中期防衛力整備計画解説
 新中期防策定の経緯
(1) 新防衛大綱の策定
 防衛計画の大綱は、我が国の防衛力を整備、維持及び運用するための指針です。我が国は、これまで、昭和51年に策定された前大綱(「昭和52年度以降に係る防衛計画の大綱」)に基づき防衛力の整備を行ってきました。
 しかし、平成2年12月に決定された中期防衛力整備計画(平成3年度~平成7年度)の中で今後の防衛力の在り方について検討を行うことが明示されたところであり、その後昨年まで、国際情勢の大きな変化、自衛隊の新たな分野における役割に対する期待の高まり、さらに、科学技術の著しい進歩や若年人口の減少傾向などを踏まえ、大綱の見直しも視野に入れつつ、その検討が行われてきました。
 具体的には、防衛庁内における検討はもとより、総理の下で有識者から構成される「防衛問題懇談会」が開催され、総理へ報告が提出されました。また、平成7年6月から、安全保障会議において、合計10回にわたる審議が行われました。
 この結果、平成7年11月28日、新防衛大綱(「平成8年度以降に係る防衛計画の大綱」)が、安全保障会議及び閣議で決定されました。
 新防衛大綱は、基盤的防衛力構想を基本的に踏襲しながら、現行の防衛力の具体的内容について見直しを行い、合理化・効率化・コンパクト化を一層進めるとともに、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図ることにより、多様な事態に対して有効に対応し得る防衛力を整備し、同時に事態の推移にも円滑に対応できるような適切な弾力性を確保し得るものとすることが適当であるとしています。
(2) 新中期防の策定
 防衛計画の計画方式については、今後の防衛力の在り方に関する安全保障会議の審議の中で、現行どおり、防衛計画の大綱を策定し、その下に計画的な防衛力整備を進めていくことが望ましいとされました。
 これを受け、新中期防については、新防衛大綱が策定された後、安全保障会議において、その基本的な考え方、次期支援戦闘機の整備、案文等について、3回にわたり審議が重ねられ、平成7年12月14日に同会議で決定され、翌15日に閣議で決定されました(資料1参照)。
(資料1)新中期防等の係る安全保障会議の経緯
平成7年12月6日(水) ・新中期防の基本的考え方について
・次期支援戦闘機等について
・長期経済見通しについて(経済企画庁)
12月12日(火) ・新中期防案文について
12月14日(木) ・新中期防についての答申案の決定
・次期支援戦闘機の整備についての答申案の決定
・F-15の取得数の変更についての答申案の決定
12月15日(金) ・新中期防についての閣議決定
次期支援戦闘機の整備について閣議決定
F-15の取得数の変更について閣議決定
 新中期防の意義
(1) 新防衛大綱の下での最初の中期防
 新中期防は、新防衛大綱の下での最初の中期的な防衛力整備計画であり、新防衛大綱に定める防衛力の内容を実現するための第一歩としてその基礎を固めつつ、その着実な実現を目指すものです。
 例えば、陸上自衛隊について言えば、新防衛大綱に示された新たな体制では、これまでの予備自衛官とは異なる即応性の高い予備自衛官(即応予備自衛官)を1万5千人にすることとされていますが、新中期防期間中にその導入を始め、期間末に約5千人とすることとしています(資料2参照)。
 また、各自衛隊いずれも、今後ある程度の期間をかけて、新防衛大綱に示された新たな体制へ計画的かつ段階的に移行しますが、円滑に移行するための要領について十分検討した上で、新中期防期間中に具体的に移行に着手することとしています。
(2) 継続的かつ計画的な防衛力整備
 防衛力整備は、具体的な中期的見通しに立って、継続的かつ計画的に行うことが必要です。
 このため、政府としては、「国防の基本方針」策定の翌年から、昭和36年度及び昭和52年度から60年度までを除き、3ヶ年又は5ヶ年を対象期間とする中期的な防衛力整備計画を策定し、これに基づき、各年度の防衛力整備を行ってきています(資料3参照)。
 新中期防は、これまでの中期防が平成7年度で終了することから、平成8年度から平成12年度までの5ヶ年間を計画の対象期間とする中期的な防衛力整備計画として策定されたものです。
 計画の方針
 新中期防は、新防衛大綱に従い、適切な防衛力整備を行うことを基本としており、具体的には、以下の6つの方針を掲げています。
(1) 防衛力の合理化・効率化・コンパクト化の推進
 新防衛大綱に定める新たな防衛力の水準への円滑な移行に配意しつつ、防衛力の合理化・効率化・コンパクト化を推進します。
