第72回防衛調達審議会議事要旨

1 日時

平成20年10月15日(水)10時00分~12時10分

2 場所

防衛省A棟11階第1省議室

3 出席者

(委員)
坂井会長 江畑委員 奥宮委員 清水(俊)委員 清水(涼)委員 東葭委員

(防衛省)
岩井防衛参事官 羽深審議官 杉崎統合幕僚監部後方補給官
市田陸上幕僚監部装備部副部長 畑田海上幕僚監部装備部長
福井航空幕僚監部装備部長 槇原技術研究本部総務部長 多田装備施設本部副本部長
増田装備政策課長 山本監査課長 松村監査課先任部員

4 議題

  1. (1)平成19年度防衛装備品等の契約に係るサンプリング調査(海上自衛隊航空補給処)
  2. (2)平成19年度契約における1者応札・1者応募案件に係るサンプリング調査(海上自衛隊)
  3. (3)新たなインセンティブ契約制度の試行について
  4. (4)平成20年度ライフサイクルコスト管理年次報告書について
  5. (5)次回の日程等

5 議事概要

(1)平成19年度防衛装備品等の契約に係るサンプリング調査(海上自衛隊航空補給処)

 平成19年度に海上自衛隊航空補給処が締結した随意契約の中から、サンプリング調査対象として委員が抽出したP-3C型航空機の主脚装置等の修理契約である「LANDING GEAR, MAIN等修理作業」について審議を行った。

 防衛省側から、調達品の概要及び調達要求以降、予定価格の算定及び商議を経て、契約成立に至るまでの経緯について説明が行われた後、主に以下のような質疑応答が行われた。

(契約の概要)
本件はP-3C型航空機の機器(主脚装置、前脚装置、プロペラ装置、プロペラ同調装置)についての修理契約である。 本件では契約相手方の選定を目的とした公募を実施したところ、当該機器の修理に関する航空機製造事業法の許認可を得ている1社のみの応募があり、該社と随意契約を締結した。

委 本契約では故障部品については交換部品を官給することとなっているが、交換部品の在庫が不足して官給ができない場合の措置として、年度内に契約を完了させる目的から、一部の修理については分解検査で打ち切りとする内容の変更契約が行われている。(なお、組立等の残りの作業については翌年度の契約で措置している。) もっと交換部品が適切な時期に官給ができるように管理はできないのか。

防 修理契約の官給品として部隊に保有する交換部品は、限られた予算の範囲で確保しなければならないため、故障発生率や使用時間に基づいて算定した数量を在庫として保有している。しかしながら、実際に官給品として必要となる交換部品は、分解検査を実施した際に初めて明らかになることから、在庫として確保した数量を上回る交換部品が必要となった場合には、在庫が不足して官給は不可能となる。
 本件は、在庫が不足していた交換部品が輸入品であったため、取得するまでに長時間を要したものであるが、特に輸入品については、引き続き、調達先と調整を行っていくことで、交換部品の早期納入を図る。

委 官給部品が不足した場合の措置として、繰越明許費(※)の手続を取って交換部品が官給できるようになるまで契約の履行期間を延長するのではなく、上述のとおり分解検査で打ち切りとする変更契約を行っているのはどのような理由からか。

防 繰越明許費による措置は、年度内での契約履行を可能な限り追求した結果、繰り越しによる以外に方法がない場合などに限って厳格に適用される。官給部品が不足して修理契約の内容を変更する場合は、当初の契約の履行期間内でどこまで実施できるのかを部内の審査会議で審議した上で決定しており、本件では分解検査で打ち切りとする変更契約によって対応することが最適であると判断した。

※繰越明許費: 歳出予算の執行上、年度内に支出が完了しない事由が生じた場合に、財務大臣の承認を経て、翌年度に繰り越して使用するもの。繰り越しできる歳出予算の区分や承認の手続等については、会計法令(財政法第43条の3他)に規定されている。

委 「変更契約」といっても、その内容は当初の契約から別の契約であり、「変更」の範囲を超えている。そのため、契約全体が複雑になってわかりにくい。また、このような方法が常態化していることは、予算の執行上望ましくないと思われる。

委 修理が必要な場所は分解しなければわからないという面がある上、繰越明許費とすることが難しい以上、このような方法を採ることもやむを得ないのではないか。

委 P-3C型航空機と同型のエンジンを他自衛隊の機種でも搭載しているが、プロペラの修理費用について他自衛隊の契約金額との比較は行ったのか。

防 他自衛隊の機種では、エンジンは同型であるがプロペラが異なることから、本件のプロペラに関する修理契約と他自衛隊の契約は同一ではない。なお、他自衛隊と共通する品目については、3自衛隊による連絡調整会議を開催し、契約金額に関する情報の交換を行っている。

委 これまで契約相手方の社内で実施していた3品目の塗装はく離作業は、本契約から外注化されており、この結果、当該作業費の合計金額が低減されている。しかしながら、品目ごとの作業費に着目した場合、外注化により作業費が増加している品目が存在する。
外注先の会計処理では、作業費のうちの販売費などの経費を固定費として取り扱っているため、比較的軽微な作業では固定費の影響が大きく現れていることが原因とのことである。
このような会計処理は他社に例を見ないが、外注先での当該作業費は本当に上記のように計上されているのか。

防 当該作業費の計上方法については、本件の外注化に際して契約相手方から確認した内容である。このため、契約の履行時点では外注先においてどのように費用計上されているかは未確認であるが、原価監査の際に外注先での作業費の計上が適切になされているかについて、当該作業費の原価内訳を確認する予定である。

