防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策の基本的方向について

平成18年 3月24日
防衛庁

 1月31日、木村防衛庁副長官を委員長とする防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策に関する検討会が設置され、部外の有識者にも特別委員として御参加いただき、8回にわたり、審議を重ねてきた。
その他、検討会とは別に、特別委員のみによる検討や特別委員と委員長及び副委員長による検討も行われた。
2月24日には、入札手続等及び再就職に係る再発防止策について、それまでの検討の現状をとりまとめたが、爾後、組織、人事管理、公益法人等に関する検討を行い、今回、再発防止策全体の基本的方向について、以下のようなとりまとめを行った。
今後、この基本的方向の下、具体的な対策を速やかに策定し、平成  19年度概算要求への計上を含め、その実現に向けて、取り組んでまいりたい。
また、言うまでもなく、今般の事案は、調達実施本部の不祥事案における教訓と反省を他の組織や職員が自らの問題として認識していなかったことを如実に示すものである。したがって、不祥事案を根絶するための最も効果的な対策は、職員の徹底した意識改革であること、特に幹部職員についてその必要性があることを十分に認識し、今後、全庁あげて、法令遵守意識の向上など、必要な取組を行ってまいりたい。

1 建設工事の入札手続等

 今般のような談合事案の再発を防止するため、以下に示すとおり、談合の起こりにくい環境をつくるとの観点から、従来の入札手続を見直すとともに、調達に係る一連のプロセスの透明性を高める措置を講ずるものとする。

(1)入札手続の改善

① 現在予定価格7.3億円以上の工事が対象である一般競争入札方式について、平成18年度から、2億円以上の工事まで拡大するとともに、2億円未満の工事についても、できる限り一般競争入札方式の導入に努める。
その際の入札参加資格要件については、公正性及び透明性を確保できるように措置していくことは言うまでもない。

② 総合評価落札方式については、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」に基づく所要の措置を講じつつ、平成18年度から導入し、当該方式を適用する工事を同年度には3割超(金額ベース)とする。また、平成19年度以降は、工事の内容に照らして必要がないと認められる場合を除き、段階的にその対象を拡大する。

③ 設計と施工を分離しないで一括発注する方式が適当と認められる工事については、この方式を積極的に採用する。

(2)入札・契約過程における監視・チェック機能等の強化

① 第3者からなる入札監視委員会を地方にも設置するとともに、入札に関する調査・監視の機能を強化し、入札執行段階を始めとする契約過程全般にわたる監視、さらには、入札結果の統計的分析などを行う。

② 入札談合等の情報を幅広く収集するため、ホームページ上に電子目安箱等を設置する。

③ 電子入札の一層の活用を図り、平成19年度から、全面的に実施する。

(3)談合に対する予防的措置の強化

 総合評価落札方式の評価項目や企業の競争参加資格を定める際の総合審査数値の総合点数作成にあたり、指名停止措置状況等について適切なマイナス評価を行う。逆に、施工成績等が優秀な優良企業には適切なプラス評価を行う。

(4)OBを含む業界関係者との適切な関係の確立

 職員と受注企業の社員との接触を禁ずることなどを内容とする職員と受注企業の社員(特にOB)との適切な関係を確立するための具体的な対応要領を定める。この対応要領については、業界にも配布し、その周知を徹底する。

2 再就職

(1)早期勧奨退職の見直し

 今回の事案に鑑み、「早期勧奨退職」の慣行を見直すとの方針の下、いわゆる建設系技官の退職年齢について、早期に、事務官等の平均退職年齢まで引き上げていく。
同時に、事務官等全般について、可能な限り、定年まで勤務させるよう、適切な措置を講ずる。
また、勧奨退職の平均年齢の状況を、毎年度末に防衛庁長官に報告する。

(2)再就職の自粛等

① 建設工事の発注業務に関与していた幹部職員(離職前5年間、行政職(一)10級相当以上)については、退職後5年間、建設工事の受注実績を有する企業への再就職について自粛を要請する。

② 防衛施設技術協会への職員の再就職については、全面的に自粛を要請する。

③ 今回の事案に関連した企業、今後の調査で建設工事に関連して入札談合等を行っていたことが明らかになった企業への職員の再就職については、当該企業においてコンプライアンス(法令遵守体制)が確立したと認められるまでの間、全面的に自粛を要請する。

