第2回人事関係施策等検討会議・フォローアップ会議合同会議議事録

日時
平成15年11月6日(木)15時00分~17時05分
場所
防衛庁本館13階第2庁議室
出席者
人事関係施策等検討会議
(委員) 福田座長代理、仮野委員、杉山委員、田辺委員、津久井委員、冨田委員
人事関係施策等フォローアップ会議
(防衛庁) 人事教育局長、統幕第1幕僚室長、陸幕人事部長、海幕人教部長、空幕人教部長、
渡部審議官、人事第1課長
議事
(1) 開会の辞
 座長代理:皆様お揃いになりましたので、人事関係施策等検討会議を開催させて頂きます。本日は、栗林座長、桐村委員ともに欠席のため、私が議事進行を務めさせて頂きます。皆さんには、よろしくご協力のほどお願いいたします。
本日、人事施策等フォローアップ会議議長の浜田副長官が欠席されておられますが、副議長の人事教育局長及び各委員の皆様方にはご参集して頂いておりますので、検討会議と併せて、合同会議として開催させて頂きます。
(2) 第1回会合議事録
 座長代理:まず、第1回人事関係施策等検討会議の議事録をご了承頂くものであります。事務局から説明をお願いしたいと思います。
 人事第1課長:お手元に前回会議の議事録(案)を配布しております。先般来、FAX等で委員の皆様に送付し、頂きましたご意見は全て反映しております。ご了承頂ければ、栗林座長に別途ご確認を頂いた上で、防衛庁のホームページに掲載する予定です。
 座長代理:それでは、議事録について審議いたします。何かご意見、ご質問等あれば、ご発言をお願いいたします。
各委員:(意見なし)
座長代理:それでは案のとおり了承されたものといたします。
(3) 陸上自衛隊における不祥事防止施策の実施状況及びその評価
 座長代理:次に陸上自衛隊における不祥事防止施策の実施状況及びその評価について陸上幕僚監部からご説明をお願いいたします。
 陸幕人事部長:陸上自衛隊における不祥事防止施策の実施状況及びその評価についてご説明いたします。なお、評価については、陸幕が現時点での効果を自ら評価したものです。また、項目については、平成12年当時掲げられた項目であり、このような項目が、不祥事の根本的な解決に向けたものに適切であるかについても審議を重ねる必要があると認識しております。
 陸幕人事計画課長:平成12年度に示された5つの大項目、38の細部項目の施策ですが、このうち陸上自衛隊として実施すべき細部項目数は37項目であり、ほぼ適切に実施してきたものと認識しております。しかしながら、今後更に徹底が必要な項目については2項目、状況の変化等により、検討を要するものについては4項目あると考えております。
服務指導
 13年4月に増員1名を得て、陸幕人事計画課内に服務室を新設し、服務関係組織は十分に態勢強化されたと認識しております。
また、13年11月から隊舎内の巡察を実施し、各部隊からは規律維持の面で良い評価を得ております。また、13年当時、営内者は隊員の54%を占めていましたが、現在45%まで減少していることを踏まえ、営外者の服務指導組織について検討しております。
各方面隊から服務担当者を年1回を目処に市ヶ谷に集め、研修・教育を実施しております。
「服務規範チェックリスト」等を大隊等約1,500箇所に配布してますが、部隊から「規則の要約としては良いが具体例が少なく活用しづらい」との意見もあり、今後工夫が必要と考えています。
特異な服務規律違反事例等を記載した「服務シグナル」の作成・配布、13年度以降、メンタルヘルス関係ビデオ約950部の作成・配布を行っていますが、活用についてのフォローアップが十分ではなく、今後徹底した確認作業を行うことを検討しております。
12年から本年10月末現在までで、電話、投書、防衛庁ホームページへの電子メール等の苦情、意見の件数は配布資料に記載されているとおりです。服務事故事案に発展する苦情、意見等はほとんどなく、事実関係が不明確であるものも多くありますが、今後も確認を続けていくこととしています。
セクハラについては、各部隊において、中隊長クラスの約2,300名をセクハラ相談員に指定し、11年4月より全国各部隊に配置しております。これらの相談員により、セクハラの概念、該当する具体的な行為等が広く認識されつつあると思われます。
