自衛隊員の再就職の在り方に関する検討会
第1回会合の概要

日 時: 平成10年10月14日(水) 1000~1200
場 所: 防衛庁本館6階第2庁議室
出席者:
○ 委員: 南  博方(成城大学学長)〔座長〕
岩井 宜子(専修大学教授)
荻野 直紀(読売新聞社論説委員長)
栗田 裕夫(前セプン・イレブン・ジャパン社長、元陸将)
外間  寛(中央大学学長)
山崎宏一郎(元人事院事務総長)
○ 防衛庁: 防衛庁長官、事務次官、人事教育局長、防衛審議官等
議事概要
(1)  冒頭で、額賀防衛庁長官から、以下のとおり挨拶があった。
 今回の一連の事件は、防衛省・自衛隊の在り方、行政の在り方が問われていると認識しなければならないと考える。これらに個別に対処していくだけでは再発の恐れがあることから、原点に返って何が問題であるかをきちんと整理して、一つ一つ積み重ねていくことが、信頼回復の第一歩であると考える。そのため、装備品の調達システムと自衛隊員の再就職の二つの問題について外部の有識者の方に検討をお願いしている。
 今回の事件を巡り、防衛庁と防衛産業との関係や天下りの問題について批判を受けている。元々自衛隊員は、気力体力を維持する意味からも若年定年制をとっており、一般職公務員とは若干性格を異にする。従って、21世紀においても国と国民の生命財産を守るという気概のある方々が自衛隊員に応募してくれるような環境づくりをするという視点から皆様には活発に御議論をいただき、ルールづくりをして頂きたい。定年退職した者について、職業訓練や雇用先の企業への手当など国として何ができるかを色々と考えながら、将来の自衛隊員の再就職の在り方を考えていきたい。
(2)  本検討会の委員が紹介され、委員の互選により南委員が座長に選出された。以下、南座長の司会により進行した。
(3)  事務局より「検討会の開催趣旨」及び「検討会の審議経過の公表等」について説明され、委員全員一致で了承された。
(4)  引き続き、事務局から、「防衛省・自衛隊の組織と権限」、「自衛隊員の人事管理」、「防衛庁の調達制度と防衛産業」、「自衛隊員の再就職の仕組み及び現状」、「今後の検討課題(一案)」について説明の上で、質疑応答及び自由討議に入った。
(5)  最後に、次回の予定を11月18日として終了した。
自由討議の概要
 一般職と自衛隊員、自衛官と事務官等との違いを認識することの必要性
 自衛隊員は、服務の宣誓にもあるとおり、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努める」こととしており、平素においても災害派遣やPKO等において現実にそのような場面が存在する。この点は、一般職の公務員とは異なる点として認識しておく必要がある。
 自衛隊員の中でも、自衛官と事務官等とは、服務の宣誓上は同じだが職務内容が異なるなど違いがあり、今後の検討においては区別して考える必要がある。
特に自衛官の場合は、若年定年制、任期制という制度をとっており、60歳定年の一般職や事務官等よりも早期に退職を余儀なくされていることも十分考慮する必要がある。
 自衛隊が特別に大変な任務であることを基本的な前提として議論しなければならない。そのために特別な給与体系なども作る必要があると思うが、それについてもやはり透明なものにしなければならない。
 自衛隊員といっても様々な職務や特性があるが、現行の再就職規制の制度のようにそれらのトータルについて適正か否かを見るのではなく、個々のグループにつき適正か否かについて議論しないと特徴が薄まる。
 定年延長、退職者の再雇用等
 自衛隊が戦闘集団である以上、部隊の精強性の保持という観点からは定年延長には限界がある。
 退職後の再就職を心配せずに職務を全うできるようにするためには、体力を特に必要とする士は仕方ないが、その他の隊員についてはもう少し定年を延ばすことも考えられないか。
 組織の活性化等の必要性から、一部の隊員については定年よりも早期に退職してもらっているが、この場合はその再就職を支援してやったりヘッドワークがまだ可能な者は再雇用するなどの方法で、退職後落ちついて生活できるようにする必要がある。
 高齢だが気力・能力がある者について再雇用することは、事務官についてはある程度可能かもしれないが、自衛官の場合は階級があり、将官の下に前任の将官が就くわけにはいかないなど難しい問題があるのではないか。
