中期防衛力整備計画
(平成8年度~平成12年度)
平成7年12月14日 安全保障会議決定
平成7年12月14日 閣議決定    
1.計画の方針
 平成8年度から平成12年度までの防衛力整備に当たっては、「平成8年度以降に係る防衛計画の大綱」(平成7年11月28日安全保障会議及び閣議決定。以下「新防衛大綱」という。)に従い、以下を計画の基本として、適切な防衛力の整備に努めることとする。
 基幹部隊、主要装備等については、新防衛大綱に定める新たな防衛力の水準への円滑な移行に配意しつつ、合理化・効率化・コンパクト化を推進する。
 多様な事態に対して有効に対応し得るよう必要な機能の充実及び防衛力の質的な向上に努める。
 養成及び取得に長期問を要する要員及び装備を、教育訓練部門等において保持したり、即応性の高い予備自衛官を確保することにより、事態の推移に円滑に対応し得るように適切な弾力性を確保する施策に着手する。
 日米安全保障体制の信頼性の向上を図るための各種施策を引き続き推進する。
 より安定した安全保障環境の構築への貢献のための各種施策を推進する。
 その時々の経済情勢、格段に厳しさを増している財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、節度ある防衛力の整備に一層努力する。
2.基幹部隊の見直し等
 陸上自衛隊については、装備の近代化にも配意しつつ、5個の師団について改編を実施する。その際、2個の師団については旅団に改編し、このうち1個を空中機動性を高めた旅団とするとともに、改編した師団及び旅団のそれぞれについて、その一部の部隊を即応性の高い予備自衛官を主体として編成する。また、即応性の高い予備自衛官に係る所要の施策を講ずる。
 これらの改編に伴い、陸上自衛隊の編成定数及び常備自衛官定員を計画的かつ段階的に削減することとし、計画期間末の編成定数については、おおむね17万2千人程度、常備自衛官定員については、おおむね16万7千人程度、即応予備自衛官員数については、おおむね5千人程度をめどとする。なお、陸上自衛隊の常備自衛官の充足については、定員の削減を踏まえつつ、計画期間末において、おおむね14万7千人程度をめどとする。
 海上自衛隊については、護衛艦部隊(地方隊)のうち2個護衛隊を廃止するとともに、潜水艦部隊に教育部隊を新編するほか、機動的に運用する掃海部隊を1個掃海隊群へ集約化する。また、固定翼哨戒機部隊については1個航空隊を廃止するとともに、固定翼哨戒機部隊及び陸上回転翼哨戒機部隊のうちそれぞれ1個航空隊を搭乗員を専門に養成するための教育部隊とする。
 航空自衛隊については、警戒管制部隊のうち2個方面隊の一部の警戒群を警戒隊とするとともに、要撃戦闘機部隊について1個飛行隊を廃止する。
 各自衛隊の統合的かつ有機的な運用に特に配意するとの観点から、統合幕僚会議の機能の充実等について検計の上、必要な措置を講ずる。
3.主要事業内容
 防空能力
(1) 防空要撃能力については、将来における技術的水準の動向に対応して、現有の要撃戦闘機(F-15)を今後とも有効に活用するため、近代化のための試改修を行う。
(2) 重要地域等の防空火力については、引き続き、現有の地対空誘導弾(ペトリオット)の能力向上を行うとともに、地対空誘導弾(ホーク)改善用装備品を整備する。
 また、短距離地対空誘導弾改善用装備品、近距離地対空誘導弾、高射機関砲等を整備する。
 周辺海域の防衛能力及び海上交通の安全確保能力
(1) 艦艇については、護衛艦、潜水艦、掃海艇、ミサイル艇等を建造する。護街艦の建造に当たっては、護衛艦部隊全般の効率的な在り方に留意しつつ、更新・近代化を推進する。
(2) 航空機については、引き続き、哨戒へリコプター(SH-60J)を整備するとともに、将来の技術的水準の動向に対応して、現有の固定翼哨戒機(P-3C)を今後とも有効に活用するため、所要の能力向上のための改修を行う。また、固定翼哨戒機(P-3C)の後継機に関し、検討の上、必要な措置を講ずる。
 着上陸侵攻対処能力
(1) 洋上・水際撃破能力等については、現有の支援戦間接(F-1)の後継機として、新たな支援戦間機(F-2)を整備するとともに、引き続き地対艦誘導弾(SSM-1)を整備する。
(2) 火力、装甲機動力、対戦車火力については、老朽装備の更新・近代化を主体に、火砲、多連装ロケットシステム、戦車、装甲車、多目的誘導弾システムを含む対戦車火器等を整備するとともに、空中火力の向上のため、引き続き、対戦車へリコプター(AH-1S)を整備する。
 輸送力及び機動力
 輸送力及び機動力については、引き続き、輸送ヘリコプター(CH一47)、輸送艦等を整備ずる。また、輪送機(C-1)の後継機に関し、検計の上、必要な措置を講ずる。
 空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する検討を行い、結論を得、対処する。
 情報・指揮通信能力
(1) 警戒監視等については、引き続き、固定式3次元レーダー装置及び移動式警戒監視システムを整備するとともに、早期警戒管制機の運用態勢の整備を行うほか、艦艇、航空機等による周辺海・空域の監視態勢を充実する。また、警戒管制部隊の効率化・合理化を図るために必要な措置を講ずる。
(2) 情報については、戦略情報を含む高度の情報収集・分析等を総合的に実施し得る体制等の充実を図るため、既存の情報組織の見直しを行うとともに、中央情報組織を新編しその機能の充実を図るほか、情報部隊の効率的な体制の整備を行う。また、各種情報収集手段等を整備するとともに、能力の高い情報専門家を確保する。