部外カウンセラー制度の相談件数は年々増加の傾向にあり、隊員に制度趣旨が浸透しているとの認識を持っていますが、全国160の駐屯地があるなかで、部外カウンセラーは総数25名のみ配置されているだけで、更なる充実が望まれるところです。また、若年隊員に浸透している携帯電話等によるメールカウンセリングについても検討が必要であると考えております。
また、13年より自殺事故が発生した部隊について、精神医学及び心理学の専門家を含むアフターケアチームを派遣し、連鎖自殺防止、家族のケア、事故分析等を行っております。部隊からアフターケアチームの派遣要望が強いのですが、派遣要員の育成、経費の問題があり、現在要望に対し全ては対応できていない状況であり、更なる充実を図っていきたいと考えております。
幹部教育) 
 12年4月に幹部及び幹部候補生の精神教育についての通達を発簡し、幹部自衛官の各課程教育に「精神教育」の項目を新設し、所要の教育を実施しているところです。
また、12年4月から連隊長等への補職予定者に対する補職前教育、各級指揮官会議、各部隊の幕僚会同等における精神教育の推進を図っており、今後も充実させていくこととしています。
教育技法・教材については、倫理について自ら考え、実践する自発性を涵養していくため、事例研究や集団討議を一般課程において徹底するよう通達を発簡し、今後も継続して実施していく予定です。また、服務規範教育の資とするため、精神教育参考資料及び精神教育ハンドブックを作成し、各部隊に配布しています。更に教育技法改善等の資を得るため、人事院が実施する「公務員倫理研修指導養成研修」にも定期的に参加しており、今後継続していくこととしております。
人事管理
 任用制度については、部内選抜幹部の登用について制度を見直し、能力・実績に応じた選抜を実施すべく、12年、14年及び15年に改正を実施しております。
また、各部隊から特に強い要望が寄せられている事項でありますが、近年曹候補士の入隊により、任期制の士の3曹昇任が困難となる傾向があることから、実力に応じて任期制の士が昇任できるよう、所要の昇任枠の調整を行っているところです。
13年4月に中期的指針を示し、指揮官時の評価重視、部隊指揮官の意見を尊重した選抜、自己評価の一部導入等を実施中であり、災害派遣、PKO等の部隊活動での実績も重要視するよう、引き続きこれらの施策を継続することとしております。
懲戒処分の基準については、処分すべき者を見逃して報告しないといった事例が出ないよう人事業務担当者集合訓練において過去の事例を示し、処分量の基準とするよう教育を実施しております。また、今まで停職処分の期間は30日以下を基準としておりましたが、本年3月6日以降、60日以下に改正し、個々事案の内容に則した運用を明記した上で各部隊に周知しております。
調達関係職員は長期補職の傾向がありましたが、人事管理をより適正に実施するため、14年1月に補職期間は3年を基準とするといった内容の通達を発出いたしました。
警務関係組織
 警務隊長に優秀な人材を計画的に配置することを推進しております。また、警務官はその業務の特殊性から、補職が職域内で垂直的になりがちですが、上位のポストに就くために、一般的な業務を経験し、バランスを持った識能を付与させるため引き続き施策を推進することとしております。
また、13年4月に陸自警務隊副隊長を1佐(二)から1佐(一)へ、西方の警務隊長を1佐(三)から1佐(二)へ格上げしております。更に、警務課等の位置づけを見直し、独立した組織の警務管理官として陸上幕僚長の直轄とし、定員も2名増員した10名態勢により業務を遂行するものといたしました。更に、警務隊そのものをチェックする体制として、当時方面総監が実施していた警務隊の監査を廃止し、陸上幕僚長が直接行う定期監査に一本化しております。
その他
 平成13年に教育基準を一部修正し、幹部自衛官に基本的に必要な調達・会計に関する知識を付与する教育を実施することといたしました。また、調達・会計関連の専門的知識の向上を目的として、既存の教育課程の期間を3週間延長し、企業会計理論等を充実させた課程を実施しています。
次に、1佐又は行(一)9級以上の不祥事については、方面総監から直接幕僚長に報告する体制をとりました。更に、15年3月から特別速報の処理要領を明記するとともに、特別速報に該当する事故を明示し、適切な報告が実施されるよう体制を見直しております。