 具体的には、新中期防において、今後5年間の陸・海・空各自衛隊の基幹部隊の見直しについて明記しています。
 なお、基幹部隊の見直しについては、できる限り速やかに行うことが望ましいと考えられますが、新防衛大綱に示された新たな体制への移行に当たっては、全国に配置されている部隊を改編していかなければならないこと、また、地元への影響を最小限に抑えることが求められること、さらに新たな制度の導入が必要となる場合があること、隊員の高い士気を維持するとともに、部隊の練度の低下を招かないように行わなければならないことなど、種々の事情を考慮して、計画的かつ段階的に行っていくことが必要です。
(2) 防衛力の質的な向上
 多様な事態に対して有効に対応し得るよう必要な機能の充実及び防衛力の質的な向上に努めます。
 例えば、正面装備を更新・近代化すること、情報・指揮通信機能では、情報本部(仮称)の新設、新中央指揮システムの整備等を通じて、これを強化すること、技術研究開発を推進すること、災害救援については、これに活用し得る装備の充実など各種施策を講ずることなどです。
 また、新防衛大綱においては、自衛隊の任務を迅速かつ効果的に遂行するため、統合幕僚会議の機能の充実等による各自衛隊の統合的かつ有機的な運用に特に配意することとしており、新中期防においても、このための検討を行った上で、必要な措置を講ずることとしています。
(3) 適切な弾力性の確保
 事態の推移に円滑に対応し得るように、適切な弾力性を確保する施策に着手します。
 新防衛大綱においては、防衛力の弾力性の確保について、防衛力の規模及び機能についての見直しの中で、養成及び取得に長期間を要する要員及び装備を、教育訓練部門等において保持したり、即応性の高い予備自衛官を確保することとしています。
 これを受けて、新中期防においては、教育訓練体制の充実・効率化・合理化を図るため、戦闘部隊で保持する装備と同様のものを教育訓練部門で保持することとしています。
(4) 日米安保体制の信頼性の向上
 日米安全保障体制の信頼性の向上のための各種施策を推進します。
 新防衛大綱においては、日米安全保障体制の意義について確認するとともに、その信頼性の向上を図り、これを有効に機能させていくための各種施策の実施が必要である旨述べています。
 新中期防においては、こうした基本的な考え方を受けて、各種の施策を推進することとしています。
(5) 安定した安全保障環境の構築への貢献
 より安定した安全保障環境の構築への貢献のための各種施策を推進します。
 新防衛大綱においては、今後の防衛力の役割として、より安定した安全保障環境の構築への貢献も一つの柱として位置づけています。
 新中期防においても、このための各種施策の推進について、主要事業内容の中に明確に位置づけています。
(6) 節度ある防衛力の整備
 防衛関係費の在り方を明記し、節度ある防衛力の整備に努力します。
 新中期防においては、これまでの中期防と同様、計画の実施に必要な防衛関係費の総額の限度を明示し、節度ある防衛力の整備を行うという精神を尊重することとしています。
 また、各年度の予算編成に際しては、極力経費を抑制するよう努力するとともに、その時々の経済情勢、格段に厳しさを増している財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図ることとしています。
 なお、3年後には、その時点における内外諸情勢を勘案し、所要経費の総額の範囲内で、必要に応じ見直しを実施することとしています。
 基幹部隊の見直し
 新中期防においては、現在の防衛力の体制から新防衛大綱に定める体制へ移行する過程を特に明示しています。
 具体的には、次のとおりです。
(1) 陸上自衛隊
 陸上自衛隊については、現在の13個の師団のうち5個の師団を改編し、このうち2個の師団を旅団にします。また、改編した師団と旅団のそれぞれについて、その一部の部隊を即応予備自衛官を主体として編成します(資料4-1参照)。
 こうした改編に伴って、現在の18万人の編成定数を17万2千人程度(常備自衛官16万7千人程度、即応予備自衛官5千人程度)にします。なお、充足については、現在は15万人強ですが、これを14万7千人程度とします(資科5参照)。
 なお、陸上自衛隊の新たな体制への移行については、海・空自衛隊と比べても、ある程度長い期間が必要となるものと見込んでいます。
(資料4-1)基幹部隊の見直しおよび主要事業(陸上自衛隊)
区分 新防衛大綱水準 新中期防完成時 新中期防における主要事業