 天下りを防ぐ有効な手段として一般職の定年延長が議論されているがその結果自衛官との格差が開きすぎるのは好ましくないのではないか。また、防衛庁の中でも、事務官の方は65歳まで再雇用ができるのに自衛官については全く考えないとすれば均衡がとれないと考える。
 自衛官としては気力・体力が衰えている者でも事務官に身分を変更して活用できる場合もあるのではないか。例えば、情報関係など一部の分野では、退職した自衛官を事務官として再雇用することは可能ではないかと思うし、むしろ好ましい場合もあるのではないか。
 一般職公務員については、取り敢えずは、定年延長よりも退職者を再任用するシステムにするという方向で議論が進んでいる。特に幹部職員については、定年までできるだけ公務内に留めておくという方向がよいのではないかとされている。そのためには、年功序列を廃止し、課長クラスでキャリアを終わらせたりスタッフ職を増やすなど、現在の人事管理制度を変えてゆく必要がある。
 60歳定年とは、60歳まで身分保障がありそれを前提に生活設計ができるという意味もあるため、定年後まで面倒を見るということにはならないだろう。若年定年制や任期制は別の議論があろうが、一般に国家公務員の場合で、60歳定年後の再就職問題と勧奨退職者の再就職問題とは質的に異なる問題である。
 就職援護等
 若年定年制、任期制により早期に退職する隊員が、安んじて職務を遂行できるように、退職の後の就職援護は必要であり、そのための体制なども検討する必要がある。
 企業との癒着が問題になるのは上位の者であり、むしろ本当に戦闘に従事する自衛官についてはきちんと区別して、就職援護を考えてもよいのではないか。
 一般職の場合は、勤務経験を活かして様々な国家資格を取得し、退職後に独自に開業したりしている場合がある。自衛官についても、資格試験(航空機の操縦資格など)があれば再就職しやすいのではないか。
 再就職の規制
 再就職自体が問題ではないが、今回の事件のように、調達権限を背景とした再就職の押しつけをしているとの疑いが持たれることのないよう調達システムなどの根源的なところにまで遡って問題があるところは是正すべきである。
 再就職規制が意味を持つか否かは最終的には制度を動かす人間次第であることは確かであるが、そもそも防衛庁の場合は制度自体がわかりにくいことも事実である。例えば、法令を見ても調達実施本部と内局との指揮命令関係がどうなのかは非常に曖昧になっている。これについては調達制度の検討会が別途行われているので、そのまとめができたら参考までに紹介して欲しい。
 規制対象が今のままでよいのか、あるいは一般職と同様にするのかを議論する必要がある。
 自衛官の中でも階級が下の者については、再就職を契機に不明朗な関係が生じることは余り考えにくい。一方、階級が上の者については、企業において上の地位につき色々と影響力がある場合に再就職の規制が必要になる。行政上の不明朗な関係の防止という再就職規制の趣旨に鑑みれば、自衛官の中でも両者を区別する必要があると考える。
 一般職の場合は、国の機関と営利企業との関係に、自衛隊の場合には個人の職務と営利企業との関係に着目している点が大きな違いである。そのため一般職の場合は、その機関に属している者は全て営利企業と関係があることになる。
また、就職先の地位については、一般職の場合は全ての営利企業の地位になっていて、役員・非役員の区別はなく、人事院の審査を受けて公表される。ところが自衛隊員の場合は、全ての地位ではなく、役員又は役員に相当する地位になっている。ここで、今回問題となった顧問という地位については、現行の防衛庁の考え方によれば、役員又は役員に相当する地位ではないため、自衛隊離職者就職審査会には諮られないことも一つの問題点ではないかと考える。
 審査をして承認する際の判断基準を、一般職は色々と細かな規定があるが、自衛隊の場合は、現在は総合判断という言い方で曖昧になっているため、これをもう少し具体化、明確化する必要がある。
透明性の確保ということについても、個々人の状況を退職後もずっと把握するということではなく、このような承認基準をきちんと明確に定めて公表するということである。
 承認したものについて、国会への報告などがあっても良いのではないか。

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