(2)平成19年度契約における1者応札・1者応募案件に係るサンプリング調査(海上自衛隊)

平成19年度に海上自衛隊において締結された契約のうち、
・ 一般競争に付したところ、応札者が1者のみであった案件(1者応札案件)
・ 公募・企画競争に付したところ、応募者が1者のみであった案件(1者応募案件)
の中から、委員により抽出されたサンプリング調査対象について審議を行った。

(1者応札案件)
  護衛艦等に使用する空気式防舷物 2件
  陸上戦闘服
  医療用X線撮影画像のデジタル処理装置 合計6件
(1者応募案件)
  合計3件

 防衛省側から、契約の概要、1者応札・1者応募となったと考えられる要因、契約に際して設定している条件についての説明が行われた後、主に以下のような質疑応答が行われた。

委 護衛艦用に調達している防舷物は、素材が護衛艦と同色のグレーであるということの他に、汎用品との相違点はないとのことであるが、素材の色の違いだけで、見積価格に十数%の価格差が生じるものかどうか検証すべきではないか。

防 本品製造会社から汎用品の見積価格を取り寄せ、本品の見積価格との比較を行った。 (なお、該社のホームページによると、該社は空気式防舷物で世界市場の80%のシェアを有するメーカーである。)
見積価格による差は、本品が汎用品を十数%上回るものの、素材の色を特注していることを考えると、この価格差は問題のない範囲であると認識している。

委 陸上自衛隊で調達している戦闘服と同一のものを海上自衛隊においても調達しているが、陸上自衛隊の調達での契約金額との比較は行っているのか。 また、価格低減の観点から、陸上自衛隊での調達と一括して契約することは可能か。

防 海上自衛隊での戦闘服の調達は最近開始したものであるため、ご指摘の2点についての検討はこれまで行っていないが、今後、これらの件について検討していく。

委 医療用X線撮影画像のデジタル処理装置であれば、複数の会社が取り扱っているものと思われるが、1者のみの応札であったのはどのような理由か。

防 本件では、要求性能に対して最低限の性能を有している製品を取り扱っている1者のみが応札したものと推察される。他社で取り扱っている同種の装置については、本要求に必要のない機能が付加されおり、本品と比較して高額となることから、入札に参加しなかったものと思われる。

(3)新たなインセンティブ契約制度の試行について

 総合取得改革推進プロジェクトチーム報告書(平成20年3月)において、従来のインセンティブ契約制度の実効性を高めるため、制度全体を見直すこととされたことを踏まえ、新たなインセンティブ契約制度を制定し、同年10月1日より施行した。

 新たなインセンティブ契約制度では、

 ・企業の独自の技術等による製品設計、使用材料、生産設備などの改善による原価低減というこれまでの提案要件を撤廃し、既存の生産条件のもとでの汎用的な手法による生産能率の向上によるものなども含む広範なものとする。
 ・提案の有効期間である5年間の各契約について、低減額の50%としていたインセンティブ料の計上方法を1年目90%、2年目80%・・・とするなど柔軟化する。

などの見直しがなされている。

(参照:「インセンティブ契約制度の試行について」は、 当省HP「http://www.mod.go.jp/j/info/sougousyutoku/pdf/20081014.pdf」に掲載)

 防衛省側から新たな制度についての説明を行った後、主に以下の質疑応答が行われた。

委 今般の制度では提案要件が緩和されており、既存の生産条件のもとでの汎用的な手法による生産能率の向上によっても提案が可能となった。このため、企業からの提案が、本当にインセンティブ効果によって企業努力を行った結果によるものであるのかを判定することが、従来の制度から比べると難しくなった。 企業からの提案が、本制度の趣旨に合致しているかを確実に検証していただきたい。

防 今後、具体的な提案が採用され次第、適宜報告を行う。

(4)平成20年度ライフサイクルコスト管理年次報告書について

 総合取得改革推進プロジェクトチーム報告書において、装備品等のライフサイクルコスト管理を平成21年度から本格導入することを予定している。今年度はライフサイクルコスト管理の試行として、P-1型航空機及びF-2型航空機の2機種について平成20年8月27日に年次報告を行った。

(参照:「平成20年度ライフサイクルコスト管理年次報告書」については、 当省装備施設本部HP「http://www.epco.mod.go.jp/about/pdf/20lifecyclecost_houkokusyo.pdf」に掲載。)

 防衛省側から「平成20年度ライフサイクルコスト管理年次報告書」についての説明を行った後、主に以下の質疑応答が行われた。

委 ライフサイクルコストは新機種の構想段階において、トレードオフなどの判断材料として有効である。しかしながら、今回の報告はすでに機種が決定している装備品や量産されている装備品について行われているが、本制度の趣旨はどのようなものか。

防 ライフサイクルコスト管理は今回が初めてであり、いきなり構想段階に用いることは難しいことから、まずはコスト管理の方策を確立するための試行として、開発が最終段階にあるP-1型航空機と、すでに量産が終了しているF-2型航空機を取り上げている。将来的には新機種の構想・開発段階での意思決定において、当手法を導入することを考えている。

(5)次回の日程等

次回は11月19日(水)に開催の予定。
今回の審議会で予定していた「入札状況報告(平成19年度 2/四半期)」については、時間の都合により、次回に審議する。
詳細については事務局から後日連絡。

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