災害派遣

2014年

山林火災に係る消火活動の流れ

 自治体等からの要請を受け、当初、山林火災に係る消火活動を実施するための各種手段による偵察・情報収集とともに関係する自治体等との情報共有・調整を行う。引き続き、ヘリコプターによる空中消火とともに、状況に応じて、ジェットシュータ-による地上消火を実施する。

山林火災消火に係る行動

山林火災消火の流れ

【1】偵察・情報収集及び情報共有・調整

  • 効果的な消火活動を実施するため、ヘリコプターによる上空からの火災現場の偵察・情報収集を実施。
    山林火災現場の映像をリアルタイムに自衛隊の司令部等に配信
  • 県庁等へ派遣された自衛隊の連絡員が消火活動に関わる情報共有・調整を実施

多用途ヘリコプター及びリアルタイムに映像を配信する装備

県庁等における調整の状況

【2】空中消火及び情報共有・調整

  • 山林火災の消火活動に当たるため、多用途ヘリコプター(UH-1)及び大型輸送ヘリコプター(CH-47)が現場地域へ推進
  • 消火用水をヘリコプターで運搬するために、バンビバケット(※1)を装着、山林火災現場近傍のダム等から取水し、現場まで運搬後、散水(※2)を実施。状況に応じて、海上自衛隊及び航空自衛隊のヘリコプターと連携した空中消火を実施
    ※1 ヘリコプター機体底部へ装着するつり下げ式の水運搬用装備
    ※2 多用途ヘリコプター:約0.5t/回を散水
       大型輸送ヘリコプター:約6t/回を散水
  • 現地対策本部等へ派遣された自衛隊の連絡員が、消火活動に関わる情報共有・調整を実施

火災現場近傍のダムからの取水

大型輸送ヘリによる消火活動(散水)

現場での関係機関責任者との調整

【3】地上消火

 地上消火が必要な場合、隊員が背中にジェットシューター(※)を背負い、徒歩等により山林火災現場まで前進し、放水活動を実施
※ ジェットシューターは、隊員可搬型である水タンク式可搬型の放水装備であり、約18ℓ/回


ジェットシュータ-による地上消火(昼間)

ジェットシュータ-による地上消火(夜間)

【隊員の声】 山林火災における空中消火活動

中央即応集団 第105飛行隊
1等陸尉 酒井 政浩

 ヘリコプターによる空中消火は、バケットと呼ばれる散水装置を吊り下げた状態で行います。火災を一刻でも早く沈静化するためには、近傍のダムや池等で取水し、重量が大幅に増加した機体を安全かつ円滑に操縦するとともに、狙った火点への散水を正確に実施する事が必要です。
 しかし、実際には火は簡単には沈静化してくれません。早朝から日没まで、地道かつ粘り強く繰り返し散水します。大規模な山林火災となれば、数日に渡り続く過酷な飛行となります。 
 加えて、一連の消火活動を行う空域においては、消防・防災ヘリコプター等と協力するほか、火災の状況を取材する報道機関のヘリコプター等も飛行するため、上下左右に対して十分に見張りをして航空事故等も防止することが必要です。
 また、取水点となるダムや山林火災現場の周囲には高圧線が多数存在することが多く、ヘリコプターの飛行や離着陸には細心の注意が必要です。
 このようにヘリコプターによる空中消火は、長時間にわたり高い集中力を必要とする、危険と隣り合わせの厳しい任務ですが、山林火災の及ぼす様々な損失や近隣の方々に及ぼす影響を最小限に食い止めるため「必ず消す!」という強い意志をもって任務にあたっています。
  今後も日々の錬磨を怠らず、安全確実に任務を遂行できるように努力を継続していきます。

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