機関紙「鎮西」
 統合運用に寄せて


22年2月28日号掲載

海上自衛隊第1航空群司令
   海将補 
池 太郎

 昨年七月二十一日付、海上自衛隊第一航空群司令として着任した池であります。これまで、約半年間、各種訓練、任務へと部隊を運用してまいりました。その中でも特に、陸上自衛隊の部隊及び航空自衛隊の部隊と協同し参加した平成二十一年度自衛隊統合演習は、平成十八年度末以来統合運用態勢の強化に向けて累々と積み重ねてきたこれまでの努力の跡がうかがえるものとして、大変感銘を受けたものでありました。さて、統合運用について言及するに際し、当群が所在する鹿屋航空基地においては、先の大戦において当基地で行われた海陸統合運用に触れる必要があります。昭和二十年、海軍では、沖縄における戦闘に呼応し組織的な特攻作戦が当基地に司令部を置く第5航空艦隊により実施されました。その中で、陸軍第六航空軍隷下の部隊が協同(連合艦隊司令長官の指揮を受けたという点では「統合」)という形態で、延べ三機十二名が鹿屋基地から特攻に出撃しました。詳細は他の文献に譲りますが、私としては、当時一般的にいわれていた「錨」と「星」の関係を超越し、当地において互いに協力し合った史実を真摯に受け止め、今日の統合運用について更に実のあるものへと深化させるべく努力を払っているところです。なかでも、特に相互理解が大切であるとの認識のもと、日頃から隊員に対しては、単に作戦に関する知識の共有のみならず、あらゆる機会を捉え陸自、空自隊員と直接交流し、信頼に基づく相互理解の構築に努めるよう指導しております。これらを踏まえまして、皆様には、今後とも変わらぬご理解とご協力を頂くようお願いいたします。

21年10月31日号掲載

航空自衛隊第5航空団司令
   空将補 
米沢 敬一

 新田原基地には第5航空団隷下の第301飛行隊(F−4改)、航空総隊直轄の飛行教導隊(F−15)、航空教育集団隷下の飛行教育航空隊(F−15)と航空支援集団隷下の新田原救難隊(U−125A、UH−60J)と指揮系統の異なる4つの飛行隊が所在するちょっと特殊な基地であります。それぞれの飛行隊は任務も異なり、第301飛行隊は防空および対領空侵犯措置のためのアラート任務、加えてF−4型機操縦者の機種転換操縦課程教育を持っており、飛行教導隊は航空総隊隷下の各飛行隊に対する教導任務のため1年に100日以上新田原基地を離れ全国の航空総隊隷下の戦闘機部隊に出かけ、飛行教育航空隊はF−15操縦学生の課程教育を実施しており、また、新田原救難隊は捜索機と救助機をもって救難任務についており、同じ基地に所在する飛行隊であってもその任務の違いから日々の活動内容は相当異なっています。それ故、各々の飛行隊にはものの考え方や行動様式等々に明らかに「違い」が存在します。しかしこの「違い」こそが任務達成に向かう努力の結果として各部隊に蓄積された一つの財産であり精強性の証なのであります。このように同じ軍種の同じ基地内の部隊においてでさえ違いがあるのですから、それが他軍種それも複数の軍種との関係と言うことであればなおさらのことです。
 統合運用が開始され4年目に入っておりますが任務達成の基本は部隊の精強性であります。統合運用の実をあげる最も重要なことは精強な部隊の証であるこの「違い」をなくす努力ではなく理解する努力ではないでしょうか。
 新田原基地の所在する宮崎県には同一県内に陸海空3自衛隊が存在し、日頃の活動を通じて相互理解を図り易い環境にあります。「違い」の尊重と相互理解に向けて努力していきたいと思います。

21年8月31日号掲載

海上自衛隊第5航空群司令絡官
   海将補 
小松 龍也

 本年1月30日付、第5航空群司令に着任した小松です。
 統合運用が開始され4年目に入り、統合幕僚監部を中核として着実に成果を上げつつあります。この間、統合運用に携わることができた陸上、航空自衛官の中には、海上自衛隊の日々の実任務遂行に驚いた人が少なくないと思います。また、海上自衛官にあっても、他自衛隊に関して全く知らなかったことに気付かされたと言えます。
 各自衛隊はこれまで能力を発揮する環境や、使用する装備機器等の能力の違いから、陸海空それぞれが独自に防衛力整備を積み上げることによって実力を高めてきたと言えます。その一方で統合の重要性は、誰しもが理解しつつも、旧軍のしがらみや文化の違い等から、陸海空独自の信念で歩んで行く陰に隠れていたようにも思えます。
したがって、時として自衛隊の能力を全能発揮してきたとは言いきれず、その意味においても統合への移行は、歴史の必然であると言えます。
 統合運用においては、各自衛隊が持つ伝統を理解しつつ、お互いに違いを理解することが第一歩であり、それを深化させる努力を継続できるかにかかっていると言っても過言ではありません。その上で各自衛隊が、与えられた任務に対する共通の認識のもと、能動的な部隊運用への参加について模索すること等により、任務達成について考えることにあると考えます。
 幸いなことに第5航空群が所在する那覇基地には、陸上自衛隊第1混成団及び航空自衛隊南西航空混成団が所在しており、相互に理解するためには最適の環境にあると言えます。
 先般も海上自衛隊が日々実任務を遂行していることを踏まえ、陸空自衛隊指揮官等に東シナ海の現状についてブリーフィングしたり、任務飛行に実際に搭乗し研修してもらったりしているように、積極的に相互理解を深める機会を作り、少しでも統合運用の深化に寄与できるよう努力していく所存です。

21年6月30日号掲載

南西航空混成団司令部陸上連絡官
   2等陸佐 
長野 伸二

 統合運用体制に移行して早や4年目、中越沖地震における災害派遣、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処のための活動等、統合を基本とした任務が増加しています。本年4月5日に発生した北朝鮮によるミサイル発射事案に際しては、初めて統合任務部隊が編成され、空自高射部隊が、陸自演習場等に展開し、海自イージス艦等が情報収集する中、幸いにも実射することなく任務を終えたのも記憶に新しいところです。私が現在、連絡官として勤務する空自南西航空混成団司令部が所在する那覇は、陸海空部隊が隣接し、以前から協同訓練、訓練支援、部隊相互研修及び協同イベント等、部隊間交流が盛んなところです。昨年12月イラク人道復興支援活動を終了した空自部隊の帰国及びこの5月にソマリア沖に派遣された海自P−3C部隊の出国に際し、那覇基地エプロンには陸海空の各部隊が整列し、心温まる出迎え、見送りを実施しました。
 一方、例えば各自衛隊が持つ情報を現地部隊が軽易に共有するのは難しく、統合化以前の縦割りの組織・規則の障壁により各部隊とも苦労しているように感じます。警備区域が長大で離島が多い南西地域では、広範囲の情報を平素から共有しての作戦準備が必要であり、引き続き粘り強く情報共有(情報の統合化) の努力が必要だと思います。
日々緊張感をもって防空任務を遂行する空自の中に身を置き、陸海空各部隊の動きを間近に見ることで、私なりに見識は深まったと思います。これを今後の幕僚活動に生かしつつ、これからも「統合でなければ任務達成できない」との意識を保持し、統合体制の縮図である那覇に所在することを喜びに勤務していきたいと思います。