編成定数
 常備自衛官定員
 即応予備自衛官定員
16万人
14万5千人
1万5千人
17万2千人程度
16万7千人程度
5千人程度

・充足は14万7千人
・即応予備自衛官の導入



平時地域配備する部隊 8個師団
6個旅団
10個師団
2個旅団
2個混成団
・2個の師団を旅団に改編
・1個は空中機動性を高めた旅団に改編
機動運用部隊 1個機甲師団
1個空挺団
1個ヘリコプター団
1個機甲師団
1個空挺団
1個ヘリコプター団
 
地対空誘導弾 8個高射特化群 8個高射特化群 ・ホーク改善用装備品2個群を整備



戦車
主要特化装備
約900両
約900門/両
約1,050両
約980門/両
・戦車96両を整備
・火砲45門、
 多連装ロケットシステム45両、
 地対艦誘導弾24両を整備

 この他、新中期防では、装甲車168両、対戦車ヘリコプター(AH-1S)4機、輸送ヘリコプター(CH-47JA)12機を整備。

(2) 海上自衛隊
 海上自衛隊については、護衛艦部隊(地方隊)として、現在5個の警備区にそれぞれ2個護衛隊、合計10個護衛隊がありますが、このうちの2個護衛隊を廃止します。また、現在機動的に運用する掃海部隊として2個掃海隊群がありますが、これを1個掃海隊群に集約化します。
 P-3C、SH-60J等を持つ陸上哨戒機部隊については、現在16個航空隊がありますが、このうち固定翼哨戒機部隊の1個航空隊を廃止するとともに、固定翼哨戒機部隊及び回転翼哨戒機部隊それぞれ1個航空隊、合計2個航空隊を搭乗員を専門に養成するための教育部隊とすることにより、13個航空隊にします。
 なお、海上自衛隊については、新中期防の期間中に、ほぼ新たな体制に近づくこととなります(資科4-2参照)。
(資料4-2)基幹部隊の見直しおよび主要事業(海上自衛隊)
区分 新防衛大綱水準 新中期防完成時 新中期防における主要事業







護衛艦部隊(機動運用)
護衛艦部隊(地方隊)
潜水艦部隊
掃海部隊
陸上哨戒機部隊
4個護衛艦群
7個隊
6個隊
1個掃海隊群
13個隊
4個護衛艦群
8個隊
6個隊
1個掃海隊群
13個隊
・2個護衛隊を廃止
・教育部隊を新編
・1個掃海隊群を廃止
・固定翼及び陸上回転翼哨戒機部隊の

 それぞれ1個航空隊を教育専任部隊
 として保有
・P-3Cの能力向上を実施



護衛艦
潜水艦
作戦用航空機
約50隻
16隻
約170機
約54隻
16隻
約170機
・護衛艦8隻を整備
・潜水艦5隻を整備
・SH-60J 37機を整備

 この他、新中期防では、その他の自衛艦18隻を整備。

(3) 航空自衛隊
 航空自衛隊については、現在警戒管制部隊として28個警戒群がありますが、2個方面隊の警戒群の一部を警戒隊に改編します。また、要撃戦闘機部隊10個飛行隊のうち1個飛行隊を廃止します。
 なお、航空自衛隊についても、新中期防の期間中に、ほぼ新たな体制に近づくこととなります(資料4-3参照)。
(資料4-3)基幹部隊の見直しおよび主要事業(航空自衛隊)
区分 新防衛大綱水準 新中期防完成時 新中期防における主要事業







航空警戒管制部隊


要撃戦闘機部隊

支援戦闘機部隊
航空偵察部隊
航空輸送部隊
地対空誘導弾部隊
8個警戒群
20個警戒隊
1個飛行隊
9個飛行隊

3個飛行隊
1個飛行隊
3個飛行隊
6個高射隊
(一部を警戒
隊に改編)
1個飛行隊
9個飛行隊

3個飛行隊
1個飛行隊
3個飛行隊
6個高射隊
・地上レーダーの更新・近代化を実施
・2個方面隊の一部を警戒隊に改編
・AWACSの運用態勢を整備
・1個飛行隊を廃止