また、12年6月に「訓戒等に関する訓令」が改正され、3佐・行(一)6級以上の訓戒、1佐・行(一)9級以上の注意処分について、長官への報告が義務化されております。
次に、試験問題の保管等に関する取り扱いの明確化、試験官の責任及び権限の明確化等試験実施要領の見直しを行い、整備した要領により12年度以降試験を実施しております。
部外者用の自衛隊員倫理法のパンフレット、本年5月に作成された教本を部隊等へ配布しております。倫理法はまだ成立して間もないため、引き続きその普及に努力していくものであります。
重視項目:武器・弾薬等の管理
 これは武力集団の根本に関わる問題であり、平成3年に管理の不徹底を起因とした事故が発生し、本年度は民間人による不発弾の爆発死亡事案、航空自衛隊の件もあり、陸自においても化学火工品の持ち出し事案があったことから、本年度特に取り組むべき事項として選定されたものであります。
まず、小火器等は所定の銃掛又は保管容器に納め、部隊の武器庫に保管し、中隊長は毎日点検することとなっております。また、打がら薬きょうは数量を確認し、返納を義務づけているほか、演習場においても、廃弾の回収、不発弾の処理等の管理を行っているところです。
次に、本年に入り各種爆発事案があったため、陸自においても各隊員に確認をしていた最中のことですが、数年前に返納を忘れた擬爆筒を隊員が自宅に置いたままにしていたということが判明し、現在警務隊により捜査を行っております。3年に発生した爆破事案は砲弾の不発弾により発生したものであったことから、危険性の高い不発弾に関する管理の徹底について取り組んできましたが、化学火工品という、必ずしも危険性が高いとはいえないものについては、我々の指導に盲点があったと認識しております。具体的には火薬類取締法等について、隊員に十分に認識させるにいたってはいなかったのではないかと考えております。化学火工品等は危険性は決して高いとは言えないものですが、許可なく、これらを所持することは火薬類取締法違反に抵触するという認識が隊員に徹底されてはいなかったのではないかと考えております。再発防止については、各隊員に面接をし、他に所持していないかを確認するとともに、併せて服務指導を徹底していく方向で通達を10月に発出し、約2ヶ月の期間を経た今月末を目途に報告させるようになっております。また、服務指導担当者に対し、集合教育の場で更に周知徹底を図るよう教育を実施することとしております。
 座長代理:ありがとうございました。陸上自衛隊の不祥事防止策の実施状況及びその評価について審議に入ります。委員の皆様のご意見、ご質問があればご発言をお願いいたします。
 委員:自殺事故アフターケアチーム派遣の要望が強いものの要員の育成や経費の問題から、今後も検討を要するとの説明でしたが、これは今すぐ実施すべき事項なのではないでしょうか。 
 陸幕人事計画課長:自殺事故発生後、約1ヶ月の間は、連鎖自殺が発生する可能性があり、各部隊においては身上把握に努めているところですが、それにも関わらず連鎖自殺のケースが発生した経緯がありました。そこで自衛隊中央病院の専門の医官を現地に派遣し、防止に努めてきましたが、これは数日間、医官を拘束するもので、一部の医官に偏重している現状から全てのケースに対応することは困難な状況です。今後は更に専門の医官を養成していかなければならないと考えております。予算については、我々がなんとか努力し、獲得できるようがんばっているところです。
 委員:防衛医大の精神医学の専門家を派遣するといったことはできないのですか。
 陸幕人事計画課長:やりくりのなかで実施しております。しかしながら、特定の医官への信頼が高く、要望が集中しているのが現状です。
 委員:カウンセリングについて、相談は職務に関連した内容が多いのでしょうか、それともプライベートなことに関することが多いのでしょうか。自殺も含めて不祥事を防止するためには現場の内情に詳しい知識を持った者がカウンセリングを実施することが肝要だと思われます。隊員の意見からすると、やはり自衛隊内の者の方が相談しやすいといった傾向があり、部外カウンセラーを設置しても、例えば職務上の悩みといった相談はしてこないのではないかといった意見もありました。