④ 防衛庁職員が再就職することが相応しく、かつ国民から疑惑の目で見られることのない再就職先及びこれらへの再就職の仕組みについて検討する。
幹部の再就職に関する情報提供などの業務については、現在、複数の組織で行われているが、再就職に関する規制を徹底するためには、情報を集約することが必要との観点から、まず、最高幹部として退職する者の再就職に関する情報提供などの業務について、長官官房を中心として行っていくこととし、さらに、その対象の拡大について検討する。

3 懲戒処分等の基準の明確化等

(1)入札業務を含む調達関連業務について、その職務に係る規範等を明確にし、これに違反する行動の態様について、作為のみでなく不作為も含めて類型化し、懲戒処分等の基準を明確化する。

(2)公益通報者保護制度の適切な運用などを通じて通報者を保護する。

4 人事管理

(1)Ⅰ種技官の統一的な人事管理等

 防衛施設に係る業務を行うⅠ種技官については、採用試験区分等による人事管理を改め、統一的な人事管理を行うほか、その他のⅠ種技官についても、可能な限り統一的な人事管理を行う。
また、Ⅰ種技官の業務に対するインセンティブを高める為の人事管理を行うことを検討する。
なお、防衛施設に係る業務を行うⅠ種技官については、国家公務員採用Ⅰ種試験合格者からも採用することを検討する。

(2)積極的な人事交流

 技官、特に防衛施設に係る業務を行うⅠ種技官については、今後、他省庁との人事交流を積極的に行う。

(3)事務官と技官の組み合わせ配置

 防衛施設に係る業務を行う部署の幹部について、少なくともそのライン(例えば部長、課長、企画官)については、事務官と技官を組み合わせて配置する。

(4)徹底した意識改革

 今般の事案にも鑑み、初心を忘るべからずとの考えの下、法令遵守意識の向上、高い倫理観の育成などを目的として、全職員、特に幹部職員に対しては、繰り返し教育研修等を行うことなどにより、継続的に徹底した意識改革のための努力を行う。

5 組織

(1)建設工事の発注手続に係る相互牽制機能の強化

 各防衛施設局建設部が行っている「積算」と「契約」を分離する。

(2)全庁的な監査・監察機能の強化

 防衛庁・自衛隊は27万人を擁する日本最大の行政組織であるだけでなく、わが国の防衛という国家存立にとって最も基本的な役割を担う組織である。にもかかわらず、調本事案や今般の施設庁入札談合事案に加え、昨今、情報漏洩や薬物事案など、国民の信頼を裏切る事案が相次いでいる。
また、年間2兆円以上の調達を行い、さらに、その沿革から種々の組織が独自に契約事務を行っていることから、関係会計機関の数は約7百、年間契約件数は約6万8千件と膨大なものとなっている。
このような現状を踏まえ、国民の負託に応えていくためには何よりも予算の適正かつ効率的な執行や法令遵守の確保が必要であり、かかる観点から、組織の健全性の維持・向上を旨として、地方の部隊なども含め、防衛庁・自衛隊の活動全般について、全庁的な立場からチェックを行う、その規模に相応しい体制を有した独立性の高い組織・部局を新設する。
なお、その際、人材面、組織面、運用面において、真に実効あるものとなるよう留意する。

(3)防衛施設庁の解体と防衛本庁への統合

① 防衛施設庁の機能について、以下の観点を踏まえ業務の精査・見直しを行い、組織の透明性・公正性を確保した上で、防衛本庁へ統合する。
なお、防衛施設庁を単純に「施設本部」等の新たな組織に移行することとはしない。

 ア)これまで十分でなかった、各自衛隊や米軍などのユーザーサイドのニーズを的確に反映する仕組みを構築すること

 イ)これまでの施設行政は国の防衛政策を推進するという視点が必ずしも十分でなかったとの反省に立ち、安全保障を担う組織に相応しい、防衛政策と施設行政が密接に連携した体制の確立を図ること