(3) 指揮通信については、中央において適時適切かつ総合的な観点から指揮し得る体制を確保するため、防衛庁本庁庁舎の移転に伴い、新中央指揮システムの整備を行う。また、引き続き、防衛統合ディジタル通信網(IDDN)の整備、指揮機能の充実、衛星通信の利用等各種施策を推進する。
 継戦能力及び抗たん性
 継戦能力及び抗たん性の確保については、引き続き、弾薬の整備等各種施策を推進する。
 教育訓練体制
 教育訓練体制の充実及び効率化・合理化を図るため、戦間部隊において保持する装備と同様のものを教育訓練部門において保持する。この一環として、要撃戦闘機(F-15DJ)及び新たな支援戦闘機(F-2)を整備する。
 また、中等練習機(T-4)等の航空機、訓練支援艦及び各種の教育訓練用器材等を整備するとともに、訓練施設等教育訓練環境の改善を図る。
 救難体制
 救難体制の向上及び効率化を図るため、引き続き、救難飛行艇(US-1A)、救難へリコプター(UH-60J)、救難捜索機(U-125A)等を整備する。
 人事及び衛生
 高い士気及び能力並びに広い視野を備えた隊員を保持するため、隊員の処通改善、他省庁・民間との交流等各種の人事及び衛生諸施策を引き続き推進する。
 その際、隊員の生活勤務環境の向上を図るため、地域や勤務の特性、新たな体制への移行等に配意しつつ、隊舎、宿舎等の建設・改修を引き続き推進するとともに、厚生施設等の整備・充実を図る。
10 施設
(1) 老朽建物の建替を推進するとともに、新たな体制への移行をも考慮しつつ、装備品等の取得、部隊の編成に必要な施設を整備するほか、弾薬施設、訓練施設等の整備を図る。
(2) 周辺地域とのより一層の調和を図るため、引き続き、基地周辺対策を推進する。
11 技術研究開発
 新中距離地対空誘導弾を始めとする各種誘導弾、救難飛行艇(US-1A改)その他の装備、器材等について、ライフサイクルコストの抑制に十分配意しつつ、研究開発を推進する。また、技術研究開発体制の充実を図るほか、技術進歩のすう勢等を十分に勘案して、先端的な技術の確立に資するため、技術実証型研究を含む各種研究を行う。
12 日米安全保障体制の信頼性の向上を図るための施策
(1) 情報交換、政策協議等の充実を図る。
(2) 共同研究並びに共同演習・共同訓練及びこれらに関する相互協力の充実等を含む運用面における効果的な協力態勢を構築する。
(3) 日米共同研究等装備・技術面での幅広い相互交流の充実に努める。
(4) 引き続き在日米軍駐留支援及び沖縄の施設・区域の整理・統合・縮小を含む在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするための施策を推進する。
13 災害救援等
 大規模な災害等人命又は財産の保護を必要とする各種の事態に対して、適時適切に災害救援等の行動を実施するための各種施策を実施する。
14 より安定した安全保障環境の構築への貢献
(1) 国際平和協力業務等を適時適切に実施するための各種施策を実施する。
(2) 安全保障対話・防衛交流を引き続き推進し、我が国の周辺諸国を含む関係諸国との間の信頼関係の増進を図る。
(3) 国際連合、国際機関等が行う軍備管理・軍縮分野における諸活動に対し協力する。
15 その他
(1) 弾道ミサイル防衛については、その有用性、費用対効果等に関し、総合的見地から十分に検討の上、結論を得るものとする。
(2) 調達価格等の抑制を図るため、情報化等に対応しつつ、効率的な調達補給態勢の整備に努める。
4.整備規模
前記3.(主要事業内容)に示す装備品のうち、主要なものの具体的整備規模は、別表のとおりとする。
別表
区分 種類 整備規模
陸上自衛隊 戦車
火砲(迫撃砲を除く。)
多連装ロケットシステム
装甲車
地対艦誘導弾
対戦車ヘリコプター(AH-IS)
輸送ヘリコプター(CH-47JA)
地対空誘導弾(ホーク)改善用装備品
96両
45門
45両
168両
24両
4機
12機
2個群
海上自衛隊 護衛艦
潜水艦
その他
自衛艦建造計
(トン数)
哨戒ヘリコプター(SH-60J)
8隻
5隻
18隻
31隻
(約10.0万トン)
37機
航空自衛隊 要撃戦闘機(F-15DJ)
支援戦闘機(F-2)
輸送ヘリコプター(CH-47J)
中等練習機(T-4)
4機
47機
6機
59機
5.所要経費
 この計画の実施に必要な防衛関係費の総額の限度は、平成7年度価格でおおむね25兆1,500億円程度をめどとする。
 各年度毎の予算の編成に際しては、一層の効率化、合理化に努め、極力経費を抑制するよう努カするとともに、その時々の経済情勢、格段に厳しさを増している財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、この計画の所要経費の枠内で決定するものとする。なお、将来における予見し難い事象への対応、より安定した安全保障環境の構築への貢献等特に必要と認める場合にあっては、安全保障会議の承認を得て、この計画の所要経費の他、1,100億円を限度として、これらの事業の実施について措置することができるものとする。
 その際、「今後の防衛力整備について」(昭和62年1月24日安全保障会議及び閣議決定)に示された節度ある防衛力の整備を行うという精神は、引き続きこれを尊重するものとする。
 この計画については、3年後には、その時点における国際情勢、技術的水準の動向、経済財政事情等内外諸情勢を勘案し、この計画に定める所要経費の総額の範囲内において、必要に応じ見直しを行う。

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