21年4月30日号掲載

西部航空方面隊司令部陸上連絡官
   1等陸佐 
出口 憲七
 

私は、統幕や二度の防大教官を経験しましたので、防大の学生時代を含めると自衛官人生の約3分の1を統合に関わる勤務をしてきたと言えます。故に統合が自衛隊運用の基本になったことに感無量であり、嬉しく思います。
前職三十普連隊長の時ですが、中越沖地震災派では、柏崎北部地域の現地指揮官を命ぜられ、海上自衛隊の輸送艦等及び航空自衛隊の給水部隊との連携による避難住民への給水・給食・入浴支援等を担当しました。各自衛隊の派遣部隊は、迅速に現場に到着し、統制のとれた組織的な救援活動を実施し地域の人々から賞賛されたことを覚えております。その際、3等空尉の給水隊長から水タンク車の運用について適切な意見具申を頂きましたが、統合は、花開き、少しずつ着実に実が熟して来たなあと感じたものです。
とは言うものの着任後約四ヶ月余りの間、またしても空自との文化の違いや英語の略語に悩まされております。ところが、今年三月陸自中級幹部の西空研修に引率者として参加し、空自の文化の所以を理解する機会を得ました。研修において、司令官の訓話を初め、防空司令所、戦闘機部隊、SAMや後方部隊及び西空統一防空訓練の見学等を通じ、西空の最前線の実態、即ち戦闘機は常在戦場であり、指揮官や操縦士の一瞬の判断遅れやミスが致命的なものになるということ及びその一瞬のために整備員を含め西空の全隊員が努力を集中していることを学ぶことができました。統幕ではできなかった空自の文化の背景を本研修により理解できたように思います。
この国を守るため統合でなければ自衛隊は任務を達成できないことは疑問の余地のないことでもありますし、統合のキーワード「相互理解」のためにも、若手幹部には、海空自の研修を前向きに考えてもらいたいと思います。

21年3月31日号掲載

佐世保地方総監部陸上連絡官
   1等陸佐 
野中 稔

 平成十九年十二月以来、海上自衛隊佐世保地方総監部に陸上連絡官として勤務しています。統合運用には、相手を理解することが重要と言われますが、海上自衛隊で勤務して感じたことを述べ、海上自衛隊を理解する参考にしていただきたいと思います。
 まず、あたり前のことですが、海上自衛隊は「艦艇」が中心であること及び「船乗り」としての伝統を大事にしているということを改めて認識しました。たとえば、人事異動に際しては、発令日に即日異動するのが原則であり、「艦艇」の行動に空白時間をつくらないようにしています。また、陸上自衛隊では幹部に対しても号令をかけますが、海上自衛隊では、「船乗り」の伝統として幹部に対して号令をかけません。
 一方、「艦艇」は衣食住機能を含めた自己完結機能を有しています。このため、海外任務にも、陸上自衛隊と比較して容易に派遣できます。現在インド洋での補給支援活動に艦艇二隻が派遣されています。更にソマリア沖の海賊対策に二隻の艦艇が派遣されます。その二つの任務の派遣期間がそれぞれ半年とすれば、一年間に八隻の艦艇の派遣が必要となり、約四十隻の艦艇の中から、この数の艦艇の派遣することは大変なことと思います。ちなみに一隻の乗組員が約二百人ですから、一年間に約千六百人の隊員が海外任務に従事することとなります。
 最後に、海上自衛隊でも陸上自衛隊のことを知る人は少ないということです。このため、海上自衛隊の隊員に対して、陸上自衛隊の演習等を研修の機会を設けたり、機会を捉え陸上自衛隊に関する話しをする等、陸上自衛隊のことを理解してもらえるよう、心がけています。

21年2月28日号掲載

航空自衛隊南西航空警戒管制隊司令
   1等空佐 
岩下 寛

 先の大戦から既に六十三年余を経た今年ですが、二月の穏やかな日、沖縄では道路工事の現場で米軍投下の不発弾(二百五十kg爆弾)が爆発し、工事関係者二名が負傷するとともに近傍の老人福祉施設に大きな被害が発生しました。沖縄戦で使用された弾薬は日米双方で二十万トンとも言われ、うち一万トンが不発弾となり、少なくとも約二千五百トンは未処理のまま地中で眠り続けていると推定されているようです。
 自衛隊が沖縄に展開して以来既に三十五年余が経過し、住民の自衛隊に対する理解と信頼は大きく前進したと評価されております。これは、偏に陸海空自衛隊の、我々の諸先輩が営々と築き上げて来た成果であることは言うまでもありません。就中、陸上自衛隊による不発弾処理や急患空輸、災害派遣、民生協力などの努力の積み重ねが大きな役割を果たして来たことは誰もが認めるところであります。
 この度、貴重な機会を頂戴致しましたので、陸上自衛隊の地域住民に密着した活動に並行して航空自衛隊がどのような活動をやっているのか、私の部隊を通じてご紹介申し上げたいと存じます。
 南西航空混成団隷下の南西航空警戒管制隊が私の部隊でありますが、一年三百六十五日、一日二十四時間、対領空侵犯措置任務のため、常続不断の警戒監視と航空機に対する誘導管制等を行っております。領空に接近しようとする彼我不明機を発見したならば、緊急発進指令によって要撃機を発進させ、対領空侵犯措置のための一連の対処を行います。要すれば要撃機操縦者と連携して、彼我不明機の識別、写真撮影、空地からの無線などによる通告や警告、最終的には警告射撃や強制着陸などの対処を行います。また、有事には高射部隊及び陸自の高射特科部隊の統制も行うことになっており、平時から航跡情報を共有しております。一昨年、わが部隊の緊急発進指令回数は二千回に達し、統合幕僚長から部隊表彰状も授与されたところであります。二千回の中には、昭和六十二年十二月、ソ連のヴィエトナム復路便のTuー16バジャーが沖縄上空を縦断するように領空侵犯し、空自が対領空侵犯措置任務に就いて以来初めてとなる警告射撃を実施した事案も含まれております。
 空自の警戒管制システムは、間もなく現在のBADGEからより能力が向上したJADGEへ移行しようとしております。JADGEには陸海空の各指揮統制システムなどが連接され、米軍関係の情報も表示できるようになり、正に統合運用の大きな原動力となることでしょう。現在、米軍嘉手納基地には三ヶ月間の予定で世界最強と言われるFー22戦闘機ラプターが展開しておりますが、那覇基地にも、これまでのFー4EJに替わる、我が国主力戦闘機であるFー15Jが配備され、来るべき対領空侵犯措置の実任務付与に備え訓練を行っております。近年、周辺国による空海での活動が一段と活発になった南西域の防衛に大きな力を発揮してくれるものと期待されております。
 この度は、貴重な紙面を頂戴致しまして誠にありがとうございました。私共、南西航空混成団隷下部隊が、主として空における南西域防衛に寄与するため、新しい装備の早期戦力化に取り組むとともに、統合運用や日米共同の実をより大ならしめるため、実任務と訓練に日夜粛々と取り組んでいる状況の一端をご理解いただけたならば光栄であります。


20年11月30日号掲載

航空自衛隊南西航空混成団司令
   空 将 
山川 龍夫

 実質十八年度から統合運用体制に移行してはや三年近くが経過した。その準備段階においては、総論は賛成だが各論は意見の食い違いもあったように思う。幸か不幸か移行後間もなくサマワからの撤収、北朝鮮のミサイル発射事案、災害派遣、サミット等々統合運用体制は息つく暇もなく対応に追われた。結果として統合運用体制は、それなりに順調に船出をしたように思う。しかし物事順調な時ほど気を付けなければいけないのは世の常である。三年目ということでそろそろリバウンドも来る時期かもしれない。省改革にも統合運用の強化が謳われているように、我々に後戻りは許されず前進していかねばならない。もちろんのことゴールは遠く、課題は山積している。
 では、西、南西域に位置する我々はどうしたらよいであろうか。我々現場にいる者も具体的に統合運用の実を上げていかねばならないのではなかろうか。この西、南西域はある意味で第一線ということもあり統合運用に対するマインドは高い。しかし統合マインドという精神的な安住の地にいつまでもいるわけにはいかない。我々は百事防衛行動を基本とする実務者である。結果を出さねばならない。幸いにも、西、南西域への戦略重心の移行、島嶼という地形的特徴あるいは諸先輩の熱意等もあり、当地域に所在する我々陸海空自衛隊は各種研究、検討を重ねてきた。結果を出すための芽はすでにいくつかあると思う。これからはその芽を育て花を咲かせて行く過程に入らなければいけない。このような現場、地方の活動成果がより統合運用を前進させ発展させることにつながり、そしてこの地域の防衛に寄与することになる。読者の皆さん、具体的成果を出すべく頑張ろうではありませんか。