・F-15近代化のための試改修を実施
・F-2 47機(教育用を含む)を整備


・ペトリオットの能力向上を実施



作戦用航空機

 うち戦闘機
約400機

約300機
約390機

約290機
・F-2 47機(教育用を含む)、
 CH-47J 6機を整備

 この他、新中期防では、教育部隊用のF-15DJ 4機、T-4 59機を整備。

 主要事業内容
 新中期防においては、先程述べた6つの基本的な方針の下、種々の事業を行うこととしていますが、主要なものをあげれば、以下のとおりです。
(1) 装備の更新・近代化
 防空能力、周辺海域の防衛能力及び海上交通の安全確保能力、着上陸侵攻対処能力などについては、正面装備の更新・近代化を中心として、その充実に努めることとしています。
 具体的には、新中期防期間中に調達する主要な装備の規模については、別表に掲げており、また、現在保有しており今後長期間にわたって運用してしていくことを予定している装備の能力向上施策についても明記しています。
 なお、F-2の整備、空中給油機能の取扱い、C-1やP-3Cの後継機については後述します。
(2) 情報・指揮通信能力の向上
 警戒監視等については、航空自衛隊が保有する地上のレーダーの更新・近代化を行います。また、平成5年度及び平成6年度に調達した早期警戒管制機(E-767)を取得するのに伴い、その運用態勢の整備に努めることとしています。
 警戒監視等については、航空自衛隊が保有する地上のレーダーの更新・近代化を行います。また、平成5年度及び平成6年度に調達した早期警戒管制機(E-767)を取得するのに伴い、その運用態勢の整備に努めることとしています。
 情報については、戦略情報を含む高度の情報収集・分析などを総合的に実施し得る体制の充実を図るため、既存の情報組織の見直しを行うとともに、情報本部(仮称)を新設し、機能の充実を図ります。情報本部については、平成8年度の新設を予定しています。
 指揮通信については、防衛庁中央において適時適切かつ総合的な観点から指揮し得る体制を確保するため、防衛庁の市ヶ谷移転に伴い、新中央指揮システムの整備を行います。
 また、防衛統合ディジタル通信網(IDDN)の整備を引き続き行うとともに、衛星通信の利用も拡大していきます。
(3) 教育訓練体制の充実
 教育訓練体制については、その充実及び効率化・合理化を図るため、戦闘部隊において保持する装備と同様のものを教育訓練部門においても保持することとしています。これは、事態の推移に円滑に対応できるような弾力性を確保することにもなります。
 具体的には、航空自衛隊の教育部隊に要撃戦闘機や支援戦闘機と同型の戦闘機を配置し、海上自衛隊の陸上哨戒機部隊の一部を教育専任部隊としこのための航空機を保有することとしています。また、艦齢を十分に残した護衛艦や潜水艦を改造して練習艦とすることも計画しています。
(4) 隊員施策の推進
 隊員施策については、隊員の生活勤務環境の向上を図るため、地域や勤務の特性などに配意しつつ、隊舎、宿舎等の建設・改修を引き続き推進するとともに、厚生施設等の整備・充実を図ります。
(5) 技術研究開発の推進
 技術研究開発については、各種装備について、ライフサイクルコストの抑制に十分配意しつつ、研究開発を推進します。また、技術研究開発体制の充実を図るほか、技術進歩の趨勢などを十分に勘案して、先端的な技術の確立に資するため、技術実証型研究を含む各種研究を行います。
 技術実証型研究とは、具体的な特定の装備品の開発を前提とせずに、技術的なリスクの高い先進的な技術を適用してプロトタイプ的なものを試作し、システムとして稼働させることにより、リスク低減、システムとしての有効性、実現性の検証等を行うことを目的とした研究です。
(6) 日米安保体制の信頼性の向上