自衛官は非常に定年がはやく、53~4歳で一般の隊員は定年を迎え、社会に出て行くわけですが、現場で小隊陸曹等を経験した方々を、嘱託のような形でカウンセラーとして置いてはどうでしょうか。自衛隊の生活に関する知識を有する方が、第3者という立場で身近にいれば、直属の上司に相談しにくいこともOBには相談できるのではないでしょうか。自分が勤務した駐屯地以外の場所でもいいと思いますが、自衛隊という独自のノウハウを有し、現場での体験を多く積んだOBが、カウンセラーとしていると一般の隊員は相談しやすいのではないでしょうか。
 陸幕人事計画課長:現在、部内・部外のカウンセラーを配置してますが、部内のカウンセラーの場合、人事上不利益を被るのではないかという危惧から、相談を躊躇する傾向があります。また、部外のカウンセラーは、自衛隊に関する十分な知識を有しておられない方にどこまで相談できるのかといった問題があります。委員ご指摘のとおりOBは、有効かも知れません。
 委員:部隊にいくと若年者より年長者の方が部隊に対する愛情が強いため、部隊の名誉や部隊のメンツといったことに配慮して、様々な問題を話したがらない傾向があるように思われる。中高年の隊員の悩みはどんどん閉塞されてしまいます。これをどうケアしていくのかといったことについて考えると、部外者には秘密事項の問題もあり、やはり相談しにくいのではないか、部内者にも人事上の問題を知られる可能性がある、そうなると問題を持って行きようがない状態になる。一般に比べ、問題が内向しやすい環境にあるのではないかと思われます。
 陸幕人事計画課長:悩んでいる隊員には、食事が進んでいなかったとか、疲れた様子であったという兆候が見受けられたという報告があります。周りの目には、どうしてもサボっているように映ってしまうという、自衛隊の悪い部分があり、これを排除していくには、指揮官が啓蒙していく方法以外ないのではないかと考えているところです。例えば「うつ病」という病は、皆が罹る可能性がある、皆平等にその危険性があることを浸透させていく必要があると認識しております。
 委員:現場の指揮官のなかで、部隊の中核として重要なのは、中隊長クラスではないかと思われますが、中隊を構築する隊員は変化がない中で、トップの中隊長だけが2年ほどで交替していく、中隊の雰囲気が大きく変わってしまうわけです。中隊長として向いている指揮官もいれば、なかなか向いていない指揮官もいる。人事の運用も柔軟に対応できるよう、中隊長に適合していると認められる幹部は、2年以上勤務を伸ばすとか、他の中隊長も経験させるなどの柔軟かつ弾力的な人事運用も重要なのではないかと思いますがいかがでしょうか。
 空幕人事教育部長:委員ご指摘の点について、陸自の中隊長、空自の隊長クラスが、身上を把握できるのは、小隊長たる幹部自衛官及び先任曹長位までだと思われます。つまり、部下である士、曹クラスから尊敬され、信頼されることと彼らを服務上掌握する能力を有することは、必ずしも一致しないのではないかと考えています。また、中隊長又は隊長として人望が厚い幹部は、連隊長としても優秀である可能性があり、なかなか難しい問題であると言えます。
 委員:自分の部下一人一人の身上を掌握することができなくても、例えば部下と廊下ですれちがった時に、何か一言声をかけることによって、個々の隊員からすれば、この中隊長は自分を見ていてくれているという意識を持ち、上司への信頼に繋がるのではないでしょうか。こういったコミュニケーションはこれから益々重要になってくると思いますが。
 空幕人事教育部長:そういったマクロ的効果は確かにあります。
 委員:現在3自衛隊で年間どの位の自殺者数が出ているかのか。ぜひ現状についてご説明を頂きたい。また、アフターケアチームの派遣を早く強化する必要がある。そういった意味で何かデータがあればお示し頂けないでしょうか。
 人事教育局長:本年、防衛庁長官政務官を本部長とし、事務次官を副本部長、その他各幕僚長等を委員として構成される自殺事故防止対策本部という組織を立ち上げました。人事教育局長が事務局長、その事務局に各幕人事・人教部長、更に衛生参事官、衛生部長等がメンバーとして参加することとなっており、本年9月から毎週1回、事務局会議を開催しております。