20年9月30日号掲載

 航空自衛隊西部航空方面隊司令官
   空 将 
小野田 治

 統合運用が開始されて早三年が経過しつつある。この間、三自衛隊は統合幕僚監部を中核として、軍種の特性や組織文化の違いを乗り越え、着実に成果を積み重ねてきた。とはいえ、未だ緒に就いた段階であり、有事に機能し得る真の統合運用を可能ならしめるには、多くの解決すべき課題が横たわっている。
 さらなる前進を遂げるためのキーワードの一つは、「中央から地方へ」であろう。西部地区にあっては既に平成一四年から、指揮官会議という枠組で統合運用に関する研究を進めてきたが、今後さらに具体的なテーマを設定して研究を深化させていく必要がある。
 「相互理解の促進」と「情報の共有」というキーワードも引き続き重要だ。異なる軍種の作戦運用の基本や編成装備に関する知見がないと情報共有の意義がない。そして情報の共有の目的は「協働」の実をあげることにある。「協同」でなく「協働」としたのは、より現場に近いところで、より具体的に各々の軍種の特性を生かしてお互いに補完或いは重複して最大の効果を得ることを表現したいからである。さらに「協働」の進化によって、中央からの統制によらない現場レベルでの「同調」が生まれると思う。
 現状は、相互理解を深めつつ情報の共有を図ろうという段階であるが、その先にある「協働」や「同調」をイメージしながら研究を重ねていくことで何か画期的な変革が生まれるのではないかと期待している。それが何なのか、どういうことになるのか、実に楽しみであり心躍る気がしている。

20年8月31日号掲載

陸上自衛隊西部方面総監部
     航空連絡官
2等空佐
倉田 宏隆

 今年三月に総監部航空連絡官に着任しました倉田です。入隊以来三十年間、航空機の爆音と共に勤務してきましたので、陸自駐屯地の静かさに若干の戸惑いを感じながら勤務しております。
 さて、統合運用のためには、陸海空自が相互に理解し合うことが重要であることは論を俟たないでしょう。相互に理解し合うためには、先ずコミュニケーションが大切だと考えます。上手にコミュニケーションを図っていかなければ、相互を理解するどころか軋轢を生ずることもあり得ます。ここ健軍駐屯地で勤務をはじめて間もない頃、ある用語の理解が、私と陸自の方とで異なることがありました。些細な事であり、何の問題も生じませんでしたが、以降、用語の使用で誤解を生ずることの無いよう気をつけています。このように、使用する用語にも陸海空異なる場合があり、これが良好なコミュニケーションを阻害することも考えられます。
 航空自衛隊が空において戦う際、航空機同士又は地上との交信に用いる用語は、通常の英会話とは異なる符号のようなものを使用することがあります。短切な用語で至短時間に意思疎通を遂げるためにこうした手段を用いてコミュニケーションを図り、有効な戦力発揮や平時における事故防止に努めているのです。
 今後益々深化していくであろう統合運用体制下にあって、総監部航空連絡官の私は、陸空のコミュニケーションを円滑に図るための手段としても機能しなければならないとの認識から、相互の理解が更に深まるよう、微力ながら貢献したいと考えております。

20年7月31日号掲載

 陸上自衛隊西部方面総監部
     海上連絡官
2等海佐
白石 有司

 陸上自衛隊西部方面総監部の海上連絡官として勤務しています二等海佐白石有司です。
 統合運用が開始されて、間もないこの時期に、海上連絡官という配置で勤務できることを、光栄であると思うとともに、その重責に身の引き締まる思いであります。
 思えば、昨年八月に健軍の西部方面総監部へ着任して、まず感じたことは、陸海空の文化があまりにも違うということです。いろいろな慣習や礼式、そして業務上頻繁に使う言葉(特に専門用語や略語といったものは私にとって理解し難く)等は、海上自衛隊とはかなり異なるものであり、まるで異国の地に赴任したような思いでした。約三十年間、狭い海上自衛隊の中での勤務しか経験のない私にとって、ある意味、大きなカルチャーショックでもありました。同じ自衛隊でありながら、こうも違うものかと改めて感じさせられたものです。
 当然のことながら、陸・海・空自衛隊は、それぞれの任務や持っているビークルの特性上、部隊の運用や業務の進め方、考え方等が大きく異なっています。相互に理解し、尊重し、信頼し合い、三自衛隊がそれぞれの持ち味を活かしてこそ、より迅速で効果的な統合運用ができるものと考えます。幸いにも、統合運用がはじまって以来、人的交流や相互の研修等、お互いをよく理解し、情報を共有しようと色々なレベルで活発な活動が、行われているように思います。そして、その成果は、徐々にですが上がってきているものと考えます。
 統合運用を開始して二年が過ぎました。そろそろ、陸海空自衛隊が、より有機的に結びつき、統合運用の実効性向上を図るための次のステップにきていると思います。各種協同訓練や統合研究等を更に深化させ、より緊密な連携の確保を追求すべき段階であると思います。 今後とも、海上連絡官として、陸海空の相互理解の架け橋として、また、円滑な統合運用に少しでも貢献できるように、日々精進したいと考えます。

20年6月30日号掲載

航空自衛隊第13警戒群司令
兼高畑山分屯基地司令
2等空佐
加藤 伸一郎

 十八年三月末、防衛省・自衛隊は統合運用体制に移行し統合幕僚長が、自衛隊の運用に関する軍事専門的観点からの防衛大臣の補佐を一元的に行うこととなった。これにより、防衛大臣は出現する事態を正確に把握し、適切な判断をし、自衛隊に対して事態対処に有効な命令を発する体制になったし、新たな脅威や多様な事態に対し、陸・海・空自衛隊が一体化して迅速かつ効果的に対応することが可能になったとされる。
 統合幕僚監部には、防衛大臣に適切な補佐となるよう、陸海空自衛隊の中で使われる用語の概念を正しく理解した上で、陸海空それぞれの報告を正確に把握し、的確な判断材料の提供が望まれる。
 この点で、統合幕僚監部では現在、陸海空各自衛隊の部隊からの情報を正確に把握することに障害はないだろうか。私の杞憂であれば良いが、統合訓練資料統合用語集があるもののこれでは十分とは言えず、陸海空のそれぞれの文化の違い(特性、伝統に応じた用語の概念)を正しく理解することが必要と思われる。
 また、統合運用による陸海空各部隊の能力発揮が期待される場面を注視すれば明らかだが、文化の違いを乗り越えることは統合幕僚監部だけに期待されるものではない。
陸海空各部隊のそれぞれの戦力が定時、定点で適切に連携するためにも、各部隊の末端でお互いの意志疎通がなければならない。今後、統合運用のための練成訓練を通じて、正確な用語の認識を共有することにより、統合運用に適した能力発揮の態勢を構築していく必要があるのではないか。特に、陸海空の各部隊の動きなどの情報交換、そのための通信に注意が必要であろう。
 統合運用による各種事態の対処態勢を早期に確立するために、陸海空の連携した練成訓練を積み重ね、更に、部隊の訓練状況が逐次報告され、統合幕僚監部まで共通の認識になるよう用語などの概念の統一を図っていきたいものである。
 ある種の事態が発生し、統合運用の機能が国民にさらされる時、統合運用体制が確実に機能しなかったならば、統合運用体制への移行の目的が何だったのかマスコミから批判を受けることは間違いない。そんなことにならないよう対処態勢の早期確立を願うものである。