② 防衛施設庁の行っている、建設工事や土地の購入などの施設の取得を中心とする調達に係る業務は、透明性の高い実施部門で処理する。

③ 防衛施設庁の行っている「基地問題への対応」や「住民への影響のある事件・事故への対応」といった業務は、地方自治体や国民との関係に焦点を当てた部門で対応する。

④ 地方の「防衛施設局」は、地域と防衛行政との接点を担うべき組織との観点に立って再編する。
また、地方において部隊等が直接行っている調達業務については、より透明性を確保し、業務の一層の効率化を図るという観点から、新しい業務体制を構築するべく検討する。

(4)今回の組織の見直しに当たっての視点

今回の組織の見直しに当たっては、以下の視点に常に留意しつつ検討を進める。

① 職員一人一人が、国民の目線に立ち、かつ、国の防衛を担っていることを常に意識するとともに、これまで地方公共団体等との間で果たしてきた役割や培ってきた知見を活用し、誇りをもって業務に従事できること

② 防衛施設庁の独自性・特殊性が今回の事案の背景にあったという反省に立ち、「背広」と「制服」、「事務系」と「技術系」、「陸」・「海」・「空」といった既成概念の間にある垣根をできるだけ低くすること

(5)今後の検討

 「組織」に係る今後の検討については、部外の有識者にも御参加いただいている防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策に関する検討会において、全庁的な監査・監察機能の強化や防衛施設庁の機能の防衛本庁への統合などの検討項目について、上に述べたような観点から、引き続き、検討を深めていく。さらに、平成  19年度概算要求に向けての実務的作業については、「防衛施設庁解体後の新たな防衛組織を検討する委員会(委員長:防衛庁長官)」において、精力的に検討を行っていく。

6 公益法人

(1)(財)防衛施設技術協会の解散・統合

 防衛庁所管の公益法人全てについて、設立目的と業務実態、防衛庁退職後に再就職した役員の勤務期間、防衛庁との随意契約の状況などについての調査を行った。
その結果、特に(財)防衛施設技術協会については、防衛庁OBの再々就職、随意契約の金額、再委託の実施等において、問題が認められたことから、同協会の機能のうち民間企業等で実施することが困難な機能について、必要な措置を講じた上、自主解散を要請する。
その他の防衛庁所管の公益法人については、その要否を含め、さらに検討を進めるものとし、問題が認められる法人については、その自主解散の要請等、所要の措置を講じてまいりたい。

(2)公益法人における勤務期間等

 再就職規制を逃れるため公益法人を利用しているとの批判を受けるような状態を是正するため、防衛庁から常勤・有給で再就職した公益法人の役員については、5年以内に防衛庁と密接な関係にある営利企業に就職することを前提として当該法人を退職しないよう要請する。

(3)随意契約の一般競争入札への移行等

 会計法は一般競争入札を原則とすることを再確認した上で、平成17年度に防衛庁が公益法人と締結したすべての随意契約について、

① 契約の目的である事務・事業について、第三者に行わせることが不可能であるか、

② 随意契約を締結した公益法人が、さらに再委託を行っている随意契約について、随意契約によることとした理由と矛盾していないか、
との観点から再点検を行い、「よほどの事情がない限り」、一般競争入札等に移行する。
また、防衛庁が公益法人と随意契約を締結する場合には、再委託を認めない方向で検討する。

7 今般の事案への対応

 今般の事案に対し厳正な対応を行うことがかかる事案の再発防止につながるとの認識に立ち、今般の事案について徹底的な事案の究明を行い、関係職員に対して厳正な処分を行うとともに、「防衛施設庁入札談合等に係る事案に対する調査委員会」の調査結果を受けて、入札談合等に関与したOBに対するしかるべき措置についても検討してまいりたい。また、企業側に法的な責任が認められる場合には、違約金の徴収等、必要な措置を講じていくことは当然である。
以上、検討会における議論を踏まえ、今般の事案に対する再発防止策の基本的方向についてとりまとめた。
今後は、冒頭述べたように、具体的な対策を策定することとなるが、その際、自民党国防部会による御提言「今般の防衛庁の組織再編に合わせた防衛施設庁再編について」及び公明党安全保障部会による「防衛施設庁入札談合等再発防止対策に関する申し入れ」を十分に踏まえることは言うまでもない。(組織に関する平成19年度概算要求に向けての実務的作業については、「防衛施設庁解体後の新たな防衛組織を検討する委員会(委員長:防衛庁長官)」において行われることは前述のとおり。)

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