自殺者数は、昨年度、3自衛隊あわせて78名です。事務局会議ではこれまでに発生した自殺の要因、どういう環境におかれていてなぜ自殺に至ったのかについて、メンバーが共通の認識を持つことを目的としております。自殺の原因というのは、その約半数については不明、推定が困難であります。残り半数について、その原因を残された遺書、メモ等で我々が推定したところ、基本的には「うつ病」といった精神的な病に罹っているために自殺のトリガーをひいてしまうというケースが多いことがわかっています。今の段階で我々が手を打てそうな原因というのは「借財」による自殺です。借財の原因も様々ありますが、主に遊興費欲しさのカードローンから始まって数百万円の借財を抱えるようになる。この段階になるとおそらく多重債務者になっていて、他からお金を借りることができなくなっている。あるいは現在社会問題化しているような取り立てがあるといった問題がある。カウンセリングだとか、部隊の服務指導といったなかで把握できることがあれば、なんらかの対応も可能ですが、着任以来、事例を見ていますと、自殺された方はこういった段階に陥っても、誰にも相談することなく自分一人で抱え込んで自殺してしまうという形態がある。事務局会議において、この借財の問題について、どう隊員を指導していくのかを深く掘り下げるということになっておりまして、この対策が策定された際には、この会議にお諮りしてご検討いただくことも、不祥事防止のひとつの大きな柱になるのではないかと考えております。
 委員:採用及び教育についてはどちらも幹部だけに限定しているのが理解できない。例えば、任用制度の改善について質の高い幹部というのがありますが、対象は曹の方が多く、事故を起こす可能性も多いことから、重要なファクターではないかというような気がします。曹士関係の採用というのは適正に行われているのかどうか、この辺についての切り口もあるのかなと思っております。
教育も幹部が主体となっており、曹士は現場における実践教育が主となっている。難しいのは実践教育の方で、教育効果はあるが、なかなか浸透していかない。実践教育に替わる課程教育の検討はされていないのでしょうか。
 人事教育局長:12年当時に策定された施策についてご報告させて頂いてますが、その後いろいろな角度から検討が進められておりまして、特に曹クラスの活性化というのが、防衛庁にとって喫緊の課題となっておりまして、検討会議、フォローアップ会議においても曹クラスからのヒアリングを重要視しております。多様な施策をやっても部隊側になかなか浸透していかないというのは、曹クラスとのコミュニケーションのなかでマッチングしていないところがあるのではないか。そこで、こういった機会のなかで曹クラスから意見をきいて不祥事防止策を策定していきたいと考えております。また、人事管理施策についても曹クラスの活性化として、例えば俸給体系というのが、3曹から曹長、准尉まで非常にせまい範囲の中での昇任ということで30年近く勤務するモチベーションを維持するといった観点からみた場合どうなのか、改善すべきことがあればそこに真剣に取り組んでいくということを考えております。
 陸幕人事部長:12年頃に幹部による事故事案が非常に増え、そこで幹部の規律、倫理観が問題になったため、幹部自衛官がクローズアップされたのだと思います。
 委員:教育について課程の改善はなされましたが、教官はどうやって養成するのでしょうか。
 陸幕人事計画課長:陸自では、教官という専門の職種はありません。ある時は指揮官、幕僚、研究員をやっており、バランス感覚はありますが、そこにはおのずと限界があると思われます。
 座長代理:まだ議論が尽きないようですが、時間に限りがありますので、貴重なご意見は海自の説明及び審議のなかでも出てくると思いますので、海上自衛隊の説明をお願いいたします。
(4)海上自衛隊における不祥事防止施策の実施状況及びその評価 
(4) 海上自衛隊における不祥事防止施策の実施状況及びその評価
 海幕人事教育部長:海上自衛隊についてご説明いたします。最初に定型のフォーマットに従った実施状況と評価、その後3つの事例を挙げ、若干の分析を加えた形でご説明いたします。
 海幕服務室長:資料に従いまして説明いたします。
服務指導 
 まず、服務指導体制の強化ですが、13年に1名の増員を持って、海幕においても班から室ということで服務室が発足し、業務処理能力は向上いたしました。