20年5月31日号掲載

海上自衛隊佐世保警備隊司令
     1等海佐
江見 雅博

 海上自衛隊佐世保警備隊司令の一等海佐 江見雅博です。
 統合運用開始から二年が経過し、防衛省移行からも一年が経過しました。このような時期に「統合に寄せて」ということで発表の機会を与えて頂き、有難うございました。
当隊は、本部、陸警隊、港務隊、水中処分隊(処分母船五号)、第三ミサイル艇隊、奄美基地分遣隊で構成されています。
陸警隊は陸上警備、弾庫の警備を、港務隊は曳船、油船、水船による艦艇に対する支援を、水中処分隊は海底等で発見された爆発物等の処分を、ミサイル艇隊は対艦ミサイルによる艦艇攻撃や高速を活かした工作船等への対応を、奄美基地分遣隊は奄美における艦艇の入港支援などを、それぞれ任務としています。
その中にあって、陸警隊は、陸上警備や最新のゲリコマ対応などを西部方面普通科連隊から指導を得ております。また処分隊は潜水に関して西部方面普通科連隊の潜水員の技量の向上のための訓練指導を行うとともに、処分母船五号は陸上自衛隊の兵員の輸送に当たっています。このように当隊は、海上自衛隊佐世保地方隊の中でも統合の実を上げている部隊だと自負しています。
 統合運用といっても簡単に出来ることではないと思います。お互いの文化が違いすぎるからです。第一言葉が違います。特に海上は特異です。しかしながら、お互いの文化を尊重しつつ文化の違いを認め合い、理解することが重要だと思います。また、統合はこし餡を作ることではなく、粒餡をつくることでそれぞれの粒がそれぞれの任務を全うし、実を上げていくことだと先輩に教わりました。
 今後も海に生きるものとしての文化を根本(伝統墨守)において統合運用の一端を担っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

20年4月30日号掲載

 航空自衛隊第43警戒群司令(背振山)
     1等空佐
石崎 吉和

  第四十三警戒群は、福岡県と佐賀県にまたがる背振山系の標高一〇五五mに位置する航空自衛隊レーダーサイトの部隊です。三六五日二十四時間、瞬時の隙をも作らず日本の空を監視管制する等の任務をもっています。分屯基地の正門には、「鎮西之眼」と刻まれた石碑があり、常に西方の空を守るという気概を持って勤務しています。
 陸海空の自衛隊を問わず空域にあるすべての航空機に対してレーダー助言を実施してきたこと自体、そもそも統合運用してきたと言えるかもしれませんが、それ以外にも、陸上自衛隊による通信中継のための部隊展開への支援や、特に昨年は、陸上自衛隊との共同基地警備訓練を実施しました。とりあえずは、分屯基地の警備計画や装備を含めた基地自体の姿をよく知ってもらうところから始めました。また、私達も陸上自衛隊の警備要領や装備などよく知ることも必要でした。空自と陸自の考え方や警備要領、あるいは「用語(言葉)」について、はじめはお互いに「何で?」、「解らん!」という状況でしたが、それが少しずつ「なるほど」に変わり、やがて「やってみよう!」という意識になりました。
 このような、小さな相互理解の積み重ねを着実に継続し、それを実行力までに引き上げていくことが、正に統合運用にあたっては何よりも大切です。これら訓練を通じて、頭だけではなく実感として体得できたことが何よりの成果であり、今後より充実させていきたいと考えています。

20年3月31日号掲載

西部方面総監部募集課航空連絡幹部
     2等空佐
原口 俊郎

 昨年八月、西方総監部募集課航空連絡幹部に着任しました。募集業務を通じて、統合運用について私なりの考えを述べたいと思います。
航空連絡幹部は、陸上自衛隊の行う募集業務に対し、特に航空操縦要員及び二等空士等航空自衛官の募集について援助を行うことを目的として、自衛隊の揺籃期から方面総監部に定員化され派遣されているものです。同様に海上連絡幹部も派遣されています。
自衛隊の募集組織は、地方協力本部を主体として陸海空自衛官が八対一対一で構成されており、統合運用五十周年を超えました。従って、統合の先駆者とも言えます。募集の世界では、募集ノルマを達成するため、広報官は陸海空の色に関係なく募集しなければならず、自ずと陸海空三自衛隊のことを知ることになり、また知らないと募集できません。
自衛隊が統合運用体制に移行してから二年が経過しようとしておりますが、統合意識が一段と高まりその体制は着実に進展してきていると感じております。今後更に進化させていくうえで、一番重要なことは本欄でも度々強調されている陸海空自衛隊の「相互理解」であり、募集と同じだと感じております。それぞれの伝統と文化を尊重しその違いの理解に努めることが必要であり、そのためには三自衛隊が一堂に会する場を多く設けることや幾多の統合訓練を積み重ねていくことが重要であると考えます。
 航空自衛官ながら陸上自衛隊の組織の中で勤務している私は、これらのことを念頭に微力ながら募集業務に専念していく所存であります。

20年2月29日号掲載

航空自衛隊第2高射群司令
   1等空佐
森田 公治

 昨年八月に第二高射群司令に着任しました森田です。第二高射群は、地対空誘導弾「ペトリオット」を装備する西部航空方面隊唯一のミサイル部隊です。群本部、指揮所運用隊を春日に、各高射隊を芦屋、築城、高良台に配置しています。PACー3ミサイル及び同システムへの換装は平成二十一年度から予定されており、第二高射群としては現在、その受け入れ準備を急いでいるところです。
 さて、陸海空各自衛隊が統合運用を基本とする体制に移行しほぼ二年が過ぎようとしています。この間、各自衛隊は統合幕僚監部を中心に、テロ特措法に基づく活動やイラク人道復興支援活動等を整斉と行うとともに、北朝鮮のミサイル発射実験や中越沖地震等に的確に対応し、統合運用の実を挙げているところです。これまでの間、自衛隊の新体制は、期待通りの役割、機能を果たしているのではないのかと考えています。これは、新体制開始までの陸海空各自衛隊間の十分な議論・検討・準備に加え、本改革の必要性を感じこれを断行した各自衛隊指導者(層)の強い意志と強調、実行力の賜物ではなかったのかと考えています。
 確かに各自衛隊には、組織や制度、特質(行動の領域、時間単位…)の異なりといった統合運用を難しくする要素が存在します。しかしながら各自衛隊とも、精強・即応・結果主義、信頼・団結・不撓不屈…といった多数の価値観を共有しています。統合運用を成功に導く要件は、「行動する組織」である各自衛隊の中に、十分に整っていると考えています。
 そして、統合運用を今後更に有効に機能させるためには、互いの組織・特性をよく理解すること、情勢の認識を共有すること、行動のイメージ(行動目的、目標、役割分担等)を共有すること、同じ言語を使用すること(少なくとも使用言語の意味あいを互いに理解しあうこと)等が肝要と考えています。もちろん、それぞれの組織が精強であり自立していること、それぞれの組織の間に共通の意思伝達手段が担保されていることは前提と考えています。
 統合運用を基本とする体制において、陸海空各自衛隊の関係は、「自衛隊」という主語の下、「上下、優劣」ではなく、「男女、陰陽」、助け合う、補完し合う関係であるべきだと考えています。

