薬剤幹部
INTERVIEW
薬剤師
那覇基地
薬剤科 衛生資材班長(取材時)
2等空尉 篠原健次

入隊の動機は知的好奇心。

自衛隊の組織の中に薬剤師っていう仕事があるっていうことは、本当に就職活動する前後まで正直知らなかったんです。 ちょうど出身大学の教務課に元自衛隊の方が勤めていらっしゃいまして、その方から「自衛隊の中に薬剤師の仕事があるんだよ」という話を聞く機会があったのがきっかけです。その後、地本の方に資料請求をして、その資料を読んで、受験してみようかなと・・・。病院実習を大学のころ経験したのですが、その頃はまだ若かったっていうのもあったのかもしれないのですが、普通の民間の病院だと、一つの病院でずっと勤め上げるのも、つまらないなっていうのもあったので・・・。あとは「知的好奇心」って言ったら変なんですけれども、自衛隊の中でもそういったことを広く体験できるというな話も聞いて、自衛隊への入隊を決心しました。
病院の家計簿を付けるのがメインの業務。

病院の薬剤課の中で、衛生資材班長という職についているのですが、一般的な薬局での調剤はもちろん、 病院の中の医療費っていう予算を管理するのが主な業務になっています。例えば、医薬品の購入だけじゃなく、病院の中で使用している検査の試薬、その固体材料、そういった衛生資材全般の調達などをメインの仕事にしてるんですが、普通の薬剤師ではあまりやらないような仕事かもしれませんね。自分のお小遣いもろくに管理できないのに(笑)、病院の家計簿を付けているみたいなものなんです。
毎日、病院の予算に関してパソコンに向かって1円単位で計算。あとは調達の業務がメインになります。外来が終わったら調剤する医薬品がなくなりますよね。それを何がどれだけ出たのかという集計をして、次の外来までに間に合うようなかたちで医薬品の調達をするんです。
それ以外にも各病棟や各部署から上がってくる要望をまとめて一つの要望書にしたり、その納品の確認、病院で使っている大きな医療機材とかのメンテナンスや、その契約なども行っています。
最初は、病院の薬剤師として務めるということを聞いてたんですが、実際には病院の薬剤師以外の仕事もずっとしてきています。全国回るようなかたちで今の職場に来て2年と2ヶ月ぐらい。いろいろ回っている中で、様々な経験をさせていただいてるという感じです。大学の同期には、珍しがられてます。(笑)
南西航空混成団、全域のパイロットを支えている。

最終的にはパイロットを支えているっていうのが大前提で、そのための健康管理であり、医療でありっていうかたちだと思っています。だから、パイロットの健康管理のために空身体検査という特別なちょっと厳しい身体検査なども行っているんです。人員としては、薬剤課長と私とあと薬剤班長の3名で、50床の病院への対応をしています。メインは航空自衛隊の基地ですが、中に海上自衛隊も陸上自衛隊も入ってますし、そちらの隊員とかも全部カバーしていて、沖縄全部をこちらで面倒みてる。南混っていうんですけど、このエリアを全部カバーしてるんです。
自衛官として、そして幹部としての責任。
手を広げればいくらでもやるべき事はある。
たとえ肉体系の職種じゃないとしてもやっぱり、自衛官として最低限のレベルの体を維持することは必要だと思うんです。薬剤師であっても幹部なので、奈良の航空自衛隊の幹部候補生学校っていうところで一年弱勉強するのですが、もちろん肉体的な訓練もあります。有事の際は体はってのもの。座ってデスクワークだけやってればいいって訳にはいかないんです。
何も知らないで、その幹部候補生学校に入った時には、正直、何でこんなことするんだろうというギャップはありましたね。(笑)、よく聞く話だとは思いますが、自分にも部下の隊員がいますので、その部下隊員を導いていかなきゃいけない。「模範とならなければいけない」などと考えていくと、やはり、座ってて何かやってればいいって訳にはいかないと思うんです。走ることで言えば、走れない部下がいたら連れて走ったりだとか、プライベートなことを抱えていれば、親身になって相談に乗ってあげたりっていうこともありますし、薬剤師としてだけじゃなく、幹部という目線で「衛生」というのをとらえ、広い視野を持っていろいろ見ていかなければいけないと考えています。
空曹と幹部の違いなのかとは思うのですが、やはり責任が伴いますので、他にもやらなければいけないことは手を広げればいくらでもあるような感じになってしまうんです。

クウェートで過ごした3カ月間。大きな視野の必要性。
今から4年前、イラク復興支援の活動の一環で航空自衛隊はクウェートに行きましたが、私も3ヶ月間行かせていただいたんです。ミッションは、輸送機でクウェートからイラクに物資等を運んでいるパイロット、飛行クルーおよびそれを支える人たちの健康的な面のサポートです。
急に環境が違うところに行ったので、中には適応できない者もいますし、基地の中に集団で生活するようなかたちなので、その生活環境に慣れなくて、精神的に参ってしまう者もいれば、砂漠なので乾燥に伴う疾患や、日中40度を越えるような環境の中で、火傷みたいな日焼けをするような者もいたりなど、航空自衛隊の一個派遣部隊、200人の健康管理というところをメインの仕事にしてたんです。
200人という小さい部隊なので、普段なかなか他職種の職場っていうのを目にする機会がないのですが、日本の航空自衛隊に限らず、米軍や韓国の空軍などの色々な現場を見ることによって自分の中の視野が広がったかなというのが一番得られたものです。衛生といういうことだけにかかわらず、やはり組織としてのミッションに向かって、大きな視野を持たなければいけないという感覚を持ちましたね。
自衛隊は家族を大切にしてくれる仲間。

クウェートに派遣されている間も、基地の面倒を見る係の方が、妻に対して、活動しているときの冊子を送ってくれたり 、インターネットでメールとかできるような環境を整えていただいてたので、メールのやり取りとか、国際電話も含め、コミュニケーションがとれてたので、家族が不安にならずに過ごせたのかなと思っているんです。
あとは、普段の生活。こういった広い施設があり、一般の方々に開放してるので、体育館やグラウンドなどを利用して隊員の家族とかがよく基地の中で遊んでるのを目にします。そういった部分では、施設もある程度揃ってますので、家族だけに開放している 訳じゃないのですが、とても良い環境にあると思います。
やる気がある人には是非、入って欲しい職場。
それこそ本当に、知的好奇心があってやる気がある人には是非入ってきて欲しいですね。他の普通の薬剤師としては経験できないことがたくさんできるので、やりがいがある場所だと思ってます。
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