また、服務指導巡回講習を実施中であり、15年度先任伍長制度を立ち上げまして5月には上級海曹の役割強化のために自衛艦乗員服務規則を大幅に改訂しました。結果各部隊から服務指導体制が強化されたとの所見を得ているところですが、中長期的な評価を加えていく必要があると考えております。
不祥事等が発生した場合には、適宜部隊指揮官から、事案により幕僚長から綱紀粛正の指示、また、臨時指揮官会議等を実施しております。また、昭和52年から年2回の規律振粛月間を設け、重点項目の指導にあたり、加えて海幕服務室が服務巡回指導講習を全国の部隊に行い各種事故事例を紹介しつつ、指導にあたる幹部及び海曹に対し講習を実施してきたところであります。服務規範チェックリスト以外に事案発生後の集中指導、更に本年4月からは先任伍長制度によって各部隊ごと、部隊の状況に応じた服務指導効果の確認に努力しているところです。
次に資料にあるグラフをご覧いただきたいのですが、バブル経済の終焉を境といたしまして、海上自衛隊の懲戒件数は0.6%で推移しているところであります。更に懲戒件数を減少させるには社会情勢も考慮に入れた事故防止策が必要ということで評価しております。
服務指導方法の充実につきましては、13年度から海上自衛隊警務隊が防犯資料を作成し、配布しております。資料等は十分な体制が揃っていると思われますが、バックナンバー等の活用等が要求されているところであります。
各種相談体制の整備についてですが、7年度から部隊カウンセラー制度を一部部隊に導入し、その実も上がってきている状況にあると思われます。14年から自殺が発生した部隊全てに対してアフターケアチームを派遣しているところですが、事業化が困難ということで、防医大等から支援をいただきながら実施しおります。 部外カウンセラーの活用につきましては、導入後間もないことから、更に実績をみる必要があると思われます。
幹部教育 
 3年度以降、バブル期の世相を反映した隊員に対して崇高な使命の教育を中心に実施してきたところであります。また、教育技法の改善に努めてきたところですが短期に効果が現れるものではなく中長期的な評価期間が必要だと考えております。
人事管理 
 14年度採用の曹候補士から、昇任段階を現行の4段階から5段階にいたしまして、任期制士の昇任率の確保及び採用の抑制を図っております。現段階では評価は困難ですが、これらの措置を採ることによって、所要の効果があがるものと考えております。
15年度から、詳細な人物評価を実施するよう、評価様式を作成いたしまして、現在試行中です。また、懲戒処分の見直しに関して時勢に合わせて継続的に見直しを実施しております。特に14年度通信ネットワークに関する規律違反に係る懲戒処分について検討を開始しています。
調達関係職員の人事管理の基準等の明確化等については、14年2月に通達を発しまして、現体制を継続することが必要であると判断しております。
警務関係組織 
 警務関係組織については、13年度に警務管理官が新設されまして、十分な施策が実施されていると思われます。
その他 
 調達制度に関する事項は、公認会計士による講習の実施や、調達関連マニュアルの改訂・配布、16年1月には、艦艇長講習の場においても海幕経理課による関連教育を実施するなど教育の充実とともに、調達会計に係る専門知識の向上を目的とした施策を継続することとしております。
服務事案に関する報告体制の改善につきまして、13年に規則を一部変更、周知徹底する等、施策としては十分であると考えております。
試験実施体制の強化については、11年に発生した3等海曹昇任試験不正事案を受け、試験実施要領を見直した結果、試験における不祥事は発生してございません。
企業等への倫理法の内容説明につきましては、自衛隊倫理教本等を活用いたしまして、知識と理解度を高める必要があると考えております。
海上自衛隊の不祥事発生状況と評価(1)~(3) 
 まず(1)ですが、隊員が起こした特異な犯罪の事例であります。海自としては一般社会の情勢等を踏まえ出会い系サイトに起因する事案を使用しての巡回指導等、社会人としてのモラルの向上を目的とした指導を充実させてきました。この結果、概ね達成し得たと考えております。しかし一方で、モラルを引き上げることが難しい者がおり、各種服務施策の継続、懲戒処分の見直し等が必要です。更に、モラルの高い隊員についてはこれを助長させる施策、例えば、国家として新たな栄典制度を設ける等、国民の期待を感じさせる施策も必要であると感じています。