19年11月30日号掲載

航空自衛隊第8航空団司令兼築城基地司令
   空将補
森本 哲生

 本年三月末、第八航空団司令兼ねて築城基地司令に着任した森本です。当団は、福岡県築上町に所在し、第五航空団、西部航空警戒管制団及び第二高射群等と同じく西部航空方面隊の隷下部隊として、対領空侵犯措置等、西日本の防空の任にあたっています。
 当団の特徴としては、F−15要撃戦闘機とF−2戦術戦闘機という機種と任務が異なる二つの戦闘飛行隊を有しており、特に、F−2を擁する第六飛行隊は、陸自及び海自部隊との密接な調整や連携を必要とする近接航空支援や航空阻止作戦等を主任務としています。また、築城基地にはペトリオットミサイルを有する第二高射群第七高射隊も所在しており、数年先にミサイル防衛の一翼を担うことを考慮した場合、統合運用のユニットたる材料が極めて豊富なので、是非一度、来基され、実情を見て頂きたいと思います。
 自衛隊の統合運用にかかる体制は昨年春に着手したばかりであり、統合先進国である米国でさえ、試行錯誤の連続であったことや、我が国の防衛政策や過去の経緯を踏まえれば、今後も幾多の試練が待ち構えていると思いますが、統合の実を上げていこうとする気運は陸海空共に着実に高まっていると思います。当基地においても、陸自第四十普通科連隊(小倉)と基地を共同で警備する要領について検討しているところです。以前、基地警備の対抗部隊として、陸自部隊の支援を得ていたのとは、隔世の感があります。
 齋藤統幕長は、「真に実効性ある統合運用とは、各自衛隊の良き伝統と文化を尊重しつつ、相互理解と一体感の下にその特性と能力を結集することによってのみ達成される」と述べておられますが、私も、先ずはあらゆる機会を通じて、お互いを知り合うことから始めて、各自衛隊間の相互理解と一体感を醸成しつつ、国民の信頼と負託に応えるべく尽力していきたいと思っています。

19年10月31日号掲載

海上自衛隊対馬警備隊司令
   1等海佐
広井 豊明

 対馬防備隊司令の広井でございます。昨年八月対馬に着任し、早一年が経過しました。 対馬は、西暦六六四年に防人が配置されてから常に国防の最前線でありました。二度の元寇のみならず刀伊(女真族)や新羅、高麗軍など数多くの侵攻、露軍艦による占拠を受けた歴史があります。また、明治から昭和にかけて多数の砲台が建設され、島全体が要塞化されました。このような歴史や朝鮮半島に近接した日本最北西端の地であることが国境の島と呼ばれる所以です。それゆえ地域住民の国防に関する理解の深さは格別なものがあります。
 中央では、統合運用のため統合幕僚監部などの組織改革が行われ、陸海空自衛隊の統合訓練が強化されるなど、大きな枠組みで統合運用が着実に進んでいます。一方対馬では、国境の島に陸自対馬警備隊、海自対馬防備隊、空自第一九警戒隊が駐屯し、陸自を核として現場レベルの統合が最も進んでいる地域の一つです。自衛隊の任務を効果的かつ迅速に遂行するには各自衛隊を有機的に運用することが必要で、このため人的交流による相互理解、協同訓練の実施、情報通信分野の整合が重要なのは言うまでもありません。
 対馬では、開隊記念日や観桜会など陸海空自衛隊行事への相互参加、三自衛隊指揮官会同をはじめ先任伍長レベルの交流、さらに協同基地警備訓練、協同沿岸監視訓練、情報伝達訓練などを頻繁に行い、密度の濃い統合への基盤づくりを進めています。このような地方レベルでの統合努力が自衛隊全体の統合運用を発展させる素地となるのではないでしょうか。

19年9月30日号掲載

海上自衛隊第22航空群司令
   海将補
山本 敏弘

 本年三月二十八日に海上自衛隊第二十二航空群司令に着任した山本です。私の職歴は少し変わっており、これまでに海幕三回(人事課、防衛課、防衛調整官)、統幕三回(3室日米共同計画検討担当、5室研究班長、5室統合運用計画室長)の経験があります。特に、統合運用計画室長としての二年間は、統合幕僚監部の新編をはじめとする自衛隊の新たな運用体制を開始するため、それまでの二回の統幕勤務を踏まえ、まさに中心的な役割を担って取り組んで参りました。
 その結果、私なりに痛感した統合運用の要訣は、「陸海空の相互理解」に尽きると考えております。実際に活動している軍隊においては、統合はまさに潮流であり、歴史の必然です。ペルシャ湾への掃海艇の派遣以降、それまで国内の災害派遣が主な活動であった自衛隊の活動が国内外多方面に及ぶとともに、実績も増加傾向にあります。BMD、離島侵攻対処、大規模災害派遣、国際緊急援助活動等、いずれの活動も三自衛隊が同じ目的を持ち、情報共有と情勢判断の元、それぞれのコンポーネントの役割を十分に認識して調和のとれた行動をしなければ任務は達成できません。
 幸いなことに、第二十二航空群が所在する長崎県大村市には、陸上自衛隊の大村・竹松両駐屯地があり、陸上自衛隊の部隊への理解を深めるには最適の環境にあります。市民からも、まとめて「大村三部隊」と呼ばれており、今後とも、陸の両司令と親交を深め、相互理解を進めていく所存です。

19年8月31日号掲載

航空自衛隊西部航空警戒管制団司令
   空将補
岩成 真一

 自衛隊の運用が統合運用を基本とすることとなり、はや1年余りが過ぎた。2001年、統幕が統合運用に関する集中的な検討を行っている頃に、9・11米国同時多発テロが起こり、統合運用への動きが加速された。その頃私も統幕勤務であり、前林総監を初めとする多くの先輩から御指導をいただいた。自分のカラー(陸・海・空)よりも統幕・統合を優先する気概を持っていらっしゃったと思う。統合運用という今日の姿があるのも、当時統幕で頑張っていただいた皆さんによるところが大きいと感じている。
 陸・海・空自衛隊は、当然のことながら考え方、やり方などが大きく異なる。相互に理解尊重し、信頼し合い、三自衛隊がそれぞれの持ち味を活かしてこそ、より迅速で効果的な統合運用ができる。
 最近、他自衛隊への部隊見学その他が活発に行われるようになってきた。他自衛隊の特性を互いに理解することが統合運用の第一歩である。航空自衛隊、特に西部航空警戒管制団を理解してもらうことが大切だと考えている。西警団の隷下部隊は、春日、背振山、美保、高尾山、見島、海栗島、福江島、下甑島、高畑山、土佐清水に所在する。百聞は一見に如かず。是非とも陸海自衛官の皆様に見学いただきたいものである。

19年7月31日号掲載

航空自衛隊西部航空方面隊
陸上連絡官 2等陸佐
谷 俊彦

 自衛隊が行動する機会は今後ますます増大し、行動する際に、より大きな能力の発揮のために陸海空自衛隊が協力して行動する場面が増えることが予想されます。統合運用については、西空司令官・西方総監ともに、「統合運用体制への移行の2年目として、仲良くを超えて協力へ、統合運用の実効性の向上へ」を要望されています。西空司令官から、陸連官は「陸自には○○の能力があるから活用してくれ、欠けているから補完してくれ」の架け橋になれと指示をいただきました。勤務約4ヶ月、西空・西方が、良好な関係を築いていることや、西空司令部・西方総監部が、統合運用の実効性の向上や行政的分野等での相互支援を目指し訓練への参加調整や研修の案内等を積極的に実施していることを肌で感じています。陸連官としてその流れに寄与できるよう積極的に勤務したいと考えております。空自と陸自は勤務に臨む姿勢や暖かい雰囲気は同様である一方、指揮・幕僚活動は、空自が空域に責任を持つ指揮官の現状把握に基づく戦闘指導が直ちに実行される指揮・幕僚活動に優れており、陸自が重たい部隊を運用するための先行的な指揮・幕僚活動に優れているなど、それぞれ特性があると思います。能力・特性等の相互理解の促進、協力する場面の拡大、隊務の参考の収集などの効果が期待できる協同訓練や研修、支援が引き続き積極的に推進され、協力関係が強化され、自衛隊の能力が向上することを願ってやみません。協力関係の強化のために、陸連官として努力いたしますので、よろしくお願い申し上げます。

