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鳥との衝突により、変形してしまったブレード。だが、注意が必要な対象は鳥だけに限らない。砂利やゴミであっても、エンジンは巻き上げて吸い込んでしまう。エンジンにダメージを与えないよう、飛行場に出る隊員たちは身につけているものにまで、細心の注意を払っている。
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小さな隙間から、スコープでエンジンの中を覗き点検を行う。F.O.D(※2)の後などは特に、内部に異常がないか慎重に確認する。
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「航空機は毎日飛んでいますので、飛行時間が100時間なんてあっという間です。でも航空機の場合は上空ですから、エンジンの調子が悪くなったら“ちょっと脇に停車して点検”などと自動車のようにはいきません。壊れてからでは遅いのです。だからシビアな目で、定期的に予防整備を行う必要があるのです」
実際、整備作業は精緻を極める。例えば、ホースから滴るオイルが、一時間に何滴、何CC滴るかを計測し調整する。また、無風の空間にプロペラを吊して、数時間にわたりじっとそのバランスを確かめる。先輩に教えを受けながら、そして膨大な量のマニュアルに基づき整備し、ひとつひとつの部品を、慎重に確認していく。数百にも及ぶ部品を、着実に装着していく正確さや慎重さが要求される一方で、たったひとつの部品に対し、何時間も全神経を集中できるだけの集中力も必要とされる。
そんな細やかなエンジンマンたちの現場を、当の赤崎3曹は「とてもデリケートで繊細。細か過ぎて、もう大変なんですよ」と笑いながら言う。
「でも、そうやって手間をかけて組み立てたエンジンが、大空へと飛び立ち、そして無事に戻って来るのを見るのが何とも言えない。“おかえり”とホッとするし、この仕事をやっていて良かったと嬉しくなる瞬間でもあります」
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※1"バードストライク"とは、飛行場周辺に飛来した鳥が、離着陸する航空機のジェットエンジンに吸い込まれたり、機体に衝突してしまう現象のこと。※2"Foreign Object Damage"の略で、異物による損傷や、滑走路上の異物をジェットエンジンが吸い込む被害のこと。
詳しくはSPECIAL FEATURE 003を参照。
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赤崎3曹は、第二輸送航空隊整備群修理隊に所属するエンジン整備員。通称“エンジンマン”だ。“エンジンマン”というと、油まみれになりながら、大きなレンチで豪快にボルトを締め上げるような人々を想像しがちだ。だが、実際の現場に接すると、そんなイメージとはまた違ったものが見えてくる。
「普段、ここまで大きなダメージを受けることは、なかなかありませんね」
入隊して12年。経験を積んだエンジンマンである赤崎3曹が指さすのは、ピンポン球ほどの大きさに“ぐにゃり”と窪んだブレード。航空機の心臓ともいえるエンジンの中でも、推進力を生み出す重要なパーツだ。アルミ合金で造られ、堅く鋭いエッジを持つこの大きなブレードが、こうも変形してしまったのには、もちろんそれなりの理由がある。
「残念ながらバードストライク(※1)で、ブレードが衝撃を受けて変形してしまったようです。私の経験上、幸いなことに入間基地ではバードストライクで大きな被害が出たことはありません。重要なエンジン部分ですから、機体から降ろして分解整備を行っています」
エンジン小隊では、大きく分けて2種類の整備を行っている。バードストライクのような予期せぬ出来事が発生した場合や、操縦するパイロットから点検の依頼を受けた場合に対応する“計画外整備”と、自動車の車検のように定期的に行う“計画整備”だ。計画整備では機種にもよるが飛行時間100時間毎にエンジンの点検を、機体にエンジンが搭載された状態で行い、飛行時間が2,000時間に達すると、今度はエンジンを機体から降ろしてオーバーホール(分解しての点検・整備)を行う。
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2輸空隊では、C-1(写真下)やU-4、 YS-11(写真右)といった輸送機を中心に保有。それぞれ種類の異なるエンジンを積んでいる。
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