次に(2)ですが、この事例は12年に幹部自衛官が、部下隊員が所持していた覚せい剤のようなものを発見した際に、その可能性を疑いつつもこれを廃棄した事案であります。従来の事例は隊員がプライベートな時間に起こした事案であったため、使用の防止に力点をおいて指導を実施してきたところです。当該事案においては、隠蔽を図ろうしたのではとの誹りを免れない行為に及んでいます。これは組織防衛体質があったものと評価でき、組織内部の倫理観の醸成が難しいことを示すものと受け止めています。つまり、組織の自浄作用を可能とする組織の体質をコントロールできる体制、個人の高い倫理観の醸成、関連規則類の教育の徹底が今後も必要だと考えます。
最後に(3)ですが、環境要因に追従できず不祥事案となった事案です。艦内における酒類の使用につきましては、「酒保」という言葉がありますように部隊統率の手段として過去実施されてきたところです。しかし、遠洋航海や海外派遣訓練のような場合を除いては、長期間、海上に留まり行動に従事するという経験が少なく、インド洋のような厳しい環境下での艦内飲酒原則禁止の徹底管理が不十分でありました。また、処遇改善とは異なる観点で、任務の厳格さに比例した栄誉等が必要だと考えます。これらを先行的に実施することが不祥事防止に有効であると考えます。
以上述べてきましたが、資料の最後に、海自としましては、任務の多様化に追従し、一般社会の影響を常に考え、部隊の行動に対する社会の評価を常に念頭に置き、服務指導を考えなければ、不祥事に発展することとなると現時点では評価しております。このためブロック会議で示されました施策の方向性に従い、今後とも任務の多様化に応じ、適切な栄典制度並びに処遇の改善を見据えて部下指導並びに服務指導に邁進していきたいと考えております。
 座長代理:ただいまの説明に対するご質問あるいはご意見ありましたらお願いします。
 委員:現在、国際貢献等多様な任務、充足の低下があり、末端の小隊、班、中隊の幹部が非常に多忙となっております。本来隊員個々をなかなか見てやれないというのが実状であり、隊員を忙しさからある程度解放してやるということも考えていく必要があるのではないか。
 海幕補任課長:必ずしも幹部自衛官の労働を軽減するという観点ではないのですけれども、今年度の4月から先任伍長制度を設けました。海曹士の心理状態とか業務内容を把握している海曹長の先任に先任伍長というポストを設け、有効に活用していこうというものでありますが、第3の例として示しましたインド洋での飲酒事案にも先任伍長が関わっていたということもあるのですが、これを制度として成長させていくため取り組んでおります。
 委員:かつて厚生関係の仕事をさせていただいたんですが、厚生には隊員の個人的なことを潤すことができ、相談もできるのですが、ある部隊では「そんなとこなんか行ってる暇ないよ」とお叱りを頂きました。いろんな施策をしても、末端隊員に恩恵を浸透できないことと隊員の多忙さが関連しているのかなと感じている次第であります。
 委員:刑事事件に発展するような不祥事を起こした隊員、あるいは自殺に追い込まれた隊員の統計として、正面の第一線の部隊に属していた人が多いのか、あるいは後方支援で経理とか直接の正面に関わらない部隊に属していた人が多いのかに関する統計はあるのでしょうか。
 陸幕人事部長:方面隊ごと、階級別、職種別などいろいろな形で分析しているところでありますが、必ずしもこういう傾向だという結論は言えない状況であります。
 人事教育局長:委員の御指摘を踏まえて、懲戒処分・自殺に関し、検討してみたいと思います。
 委員:新たな栄典制度が必要だということですが、具体的にはどのような制度をお考えでしょうか。実現すれば不祥事が防止されるとお考えでしょうか。
 海幕服務室長:国家の栄典として勲章・褒章とは別に記章の検討が行われていると承知しています。また、今回インド洋に出ている隊員に対する防衛記念章ができました。これと同じような形で国が期待しているとなればモラルが向上するのではないかと考えております。