19年6月30日号掲載

陸上自衛隊西部方面総監部
政策補佐官 事務官
多田 拓一郎

「政策補佐官って何やるの?」と、昨年九月末におっとり刀で着任して以来色々な方に何度も聞かれましたが、未だにうまく答えられません(涙)。
事務官として方面総監に政策的見地から助言を行う要職として新設されましたが、その重責を果たせているのか、日々自問自答しています…
今を去ること八年前、自分は防衛庁運用局運用課で勤務しておりました。
在インドネシア邦人の退避に備えた自衛隊機派遣に始まり、北朝鮮の弾道ミサイル発射、ホンジュラスやトルコへの国際緊急援助隊派遣、能登半島沖での不審船対処、東海村ウラン加工施設での事故、東チモール避難民への人道援助物資輸送等、多事多端の毎日でした。
一方当時は、それまで統合幕僚会議が指揮命令、統合調整等について長官を補佐するのは「出動時」に限られていたのが、法律改正により、それ以外の場合にも長官を補佐できるようになる前後の過渡期でもありました。
このためか、内局運用課が各幕僚監部の架け橋となり、音頭をとることも多く、例えば、陸上自衛隊の装備等を航空自衛隊の輸送機にいつどこで積み込むか、貨物としての重量や荷姿はどうか、といった調整にまで関わることもありました、
いま振り返ると、個人としては、今の自分を形作った貴重な体験であり、疲労の中にも意気に感じていましたが、組織としては、今日の統合運用体制への産みの苦しみの時期であったと思います。
庁から省への移行とともに、国民の期待を受けて、我が国の安全保障を担う実力組織としての体制が整いつつある今、自衛官と事務官等が各々の役割を果たし、期待に恥じない成果を挙げられるよう、魁として、模索を続けていこうと思います。

19年5月30日号掲載

航空自衛隊西部航空方面隊
副司令官 空将補
長島 修照

 統合運用体制がスタートして一年余となります。昨年度は、まさに「統合元年」として、中央、地方の各レベルで情報の共有化をはじめいろいろな態勢整備が推進されました。
 私は昨年八月に着任しましたが、ここ西部地区は、陸、海、空の共同訓練や諸行事等を通じた交流が活発であり、統合運用に対する意識も高く、相互理解の気風が強いことに驚きました。まず、統合運用体制スタート以前から、三自衛隊の四指揮官(西方、佐監、西空、南混)はじめ幕僚の交流、部内外への広報、部隊レベルの各種共同訓練や統合運用研究の推進等々、何事にも三色の制服を揃え「統合」の視点から実効性を追求するという姿勢が顕著でした。そして十八年度は、防衛・警備に関わることはもちろん、災害派遣や救難事態、地方自治体との連携に関わることについても、従前にも増して統合運用に必要なノウハウ等を蓄積することができ、統合運用体制下での作戦運用能力を向上させました。 統合運用は時代の要請であり、後戻りは許されません。今後も自衛隊に対する国家、国民の期待は高まり、その負託に応えるため、自衛隊の任務は益々複雑多様化すると思われます。そして、その一方で統合運用の実効性が強く求められることとなるでしょう。
 統合運用の第二年度も、統合元年の情熱を後退させることなく、統合運用体制基盤の充実強化と統合運用の実効性の更なる向上を図っていかなければならないと思っています。

19年4月30日号掲載

海上自衛隊佐世保地方総監部
 幕僚長 海将補
方志 春亀

 本年四月一日付、佐世保地方総監部幕僚長に着任した方志です。
 昨年三月に統合運用体制に移行してから早くも一年が経過し、今後とも改善・進化させるべき多くの懸案が存在するものの、国際平和協力活動や北朝鮮ミサイル事案等に対応する中で徐々に統合運用の実効性を深めてきました。
 その間、幸運にも統合幕僚監部発足の時に統合幕僚監部総務部長として勤務する機会を得ましたが、暗中模索が続く中にあって、陸上自衛隊西部方面隊を中心に西部地区に所在する陸海空自衛隊が統合に向けて先行的かつ積極的に取り組む姿に触れ、大いに勇気付けられてきました。
 統合への移行は歴史の必然です。選択の余地はありません、ただ、我々が賢明であればより早く進み、そうでなければ進みは遅い。そして、賢明か否かを測る最も大きな要素は、各軍種がお互いを理解し受け入れることのできる心を持てるか否かであろうと考えます。 和を重んじる我が国の国民性は、他国にはない我が国に最適の新たな統合を生み出す可能性を感じさせますし、統合への脈動が部隊から湧き上がることに大いなる意味を感じます。
 その点、陸上自衛隊西部方面隊をはじめとする西部地区は、歴史の必然を感得し日本の心を持つ最も「賢明な」存在であることを自ら証明しているものと存じます。
 この度、佐世保地方総監部幕僚長を拝命したことを天与の好機と考え、諸先輩の見識に深く学びつつ、陸海空自衛隊の連携を密に西部地区の統合のますますの深化に微力を尽くす所存ですので宜しくお願い申し上げます。

19年3月31日号掲載

海上自衛隊第1航空群
 第1航空郡司令 海将補
大谷 祥治

ある日の海上自衛隊鹿屋基地での一コマです。
 「現地偵察訓練のため十二普連々隊長を乗せた第一航空群所属のPー3C哨戒機が離陸しようとした傍らで、八戦車大隊所属の七四式戦車を中核とする陸自基地警備中隊と海自鹿屋基地警備隊との協同警備訓練が佳境を迎えつつあった。また、時を同じくして都井岬沖では、空自新田原基地所属のUHー60J救難ヘリコプター、Uー125A捜索救難機と鹿屋基地所属のUHー60J救難機、Pー3C哨戒機がダミー人形を使った捜索・救助訓練を実施していた。」
 このように最近、当鹿屋基地では統合を見据えた陸海空協同による訓練が目に見えて増加しており、数年前とは隔世の感があります。
 もともと、統合は自衛隊発足後もその重要性は説かれていましたが、帝国陸海軍からのしがらみや、言葉や文化の隔たり、はたまた使用ビークルの速力の相違等々で、お互いの存在が気にかかりつつも、独自の信念のもとに歩んできた、というのが正直なところではなかったでしょうか。しかしながら、情勢の変化によって「統合は必然」となってきました。今こそ我々はこれまでの殻を打ち破り、時代の要請に的確に応えなければなりません。
 統合の本質は「陸海空の『違い』をしっかりと理解」し、それを礎として「陸海空それぞれが持つ能力を『最大限発揮する』こと」と考えます。したがって、これからの統合は「粒餡(つぶあん)」の「粒」を大事にしつつも、粒餡としてではなく「漉し餡(こしあん)」として機能することが重要であると思うのです。
 今後とも西部地区に所在する部隊のひとつとして、他部隊との緊密な連携のもと、任務の完遂に邁進する所存です。