 日米安全保障体制の信頼性の向上を図るための施策については、情報交換、政策協議などの充実、共同研究、共同演習、共同訓練などの運用面における効果的な協力態勢の構築、装備・技術面での幅広い相互交流の充実に努めるとともに、引き続き在日米軍駐留支援及び沖縄の施設・区域の整理・統合・縮小を含む在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするための施策を推進します。
(7) 災害救援等の各種施策の実施
 災害救援については、大規模な災害など人命又は財産の保護を必要とする各種の事態に対して適時適切に災害救援の行動を実施するための各種施策を実施します。
(8) 安定した安全保障環境の構築への貢献
 より安定した安全保障環境の構築については、PKOなどを適時適切に実施するための各種施策を実施するとともに、安全保障対話や防衛交流を引き続き推進し、我が国の周辺諸国を含む関係諸国との間の信頼関係の増進、国際連合、国際機関等が行う軍備管理・軍縮分野における諸活動に対する協力を実施します。
 以上に述べた事業のほか、救難体制の充実、人事・衛生や施設などの施策についても実施します。
 個別事項
 新中期防では、以上のような事業を行うこととしていますが、F-2の量産、空中給油機能や弾道ミサイル防衛の取扱い、C-1やP-3Cの後継機について、個別に説明すれば、以下のとおりです。
(1) F-2
 現有の支援戦闘機(F-1)については、逐次寿命が到来し減勢していくため、後継機を整備することが必要です。このため、昭和63年度から、我が国の防衛上の観点も踏まえ、日米の優れた技術を結集して、米国のF-16をベースとして、次期支援戦闘機を開発してきました(資料6参照)。
 また、F-1と同型である現有の高等練習機(T-2)も逐次減勢していきますが、この後継機については、前中期防に基づき検討を行った結果、教育上の観点や弾力性を確保するため、F-15と次期支援戦闘機の複座型とすることが最も適切であるとの結論を得ました。
 このため、次期支援戦闘機については、新中期防の決定と同時に、今後F-2を130機取得することを安全保障会議で決定し、閣議で了解されました。
 新中期防においては、このうち47機を調達することとし、平成8年度には11機の調達を予定しています(資科7参照)。
(資料6)次期支援戦闘機(FS-X)の開発の経緯
60年 9月 中期防衛力整備計画(昭和61年度~平成2年度)において、「支援戦闘機(F-1)の後継機に関し、別途検討の上、必要な措置を講ずる」旨決定
61年12月 米国からの「共同開発」の提案を受けて、それまでの「国内開発」を「開発」と改め、米国との共同開発を含めて検討することを安全保障会議に報告
62年10月 日米防衛首脳会談における意見交換の結果などを踏まえ、防衛庁として、日米の優れた技術を結集し、F-16をベースとして開発することを決定
12月 安全保障会議において、FS-Xの開発に着手することを決定し、昭和63年度予算に開発費を計上
元年 4月 F-16の対日技術供与の議会通告に関連し、米国において種々の意見が表明され、これを踏まえて、ベーカー国務長官と松永大使との間で「クラリフィケーション」を実施
7月 米議会は、対日技術供与に条件を付す両院共同決議を行政府に送付
ブッシュ大統領はこの決議に対して拒否権を行使
9月 米会議は、この拒否権の行使をオーバーライドしようとしたが、1票差で実らず
2年 2月 「対米武器技術供与取極」に基づき、FS-X関連技術の米国への供与決定
3月 共同設計チーム発足
12月 FS-X試作機搭載用エンジンとしてジェネラル・エレクトリック社製エンジンを採用することを決定
4年 6月 FS-X実大木型模型を公開
5年 3月 ロッキード社によるジェネラル・ダイナミック社戦闘機部門の買収完了
7年 1月 FS-X試作初号機のロールアウト
9月 地上滑走試験を実施
10月 初飛行を実施
(資料7)F-2の総取得機数及び新中期防期間中整備機数
用途 総取得機数 中期整備機数
支援戦闘機部隊用 60機 18機
教育部隊用 21機 21機
飛行教導隊用 8機 ――
術科学校用 2機 1機
在場予備用※ 13機 4機
減耗予備用※※ 26機 3機
合計 130機 47機