 海幕人事教育部長:不祥事が起きれば当然締め付けるというものが主になるわけでありますが、それだけではなく、士気を高めていく中で不祥事を押さえ込むという観点から申し上げた訳であります。
 人事教育局長:問題は我が国の賞勲制度の体系の中で他の業務との間で不均衡があることであり、是正が必要です。また、今年からは危険業務従事者叙勲として日頃地道な業務に従事している方々への枠の拡大・促進を図りました。諸外国で崇高な業務に従事している人たちに出されている栄誉と同じものを隊員が受けてもおかしくないのではないかというアプローチをきちんといたしまして、政府全体としてそこをどう考えていくのかをぶつけていきたいと考えております。
 陸幕人事計画課長:昭和22年の金鵄勲章の廃止は非常に大きな意味があり、勲章を頂くのは亡くなったときか、生存者叙勲でも制服を着ているときには貰えないということになっております。制服を着ているときに勲章を頂けるというのは我々にとっては非常に名誉なことであります。一方で、外国軍人には政府としてどんどん勲章を与えている、このギャップがどうにかならないかというのが我々の願いであります。
 委員:国の栄典制度の中でどう位置づけるかが重要なのではないでしょうか。
 人事教育局長:全体の表彰制度も今年度から変わりましたし、一方で賞勲局がどう考えているかということもあります。ただ前進してきていることは間違いなく、どれだけ加速できるかが問題だと思います。
 委員:見られる存在になるということはモラルの向上につながるかと思います。ある航空部隊に行ったときに、二人の幹部と話をしていたところ、ベテラン幹部の方は能登の不審船の現場に行って活動をした方でして、その際に業務隊の人から「任務がんばってください」と言われ、感激したことがあったそうです。若手幹部の先輩を見る目が変わったのですが、このような体験の共有化が必要ではないでしょうか。自分たちにはこういう任務がある、自分たちはこう見られているんだということを意識していく必要があると考えます。外部の人間を呼んで講演させるよりは、P3Cで能登に行った人に話をさせるとか、陸海空、垣根を無しにして体験を共有化していく必要があるのではないかと思います。
 海幕人事教育部長:おっしゃる通りだと思います。特に最近の例では、ペルシャ湾へ派遣指揮官として行かれたOBに部内でも講話をして頂いております。また、以前は先輩と後輩が休みのときに酒を飲むなど非公式に触れる機会が多かったのですが、業務の多忙さ、それぞれがプライベートの時間・空間を持ちたがるという社会的な風潮から難しくなっております。
 空幕人事教育部長:隊員にとって最も心強いのは国民の大多数に支持・理解してもらうということです。イラクに関しても、揶揄するような意見があるのは派遣される側としては厳しい状況であるということです。
 委員:補足資料の「不祥事発生の構造」は多角的によく分析されており、参考資料として留めて置くには勿体ないと思われます。本資料を施策として具現化する必要性もあるのではないのでしょうか。
 海幕服務室長:これにつきましては、来年1四半期から実施します服務巡回講習のときに、指揮官レベル・先任伍長に対し、指導の参考にということで部隊の方に回っていくかと思います。
 座長代理:不十分なところは次回やるということにいたします。最後に事務局の方より次回以降の日程案についてご説明して頂きたいと思います。
(5) 次回以降の日程・閉会の辞
 人人事第1課長:先生方のご都合を伺いまして、第3回会合については、12月17日に開催させて頂きたいと思います。議題は、航空自衛隊における不祥事防止施策の実施状況及びその評価、不祥事案のケーススタディを考えております。第4回会合については、明年1月22日を考えております。
また、曹クラス自衛官からのヒアリングの実施要領案につきましても、お手元に配布させて頂いております。ご意見等ございましたら、来週前半まで事務局に連絡いただければと思います。
 座長代理:個別に意見等ありましたら、その間に連絡していただくということでご了承いただいたものと思います。では本日、予定していた議題については討議終了とさせていただきます。長時間にわたるご討議ありがとうございました。

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