19年2月28日号掲載

西部航空方面隊
 第5航空団司令 空将補
吉田 浩介


第五航空団司令の吉田です。統合運用が開始され、早くも一年が経過しようとしています。昨年秋には航空総隊総合訓練において、陸自第四十三普通科連隊と共同基地警備訓練を行いました。従前は空自の基地警備訓練に対抗部隊として陸自の支援を受けるのが共同訓練でしたが、今次は基地を共同で警備する場合の要領等を検証することを目的とし、多大な成果を得ることが出来ました。私は空幕勤務時代に統合に関する検討に参画しました。当時の検討状況を踏まえれば、正直なところ統合が円滑に進展するのか疑問でしたが、部隊に赴任してみて運用に限定しているとはいえ、統合は着実に進展しているし、また将来的にはその他の分野にまで統合が進展する可能性さえも感じています。統合元年にここまで進展している理由について、私は指揮官に大きく起因していると考えます。この九州地区だけをとってみても、林陸将、香田海将、岩ア空将の三名の指揮官は毎月最低一回の頻度で、会合や懇談の場を通じて情報と問題認識の共有を図り、また統合を進展させるという強い信念に基づき隷下部隊を指揮・指導されています。もう一つの理由は、いずれの部隊も活動の成果を第一優先に追求していることだと思います。
過去のやり方にとらわれず、国民の視点に立ち、最も効果的で、かつ効率的なやり方を模索しようとする機運があります。第一線を任されている我々は、上級指揮官の指導の下、近隣の他自衛隊及び政府機関と連携しつつ、あらゆる事態に万全の準備と対処を行い、もって国民の負託に応えていこうではありませんか。

11月30日号掲載

南西航空混成団司令部
 陸上連絡官 2等陸佐
山本 勝也

 ハイサイ!!私は四月から南西航空混成団司令部で陸上連絡官として勤務し、瞬く間に八ヶ月が経過しました。
 南混団には今年初めて西方から陸連官が配置され、当初は基地の隊員から「陸自が何しに来たの?」という目で見られている感じがしたので、「私は西方総監部から派遣された連絡官で、こういう仕事をしてますよ!陸自のことだったら何でも聞いて下さい。」と広報して回りました。また、肩書きだけでは表面的な仕事しかできないので、昔からやっていたテニス(司令官も同趣味)で仲間にはいり、たまのゴルフコンペに付き合い、好きな宴会はことごとく参加して、自分をさらけ出して良く知ってもらう様にしました。お陰で司令官以下、司令部勤務者と仲良く、楽しくお付き合いさせてもらっています。
 肝心の業務ですが、私の役割は方面総監(総監部)と南混団司令官(司令部)の双方がある事業に対する指揮官の意図、すなわち何のために、何を考え、何をしょうとしているのか、又、その経過・結果はどうなったのか等について正確に伝えることと認識していますが、十分にそれに答えていないのが現状です。
 過去、自分が部隊でやってきた訓練・演習の中で「あの時、統合訓練が出来ていたら、もっと身のある実際的訓練が出来たのに」と思ったことや、業計担当をやってた頃、他幕との調整は顔も見たこともない担当者と電話だけのやりとりでは難しかった事を覚えています。顔をつきあわせて調整が出来れば、連絡官がいれば・・・と思ったことです。それを念頭に、調整事項は誠意を持って懇親丁寧かつ、正確迅速にやることに心掛けています。また、少しづつではありますが南混団での各種演習・訓練の場で関係する陸自部隊の訓練の紹介と か、部隊符号を普及すること等をやるようにしています。
 五十年もの間、陸・海・空それぞれのやり方でやって来たことが簡単には体質改善できないのがあたりまえですが、これからも小さいことから一歩一歩積み重ねることによって統合の実を結ぶものと信じております。
 最後に、防衛最前線の南西域で仕事をさせて頂いていることに感謝します。

10月31日号掲載

航空自衛隊西部航空方面隊
 陸上連絡官 1等陸佐
牧野 兼雄

 春日基地において二回目の諸行事を迎えた。八月一日が着任日で、はじめは、どういう風に勤務するのか無意識のうちに時だけが過ぎたように感じた。
統合運用で各幕、各部隊で今、最も大切な事はなにか? それは、人は命令を受ければ自己の職務を完遂し、戦って戦術的判断をすることが出来る。 また逆に統合運用と言って、それに走るだけでは意味がない、とはある指揮官の言の一部であった。
陸上連絡官として参加する演習の様子から、訓練のひとこまを取って見ても、その様子がうかがえる。二時間程度の戦闘時間が存在し、戦闘の大きな区切りが見て取れる。戦闘態勢にしても「戦術攻撃群」の一例がある。「対地攻撃」の場を見てみると、戦闘爆撃機を核として、REC(偵察機)〜AS(空中掃討機)〜SOJ(電子戦機)を前方へ配置し、EF(援護戦闘機)をもってFB(戦闘爆撃機)を守るようにし配列して、最終段階にREC(偵察機)を配備している。これらは、種々の攻撃機等の特徴を最も引き出している形態であると思われるし、我が陸上自衛隊で言えば、戦闘のための編成と似ているし、この布陣を考えると敵の陣地攻撃の要求にも、多くの困難性を感じるものです。
 わが国周辺では七月に北朝鮮の多数のミサイルの発射実験が行われ、その状況が終了しない間に引き続き、核実験の情報が伝わった。これらに対し、日本は北朝鮮船舶の全面入港禁止、全品目輸入禁止処置を採った。また安全保障理事会が船舶検査実施を行う際に、わが国としては周辺事態法を適用する方針を決定した。
 私の上番時機にも事態は急激に変わろうとしている。この事態に合わせて自己の職務を、もう一度見直してみたい。

地対空ミサイルペトリオット

9月30日号掲載

海上自衛隊佐世保地方総監部
 陸上連絡官 1等陸佐
伊藤 直

 この八月から佐世保地方総監部で陸上連絡官として勤務しています。
 陸上自衛隊で約三十二年間勤務し、陸自の習慣等が体の一部になる程染みついている私にとって、この約一ケ月間は、組織の違い、艦艇中心の考え方等海自の特質からくる相違はもとより、伝統等に根ざした様々な風習・習慣・用語などの違いに戸惑うと同時に、最近は、驚きを通り越して、逆に「新鮮さ」を感じています。
 たとえば、「宴会」のことを「別法(べっぽう)」という表現を使ったり、電車等で移動することを「陸行(りっこう)」と言ったり、また、国旗降下は、十七時ではなく、その地域の日没時間であったり、距離と速度の単位は、マイル・ヤード、ノットを多用するなどなど、極端な表現ですが、着任した頃はいきなり新隊員になったようなギャップを感じた次第です。相互に交流の機会が少ないが故に当然のことですが、陸上自衛隊の習慣等についても意外に知られていないようです。ある時、地方総監部で勤務する三等海佐に「陸自の国旗降下は、十七時。土・日は基本的に掲揚しないよ。」と言ったら、非常に驚いていました。これらはほんの一部ですが、ここで勤務していると、「運用・業務要領はさておき、習慣等でさえまだまだ相互に理解し会うべき分野は多いんだな。」ということを肌で感じます。中央では、統合幕僚監部が新編され、様々な分野で統合の実を上げる取り組みが実行されていますが、陸・海・空自衛隊のそれぞれの立場から来る習慣・用語の違いなどを理解しあう、所謂「ささいな取り組み」も統合の実を上げる上で重要な要素になり得るのではないかと思います。陸自のBOCあるいはAOC等の課程教育を通じてそれぞれの自衛隊の運用要領のみならず、生活習慣の違いなどを肌で感じる事ができるような交流の場・機会を拡大する等の施策も必要ではないかと感じている昨今です。


