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赤崎3曹の口からはよく、“ショップのみんなで”という言葉が出てくる。“ショップ”とは、各作業隊を意味する通称。修理隊の下には、赤崎3曹が所属する“エンジン小隊”の他に、油圧、電気、工作、救装、地上動力などの各“ショップ”が存在する。

「エンジン・ショップのみんなで、協力して作ったんです」

部屋の一角に設置された、航空機のコックピット。近くで見ても、それがすべて手作りの模型とは思えないくらい、本物のように精巧。スイッチに貼られたラベルも、ひとつひとつ丁寧に作られている。でもなぜ、航空機の整備を行うエンジンマンがコックピットを?

「実際にエンジンの動作を確認するまでが仕事だからです。もちろん飛行はしませんが、エンジンを動かして正常に動作しているか、チェックリストを見ながら自分自身で確認するのです」
エンジンひとつに対し、隊員5〜6人からなるクルーで整備にあたる。整備を終えたエンジンは、チーフ、サブチーフの確認だけでなく、一般検査、品質検査と、何重にも及ぶ確認を経て、再び空へと飛び立つ。
操作の訓練は、マニュアルを参照しながらスイッチを指差し、声を出して確認。U-4を模したコックピットはすでに本物そっくりだが、「今後はさらに、計器などのディスプレイ部分がボタン操作に反応するように作り込みたい」とのこと。
C-1のコックピットで確認作業を行う赤崎3曹。アナログな計器を用いるC−1と、ディスプレイに計器を表示するU−4、両方とも操作できなければならない。
ラジコンや模型など、一人で集中して打ち込むような趣味を持つ一方、学生時代はバスケットボールや駅伝など、集団スポーツで汗を流してきた。それだけに、チームプレイの大切さは知っている。

物資の輸送などで活躍するC-1輸送機のエンジン(写真上)と、プロペラを持つYS-11(写真右)。
もちろんエンジンマン用の操作マニュアルはある。しかし、それを読んだだけでは、機器の位置関係まではわからない。どこにどんなスイッチがあるのか探してしまい、現場でスムーズに作業を行えないのだ。そのためのシミュレーションで、日頃からこの装置でトレーニングを積めば、操作機器の位置関係を身体で、感覚的に習得することができるのだ。

「休憩時間にタバコを吸いながら“コックピットでも作ろうか”という軽いノリがきっかけです」それから赤崎3曹が設計を行い、ショップのみんなで業務の合間を縫い、手の空いている時間、仕事が終わった後などに組み立てた。材料は、ほとんどが廃材の再利用。だから材料費はあまりかかっていないという。だがその分、エンジンマンたちの創意工夫と手間がたっぷりとかかっているのだ。

「評判はいいですよ。こういうものが欲しかったという声もありますし、他のショップの方も評判を聞きつけて見に訪れます。趣味が仕事に活かせれば、というつもりで始めましたが、トレーニングにはもちろん、後輩の指導にもとても役立っています」

このコックピットが隊長の目に留まり、赤崎3曹は部隊への貢献が認められ隊司令より表彰を受けることになった。

「でも、これはショップのみんなで作ったもの。通例、表彰は個人が受けるものですが、ショップで表彰をいただきました。ショップ単位で表彰を受けるのは珍しいそうですが、みんなの功績なので嬉しいです」
「エンジンマンはチームプレーが重要」赤崎3曹が、噛みしめるように言っていた言葉だ。

「エンジンマンは学ぶこと、覚えなければならないことが数多くありますし、残業も多いので大変です。私が入隊した時、先輩が厳しくて辛い思いをしたこともありましたが、鍛えられ熟練した技術を多く学びました。一方でまた、悩みを聞いてくれる先輩もおり、公私共に助けられました。今度は私が後輩に、私の経験や技術を伝える番だと思っています」
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