消防飛行艇としてデザインされたものと認識しており、ほとんどが消防飛行艇であると聞いている。米国の山林火災については、P3Aなどの中古機を民間企業が買い取り、国や州政府との契約にて消火活動を実施している。

○P19について、外為法における該非証明などの諸手続は、社内で体制を構築し行うのか。

○上記の点については、今後調整の上、社内で体制を整えることとしている。

○P12の機体価格の低減について、おおよその機体価格は幾らか。特に、防衛省の運用機数が少ない中、1機や2機増えるだけでも量産効果は得られるのか。また、P18に父島への輸送が例示されているが、民間輸送は可能か。

○US-2の機体価格は官給品も含め約100億円である。機体価格の低減については、社内で試算しているところ。消防飛行艇の市場は、世界で180機程度であり、全てをUS-2の民間転用機に置き換えられれば、現在の消防飛行艇の市場価格であるCL415・1機あたりの価格約30億円と対抗できる価格帯になる可能性あり。旅客輸送飛行艇については、より高い安全性が求められるため、型式証明取得の為の初度開発費等が必要となる。定期運航では採算が合わなくなる可能性があり、国による特別便を設けるなどしてもらえればと思う。

○P22に示された冶工具や関連機材はどこにあり、誰のものか。

○上記の治工具や関連機材は、新明和工業の甲南工場にある。これらは、開発費の約800億円の一部で製作され、量産機の製造においても使用している。US-2の民間転用機を生産する際は、これら冶工具を使いたい。

■防衛省大型機の民間転用構想について(資料5-2)

○P16のYCXの生産体制について、12のそれぞれについて、どの程度安く生産できると見込んでいるのか。

○上記の点については、XC-2が試作段階であり、具体的なことは言えないが、例えば、コクピットまわりの装備品を海外メーカーの民生品に取り換えることで、ある程度価格が低減するのではないかと考えている。

○防衛生産・技術基盤の確保という観点からは、2の体制を取ることに問題はないか。

○上記の点については、基本的には、YCXの生産体制はXC-2の試作体制を踏襲したいと考えているが、一部の装備品については海外メーカーに生産させることになると考えている。

○P15の「設備等の利用」について、民間転用にあたり新明和工業はUS-2の専用設備の利用を希望しているが、川崎重工業は専用設備ではなく、防衛省所有設備の利用を希望しているのか。

○上記の点については、新明和工業と同様に冶工具等の使用を希望する。試験設備を例示したのは、民間機として静強度試験や疲労強度試験を追加で実施する場合を考え、防衛省所有設備の利用を強調することを目的としたもの。

○YCXはランプ扉型であるが、多くのエアラインが運用しているのはB747等のカーゴタイプである。エアラインのYCXに対するコメントは把握しているのか。

○上記の点については、川崎重工業が市場として注目しているのはカーゴエアラインであり、これらエアラインの輸送貨物は、例えば、GE90のようなエンジンなどのB747等のカーゴタイプでは輸送できないもの。これらを輸送するために、カーゴエアラインはAn124をチャーターしているが、こういったエアラインからは、YCXはGE90のような定形外貨物を輸送できて良いとの評価を得ている。

■論点(資料6)

○将来、民間転用機を輸出するとなった場合は、防衛省のみならず経産省との連携が必要。また、民間転用は我が国として初めてのケースであり、米国における軍から民へのスピンオフなどの先行事例を研究する必要がないか。

○上記の米国における事例調査については、(財)日本航空機開発協会が実施している。細部までは調査できていないが、可能な範囲で次回以降に報告する。

○P2(2)2について、企業がプロモート活動に使用する資料の開示先と対価について、例えば、プラモデル屋が使用を希望する場合と他国が使用を希望する場合とで、どのように取り扱うか。また、P1(1)1の論点であるが、民間転用機の原型となるのは量産機であるため、量産機製造に関する図面や量産時の知的財産の使用に関する枠組みのほか、官給品に関する取扱いについて考える必要がないか。

○上記について、官給品などのプライム企業が取りまとめていない装備品のうち、試作研究の段階で開発したものについては、民間転用に関する制度の中で取り扱う必要があると考えている。

○防衛省としては、民間転用が進むことで装備品コストが低減することを期待している。このため、防衛省における将来の調達を見込み、知的財産の使用に関する対価を低く設定することができるかといった観点や、防衛省設備の利用について会計法規上求められる適正な対価が、将来の防衛省の取得改善に役立つかといった観点も議論する上で必要。

○US-2は開発が終了しているが、XC-2は開発試験中であり、US-2の民間転用とXC-2の民間転用はフェーズが異なる。例えば、XC-2については、開発試験の内容が型式証明取得に足りうるのかといった視点が必要ではないか。

○過去に関係省庁で民間転用に関する諸課題について検討がなされ、例えば、型式証明については、その際も重要な論点として取り上げられたと承知している。現在、それぞれの企業が国交省と相談しているという認識だが、どうか。

○上記の点について、XC-2は開発段階ということもあり、本格的に相談する時期ではないと考えている。US-2の民間転用については、国交省とは以前何回か相談させて頂いたが、今後事業化を進めるとすれば本格的に相談が必要と考えている。

○今後整理する必要があるが、(1)1の「公的な研究開発費用を使用した国民の財産である成果物」とは何を指しているのか。補助金以外の国費を投入した場合、国が反対給付を受けなければならないというドグマがある。このドグマに従い、開発航空機という有体物が国民の財産になる点について異論はない。他方、無体物、あるいは航空機以外の有体物である専用冶工具、製造設備については国費が投入された点は事実だが、国の財産と言えるか。従来は、国費が投入されたものはすべて国の財産とされたが、昨今は無体財産であれば企業に帰属するように、補助金以外の国費が投入されたからといって、すべてが国のものになるということではない。このため、何が国民の財産である成果物か、また成果物の派生物に当たるのは何かを仕分ける必要がある。現在、国の財産となっているものが、本質的な成果物ではなく派生的なものであれば、その成果の利用に対する対価は低廉でもよいはず。将来の量産効果を見込むのであれば、開発経費の還元として多額を国に納付させ、民間転用が進まず量産効果も期待できないという事態に陥ることを避けるべき。

○上記の点については、試作研究における製作請負と量産機を製造する際の製造請負における対価の払い方など、根源的問題に触れる議論であり、検討会で議論していきたい。

○US-2の民間転用についても、XC-2の民間転用と同様に、用途別にビジネスモデルを把握し、課題を整理する必要があるのではないか。

○上記の点については、次回以降企業から説明する。

○2007年に外為法における対内投資規制が強化された。民間転用が進み、例えば、資料5-2のP17にある約300社が企業買収の対象となった場合、どのような扱いを受けるかという点について、特段の目配りが必要。

○予算制約の下、すべての装備品・部品は国内で生産できない中、選択と集中をした上で、如何なる装備品を国内で調達していくかという議論が必要。同時に、国内にどのようなコンポーネントの製造能力を維持するべきかという議論も必要。他方、防衛装備品の一部であっても海外製品を使えば全体としてコストが下がり、競争力も上がるということであれば、防衛産業全体の競争力の向上という観点で、積極的に海外製品を採用するという考え方もある。コンポーネントレベルまで見渡し、どの部分が重要な部分か、競争力を有する部分かという視点で防衛産業を考えていくことが必要。このような視点において、上記のような諸外国による買収防衛という投資規制の観点も重要な要素である。民間転用が進み、海外のサプライヤーが防衛装備品の一部を供給することになっても、安く生産できるのであれば、この点も考慮する必要があり、十分議論していきたい。

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