8月31日号掲載

西部方面総監部航空連絡官
  2等空佐 
宮里 憲次

 統合元年ともいえる平成十八年四月一日付けで陸上自衛隊西部方面総監部の航空連絡官を命ぜられ、その重責に身が引き締まる思いでここ健軍駐屯地に赴任しました。長年来、統合の重要性は唱えられながらも、総論賛成、各論反対であった各自衛隊の足並みがそろい、国を挙げてようやく真の国防が担える体制作りが始まったと言えます。今後は、米軍においても二十年近くを要したといわれる統合部隊運用の完成へ向け、我が自衛隊は、その重要性から十年いや五年以内でその組織を育て上げる努力が必要だと思います。過去においても統合運用の実績はあり、全く素地がないわけではありません。今後は、おそらく加速度的に統合運用に関する計画等が推し進められていくものと思われます。ここで今重要なことは、まず形を整え、早く全隊員をその環境に引き込むことであり、併せて充実した中身を追随させることであると考えます。そして、何よりも三自衛隊の統合部隊が精強な組織となるための第一歩は、それぞれの自衛隊及び人間をよく知ることであります。隊員一人一人がよく理解し合ってこそ連帯感も醸成でき、最大戦闘力が発揮できるものであると思います。昔、幹部学校時代に酒宴の席で「統合は、ここにあるごった煮の鍋である。」と言った同期がいましたが、そうかも知れません。鍋が旨く仕上がるには、全ての具材がうまく調和し、かつ、それぞれの持ち味を発揮できてのものであると思います。まさしく陸、海、空の「統合鍋」をウマく喰らうために微力ながら最善を尽くす所存でありますのでよろしくお願い致します。

7月31日号掲載

西部方面総監部海上連絡官
  2等海佐 
福原 尚道

 私は、昨年十二月に陸上自衛隊西部方面総監部海上連絡官を拝命いたしましたが、海上自衛官として、陸上自衛隊の組織の中に身を置いて、文化、伝統の違いを多少感じている次第です。統合運用については、いろいろな方のお考えに触れたり、眼にして頷くばかりで私ごときが考えを述べることははばかられますが、投稿の機会をいただきありがとうございます。
 統合運用は、一元指揮の下、お互いが持てる能力をいかに具現化して機能させるかにあると思います。
 しかしながら、これまで我々がそれぞれの武器体系の中で装備してきたものは必ずしも統合運用においてハード、ソフトともに十分な能力を発揮し得るとは言い難い部分もあると思います。したがって、まずこれらをお互いが正しく理解しそれを補完する術を考えなければなりません。
 統合運用の実績はこれまでにも幾つかあり、最近のものとして、スマトラ沖地震の際の派遣は、皆様の記憶に新しいところだと思います。海上自衛隊の輸送艦に陸上自衛隊のヘリコプターを搭載しての運用は、まだまだ緒に就いたばかりであり、いろいろな苦労があったと聞いております。これらのドキュメントをしっかり整理し、今後の運用に是非役立ててもらいたいと思います。
 次に、歴史書・文献等にも触れられておりますが、旧陸軍と旧海軍の対立のような状態は、結果的に損失を招くことにもなりかねません。特に装備については、現行の厳しい防衛予算の中では、陸・海・空の三位一体となった体系づくりが必要であると考えます。
 最後に、それぞれの文化、伝統の違いは、そのおいたちからしても致し方ないと思いますが、原点である日本国を守るという精神には変わりはなく、持てる装備、正面、運用等の違いからくるものもあり、お互いが理解すれば道は開けると思います。また、統合運用は米軍をみても、長い歴史の中で変化しており、一朝一夕にできるものとは思いませんが、着実な第一歩と今後の積み重ねにかかっていることは間違いありません。海上連絡官としてその重責を感じながら、日々精進致す所存であります。


6月30日号掲載

航空自衛隊南西航空混成団司令
    空将 
浦山 長人 

◎ はじめに
自衛隊の統合運用が始まった。ここに至るまでの諸先輩の苦労の賜物である。統合運用の意義や重要性更にはこれから直面するであろう困難さについては、今更言を俟たない。直接又は間接的に統合に関わる諸検討に携わった者はその事を実感したであろう。同時に、お互い他の自衛隊のことを理解し合うことの難しさをも痛感したはずである。
◎ 理解し合うとは
養老孟司博士曰く「人間とは分かり合える者だという前提は間違いである。自分と同じ気持ちを相手が持っていなければ気持ちが伝わるはずがない」と。無論、お互いに理解し合うことは人間社会において大切なことであり、その努力は尊重されるべきである。博士は、さらに曰く「動物又は赤ん坊は感覚、即ち『違い』の世界に住むが人は成長するにつれ概念、即ち客観性を備えていく。つまり動物は『違う』で生き、人間は『同じ』と『違う』の両方のを持つ」と。
◎ 統合に必要なことは「同じ」と「違い」を知ること
  三自衛隊は、それぞれの従前の生い立ちから、その風土には大きな違いがある。今から当分の間は、統合運用を実効的ならしめるべく「同じ」を追求する作業が必要となろう。その際、見誤ってはならないことは「同じ」と「違い」の峻別である。五十有余年、三自衛隊が培ってきた力を最大限に引き出すための統合であり、ゆめゆめこの峻別を誤り、角を詰めるようなことがあってはならない。また、各自衛隊、各部隊にあっては今まで以上に精強さを磨くことが必要であることは言うまでもない。

5月31日号掲載

航空自衛隊西部航空方面隊司令官
    空将 
堀 好 成 

 航空自衛隊西部航空方面隊は、九州と中国、四国のほぼ全域を防空担任区域としていますが、陸上自衛隊西部方面隊との間では、これまでも訓練や災害派遣、防衛計画の各種活動において多くの実績を上げてきており感謝しています。     今回の統合運用の体制整備は自衛隊としての大きな進化であり、我々部隊レベルにおいてもその実をあげていく事が求められます。これまでも陸海空戦力の総合発揮に努力してきましたが、今後は統合部隊の編成も視野に、より効率的な戦力発揮を目指して努力していく必要があると考えています。
 統合運用に向けて、特に考慮すべき事を考えますと、第一に情報の共有です。それぞれ行動する場は異なりますが、同じ認識で努力指向していくことが求められており、そのためには常に情報交換を行える態勢を整備し、中身のあるものとしていくことが重要です。
 次に、我々部隊レベルで、具体的な共同、統合の場を出来るだけ多く持ち、訓練、計画の場で課題を一つずつ解決していくことです。その過程では理解が困難な点や、意見の相違が出てくるでしょうが、違いから目をそらすことなく、議論し、解決していく努力が大きな成果につながるものと確信しています。
 空自の「勇猛果敢」さで、いろんな事にチャレンジしていきます。多くのレベルでの交流、調整で成果を広げていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
 

4月28日号掲載

海上自衛隊佐世保地方総監
     海将 香田 洋二

 海上自衛隊佐世保地方総監の香田です。いよいよ統合運用が開始されましたが、いまだ緒についたばかりの統合運用に関し、私の考えを「鎮西」に述べさせていただく機会をいただきありがとうございます。
 さて、統合運用体制への移行は昨年度末に完了したわけですが、各部隊指揮官は、現在それに伴う新たな制度へ円滑に移行するため種々な努力をされていることと思います。 このような情勢の中、西部地区に所在し九州沿岸から琉球列島の島嶼周辺に至る海域を担当します佐世保地方隊は、次の二点を基本として今回の体制移行に対応していきます。 その第一は、統合運用体制下においても任務達成の基本は「各自衛隊がそれぞれ持つ能力を最大限に発揮すること。」であり、このことを、隷下の各隊員に理解させることが鍵であると考えています。
 次に、複数の自衛隊が同一地域で活動することが予想される統合運用場面においては、陸・海・空それぞれの自衛隊が持つ「違い」を理解することが重要なゆえ、その努力を積極的に払うよう隊員に求めることとしております。これらの「違い」は、それぞれの自衛隊が持つ文化や伝統からくる特徴であり、ある意味で各自衛隊の精強性を保ってきた重要な要素であります。このため、「違い」を単に「違い」として放置するのではなく、自ら求めてその「違い」を理解する努力を、特に幹部と上級海曹に求めているところであります。この理解の推進こそが統合運用を円滑にするものと考えています。
 以上私の考えを述べさせていただきましたが、今後とも西部地区に所在する陸・空各指揮官・司令部と連絡を密にして自衛隊の統合運用に寄与していきたいと考えております。 ありがとうございました。