※ 定期修理を行っても、部隊において任務遂行に必要な機数を確保できるようにするための予備。
※※ 事故により航空機が消耗しても、部隊において任務遂行に必要な機数を確保できるようにするための予備。

(2) 空中給油機能
 空中給油機能については、前々中期防及び前中期防の10年間にわたり、研究や検討を行ってきました。
 この結果、例えば、空中給油機能があれば、戦闘機が空中において攻撃側の戦闘機等を待ち受ける空中警戒待機(CAP)を行う際に、戦闘機の滞空時間を延伸することができるので、使用する戦闘機やパイロットが少なくて済むといった有用性が認められています(資科8参照)。
 また、訓練に際しては、飛行訓練の効率化、安全性の向上、基地周辺の騒音の軽減などの効用も認められます。
 しかしながら、空中給油機については輸送機と兼用することができることを考慮し、なお空中給油機能に関する検討を行うことが必要であると考えています。
 このため、新中期防においては、空中給油機の性能、運用構想等空中給油機能に関する検討を行い、結論を得、対処することとしています。
(3) 弾道ミサイル防衛
 今日の国際社会においては、大量破壊兵器とその運搬手段となり得る弾道ミサイルの拡散が進んでおり、また現実に我が国周辺に弾道ミサイルを保有する国があることから、弾道ミサイル防衛の問題をどう考えるかということは、今後の我が国の防衛政策上の大きな課題です。
 このため、我が国としては、弾道ミサイル防衛について、我が国の防衛政策上の位置づけや我が国の対応について政策判断を行う必要があり、弾道ミサイルの脅威、弾道ミサイル防衛システムの具体的な内容、その技術的な可能性、費用対効果など多岐にわたる問題について検討することが必要です。
 こうした観点から、新中期防においては、弾道ミサイル防衛については、その有用性、費用対効果等に関し、総合的見地から十分に検討の上、結論を得ることとしています。
(4) C-1、P-3Cの後継機
 現有の航空自衛隊の輸送機(C-1)と海上自衛隊の固定翼哨戒機(P-3C)は、現在の見積りでは、いずれも平成20年代初め頃に減勢を開始すると見込まれます。
 これらの後継機の取得方法については、新規開発、外国機の導入など各種の選択肢が考えられますが、このうち新規開発の場合には、新中期防の期間中にも着手する必要が生じ得るものと現時点で見込まれます。
 このため、新中期防においては、これらの後継機に関し、検討の上、必要な措置を講ずることとしています。
 所要経費
(1) 所要経費
 新中期防の実施に必要な防衛関係費の総額の限度は、平成7年度価格でおおむね25兆1,500億円程度をめどとすることとされていますが、この通常分のほかに、1,100億円の調整枠が設けられており、これを加えるとおおむね25兆2,600億円程度となります。
 通常分については、平成7年度の防衛関係費を基準としてみれば、実質平均伸率は2.1%です。こうした総額は、これまで述べた正面装備の更新・近代化、情報指揮通信機能の充実、技術研究開発の推進、隊員施策の推進のほか、装備の維持・管理を行うために必要な経費であり、新防衛大綱の内容を実現する第一歩である新中期防の実施に必要なものです(資料9、10参照)。
 また、調整枠は、各年度の予算編成において留意すべき歳出総額の限度である25兆1,500億円程度とは別に設定されたものであり、将来における予見し難い事象への対応、周辺諸国との信頼醸成等の新たなニーズに対応して使用するものとされ、使用に当たっては、安全保障会議の承認を得るものとされています。調整枠を加えた新中期防の所要経費の実質平均伸率は2.25%となります(資料9参照)。
(資料9)所要経費
区分 前中期防(平成3~7年度)
[平成2年度価格]
新中期防(平成8~12年度)
[平成7年度価格]
総額 22兆1,700億円 25兆1,500億円
実績平均伸率 2.1% 2.1%
調整枠※ ―――― 1,100億円
合計 22兆1,700億円 25兆2,600億円
実績平均伸率 2.1% 2.25%

※ 調整枠とは、将来における予見しがたい事象への対応、より安定した安全保障環境の構築への貢献等特に必要と認める場合にあっては、安全保障会議の承認を得て、使用することができる。

(資料10)中期防の経費の内訳
区分 前中期防(平成3~7年度)
[平成2年度価格]
新中期防(平成8~12年度)
[平成7年度価格]
正面 46,600億円 42,700億円
後方 90,900億円 105,100億円
人・糧 84,200億円 103,800億円
合計 221,700億円 251,500億円
調整枠 ―――― 1,100億円

(注)四捨五入による不符号あり

(2) 所要経費の比較
 このような新中期防の所要経費の規模について、修正された前中期防の所要経費と比較してみると、通常分については、実質平均伸率では同率ですが、5年間の所要経費でみれば、新中期防の前中期防に対する増加率は、前中期防の前々中期防に対する増加率の半分以下となっています(資料11参照)。
(3) 正面装備の調達額
 正面装備の新規調達額については、4兆2,800億円ですが、これは、F-2の量産をはじめとして、各自衛隊の正面装備の更新・近代化などを着実に進めるために必要となる経費です。
 新中期防の正面契約額を前中期防(修正後)と比較すると、総額では前中期防を下回っていますが、実質平均伸率では前中期防が6.2%滅であったのに対し、1.2%の増加に転じています。
(資料12)正面契約額
区分 前中期防(平成3~7年度)
[平成2年度価格]
新中期防(平成8~12年度)
[平成7年度価格]
総額 4兆4,400億円 4兆2,800億円
実績平均伸率 △ 6.2% 1.2%

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